目次
はじめに:国内航空券よりも安い、釜山行きチケット
友人7人と、海外旅行をすることになった。
全員社会人で、土日しか休めないという制約ゆえ、行き先は自ずと「近場」に限られ、台湾と韓国が脳裏に浮かんだ。
代表的な都市である台北・高雄・ソウル・釜山を比較すると、関空からの飛行時間では、釜山がダントツの「時短」ぶり。
■関空からの飛行時間ランキング
- 関空→釜山(1時間)
- 関空→ソウル(1時間45分)
- 関空→台北(3時間15分)
- 関空→高雄(3時間30分)
当然、「関空発」の航空券が一番安いのも釜山だったので、行き先を釜山へ決定するまでに、時間はかからなかった。
ちなみに、今回購入したチェジュ航空のチケットは、往復15,000円程度(諸税コミコミ)。
土曜日の10:30に関空を出発し、翌・日曜日の17:00に釜山を出るというフライトスケジュールなので、現地での【持ち時間】は、ザッと30時間といったところ。

チェジュ航空で釜山へ出発
いわゆるLCC(Low Cost Carrier、格安航空会社)だから、機内の座席スペースは狭く、機内食も提供されない。
そもそも一時間ぽっちの「空の旅」に、広い座席や、おいしい機内食を求める必要性も感じなかった。
関空を出発して30分と経たないうちに、飛行機は島根県上空あたりから日本海上に出て、本当に60分ぽっちで、釜山へ到着。

釜山空港
「時短フライト」で到着できるのは、体力的な負担も軽く「土日しか休めない」社会人にとって、無視できないアドバンテージだと思う。
釜山空港から市街地中心へは、片道600円(6,000ウォン)の空港バスが連絡。
乗り換える手間を惜しまなければ、電車での移動も可能だが、荷物が大きい場合は、乗換え不要のバスに軍配があがる。

釜山駅ゆきのバス
空港バスおよそ30分おきに出発しており、釜山空港→釜山駅は45分前後の道のり。
バス車内は3列構成シート(革張り!)。
【過剰気味なゴージャス感】が楽しい。

ムダにゴージャスな内装
「豪華バス」事情に関して言えば、台湾はもっとすごくて、2列構成シートの超・広々とした社内空間の車体も存在している(しかも、値段だって、そんなにつりあがる訳ではない)。
日本のバスも、もう少し頑張って欲しいと、切に願う。
革張りのシートに身を埋め、睡魔に襲われていると、釜山駅エリアへ到着。

「昭和風」の家屋
古い雰囲気の家屋が立ち並ぶエリア。
高層ビルが立ち並ぶ「コンクリート・ジャングル」のソウルほど、ギラギラした【都会感】はせず、どこか落ち着いた雰囲気がするのも、釜山という都市の持つ魅力である。
「チョリャンミルミョン(草梁ミルミョン / 초량밀면)」地元の超人気店
釜山駅から徒歩五分の至近距離にある、【ご当地麺料理】の専門店、チョリャンミルミョン(草梁ミルミョン / 초량밀면)へ。
出国前にインターネット検索したら、訪問者の誰もが好意的なレビューを寄せているお店だった。

【覚悟】はしていたが、時刻は14:00過ぎ、ランチタイムのピークを過ぎており、ひょっとしたら並ばずに入店できるのではないか、という期待が上回っていた。
Google Mapsを頼りに店へたどりつくと、昼食ピークを過ぎても、このとおり。

想定以上に大繁盛
ただでさえ、一泊二日という弾丸旅行スケジュールであるのに、ここで待ち時間を費やすという意思決定は、大変な「痛み」を伴うもの。
そんなとき、最後尾で並んでいた、二児のママが親日家で、日本語と英語を交えつつ、いろいろと教えてくれた。
「あと30分くらい? うーん……あと20分くらい?カナ。大丈夫よ、だふん」
彼女のリアクションを見るかぎり、そんなに待たされず入店できるかも知れないと思え、そのまま行列へ参加。
実際、行列は、思いのほか、スムーズに掃けていき、20分ちょっと待つだけで入店できた。

満席の店内
満員御礼状態の店内は【人手不足】感が強く、客が帰っても、しばらく片付けられないままのテーブルも……
てっきり「お茶」かと思って、ヤカンからコップに注ごうとしたとき、驚いて、アッと声に出てしまった。

ヤカンに入っていたのは……白濁したスープ
なんと、ヤカンから出てきたのは、白濁したスープ。
実はこれ、後ほど紹介する麺料理「ミルミョン」の出汁でもある、「ユクス」。
麺料理のスープを、ヤカンに入れて飲んでしまうという発想は、日本人として、とても新鮮。飲んでみると、ほんのり塩味の効いた、あっさり鶏ガラスープのような味わい。
これはオモロい!と唸ってしまった。
店員さんを呼びつけて、麺料理と、マンドゥ(韓国版のシューマイみたいなもの)を【指差し】注文。
常時提供できるよう、あらかじめ蒸し続けてあったのか、マンドゥがすぐテーブルへやってきた。

韓国版シューマイ「マンドゥ」
台湾の小籠包、日本のシューマイみたいなジャンルの一品である。
机の上には、【裁縫箱】の奥底にしまわれていたかのような、いかついサイズのハサミが置かれている。

最初は「不要」と思ったハサミだが……
韓国のレストランでは、お箸、器がズッシリとした金属製であることが多く、さらに、こういうハサミが置かれていることもあり、どこか【メタル&メタル】している。
すこし、見苦しくなって恐縮だが、マンドゥの断面写真をば。

「マンドゥ」断面(食べかけ状態のもので、失礼!)
ぎっしりと野菜が入っており、ひとくち噛み締めると、野菜エキスに加え、野菜に染み込んでいたニンニクエキスも、ギュッと主張してくるあたり、食欲を増進させる「触媒」効果があるとも言え、「一品目」として提供されるに相応しい料理である。
マンドゥを一口、二口と、ほお張るうちに、空腹感が急速に満たされていくのを感じたタイミングで届けられるのが、ご当地麺料理。
マンドゥーでお腹いっぱいになる前に届けられるというタイミングが、絶妙。
麺料理専門店であるが、メニューにある麺料理は2種類のみ。
メニュー写真の【ビジュアル】から判断して、辛いものが苦手な友人はミルミョンを注文。

「ミルミョン」
たしかに、スープがある分、辛くなさそうに見えた。
ちょっと辛くても大丈夫だという友人はビビンミョンを注文したが、結局、どっちにしろ辛いので、あまり迷っても仕方なかったというオチ。

「ビビンミョン」
麺は「お団子ヘア」のように、とぐろを巻いて【タワー化】しており、その上に散らされたピーナッツの小粒が、こおばしい香りを放っている。
実は、この麺、日本のラーメン屋でいう「2玉」ほどのボリュームがあり、かつ、麺の長さが大変長い(かつ、細いクセして、けっこう弾力がある)ため、事前にハサミで切ることをオススメしたい。

韓国版「ナポリタン・スパゲティ」
ハサミを使わなかった友人は、長〜〜〜い麺とソースを絡めるのに四苦八苦していた。
まるで韓国版「ナポリタン・スパゲティ」といった感じで、最初は甘いのだが、食べ始めてから5分ほどの時間差を置いて、口の中で「辛さ」が炎上し始める。
さほどキツい辛さでもないから、あまり心配する必要はない。
細くて弾力のある麺といい、甘辛いソースといい、素晴らしいコンビネーション、これが美味しくないわけがない!
「甘川文化村」釜山のマチュピチュとも呼ばれるアート村
土日しか休めない社会人の「時短旅行」ゆえ、食後は、タクシーに乗車して、そのまま甘川文化村へ。
「韓国のマチュピチュ」との異名を持つ、インスタ映えスポットであり、釜山駅からタクシーに乗れば、20分くらいで到着する「駅チカ」感が嬉しい。
ちなみに韓国はタクシー料金が安く、20分くらい走っても、500円(50,000ウォン)前後で済んでしまう。
本物のマチュピチュはアクセスするのが大変なだけに、「韓国のマチュピチュ」甘川文化村は、あっという間に到着でき、拍子抜けしそう。
タクシーの運転手は「毛沢東」に似たオジサンだったが、かなりの親日家で、片言の日本語を使いながら案内してくれた。
「ここ じぇんぶ(全部) あまかわぶんかむら ね」
タクシーが、「神戸の街」みたいな坂道を登りだしてからしばらくすると、周囲の風景が一変。
色とりどりの家屋が、「ドミノ」のように、一軒倒れると、集落全ての家が倒壊してしまいそうな密集度で建ち並ぶ景観である。

「韓国のマチュピチュ」こと、甘川文化村
あまりの絶景に、一同、ため息が漏れる。

さまざまな公共美術事業が推進された結果、今日の姿になったという。

見事なほど、色とりどり
「遊び心」もあるアートの街といったところか。
「マグガップ」のような一軒も混じっている。

「マグカップ」のような一軒も……
ちなみに、昼食を終えたのが15:00、甘川文化村へ到着したのが16:00手前。
「少し到着が遅れたかな?」という気もしたが、実際には、夕方の手前に到着するくらいの方がちょうど良いと思った ------ あまり日中の早い時間帯に訪れると、太陽の光が強く、写真を撮っても、白っぽい仕上がりになってしまっただろう。
夕方の柔らかい光に助けられて、甘川文化村の色とりどりな民家一つひとつを楽しめ、景色もいっそう美しく見えた。

甘川文化村から港を見下ろす
街には、訪問客が楽しめるための、さまざまな「仕掛け」が施されている。
日本人にとっては【鯉のぼり】にしか見えないコチラ。
韓国にも【鯉のぼり】があるのかどうか知らないが、単なる「魚アート」のつもりで作ったのかも知れない。

【鯉のぼり】アート
駐車場の壁には、鮮やかな色彩で「街」が描かれており、よく観察すると、トラやウサギの「住民」もいる、メルヘンチックな仕上がり。

駐車場の壁にも、アート
こちらは、1円玉小サイズの円盤を無数にとりつけて完成させたアート。

大量の金属円盤でつくられた「絵」
港町の雰囲気にピッタリの題材【夜の闇を照らす灯台】が表現されている。
アートを楽しみながら坂道を下ると、「尾道」的な風景も。

「坂の街」でもある
ずっと向こうにあるはずの【海】が、まるで、今スグ手で触れそうな距離にあるようにも見えてくる不思議さ。
街ニャンコとも、遭遇。

ニャンコと遭遇
お世辞にも、かわいらしいとは思えなかったが、人を見ても逃げる様子はなく、【威風堂々】とした貫禄っぷり。
真っ青な空、ピンクや黄色の壁……

カラフルな街風景
まるで、【カレンダー写真の世界】へ迷い込んだような錯覚にも陥りそうだが、いま見ている風景は、確実に、自分の前で「実存」している。
こちらは、巨大な「ギター」のアート。

巨大ギターのオブジェ
実際に弦をはじくと音を出せるが、どの弦も「チューニング」されてはおらず、うす気味の悪い重低音が、夕方の村に鳴り響くのであった。
どこか「韓国っぽさ」のするアート。

あまりかわいくないオブジェも……
あまりかわいらしくないが、こういう「イマイチ感」の漂うアートにも、友人と笑いのネタとしてシェアできるという「美徳」がある。
屋上からヒョッコリ顔を出した、陶器製のワンコ。

ワンコはやっぱ、かわいい
こちらは、実物のニャンコ@休憩中。

車の下で休むニャンコ
時計を見ると17:00。
甘川文化村に到着して、ザッと一時間強のウォーキングをしたことになる。

地図を見て、「ルートづくり」
甘川文化村には、数パターンの散策コースがあり、自分の持ち時間に応じて、自由自在にカスタマイズ可能。
村内に掲示されている地図を見ながら、臨機応変に滞在時間を伸縮させることができるのも、「時短旅行」には嬉しいポイント。
「チャガルチ市場」飲ん兵衛のオアシス
甘川文化村からタクシーに乗車して向かった先は、チャガルチ市場。
日本出国前、インターネットから得た情報では、釜山旅行のベテランなら、あまり立ち寄らなさそうな場所だと感じた。
観光スポットとしての要素が色濃いためか、価格設定も強気で、「高い」とする口コミが多かった。
それでも、一人4,000円(40,000ウォン)の予算を見ておけば十分そうだったし、酒を飲み、わりとシッカリ食べられて、このコスパで済むのなら、日本の物価を考えると、悪くはなかろう。
チャガルチ市場のテラスは海に面しており、日が沈み、グラデーション状に色付く景色を、しばし堪能。

チャガルチ市場のテラスから海を望む
市場では、一階に海鮮食材を扱う専門店が密集して営業中。

チャガルチ市場の構内

ありとあらゆる海鮮食材が揃う
ここで買った食材を、二階のレストランで調理してもらうのだが、(食材を購入することなく)レストランだけを利用することも可能。
むしろ、よほどの大人数でない限り、大きな魚一匹まるごと買ってしまうと、「多種類の海鮮食材を少量ずつ試す」ことが難しくなる。
また、海鮮食材に詳しいメンバーがいたわけでもないので、何を買えば、どんな料理に仕立ててもらえるか具体的にイメージすることも、なかなか容易ではなかった。
一階は軽く見学するにとどめ、そのまま二階のレストランへ。
「ツキダシ」で出されたチヂミ。

「チヂミ」
一同絶賛する美味しさだが、小さいので、あっという間になくなってしまった。
こちらはサシミ盛り合わせ。

「サシミ盛り合わせ」
メニューでは「盛り合わせ」とあったはずだが、一種類か二種類くらいの魚しか乗っていないように見える。
でもまぁ、漁港の市場にあるレストランで、友人とワイワイしながら楽しむ中、何を食べようと、美味しくないわけがない。
そして、どこで食べても美味しいものは、ここで食べると、さらに美味しい。

「アワビ」
日本では、高価ゆえ、めったに口にするチャンスのない「アワビ」。

高級食材を目の前に、気分も盛り上がる
前回食べたのがいつだったか思い出せないくらい【遠い昔】なので、味も忘れかけていた。
それでも、コリコリとした食感はビールのツマミに最高であり、そこから得られる多幸感はハンパなかった。
周囲のテーブルにいた地元客は、みんな鍋料理を注文していたのに気づき、一品料理系を満喫し終えた後は、鍋料理に挑戦。

店員さんがお世話してくれる
日本人だということが分かったからか、店員さんが要所要所、鍋の様子をチェックしにきてくれる。
野菜がこんもり盛られているため「シーフード鍋」であるとは一見、分かりづらい。

シーフード鍋
鍋の底には、出汁をとるためのカニがゴトンと沈んであったり、大きな貝がゴロンゴロン入っていたりする、正真正銘の「シーフード鍋」。
海鮮食材の塩っけが、そのままダシとして、にじみ出ており、食後のスープを使って「ラーメン」をいただこうというアイデアが浮上。
鍋の【残り汁】を使ってラーメンだなんて、日本人独特の食べ方かも知れないと若干、店員さんへ尋ねるのに気後れしたが、「らぁみぃぇん」と連呼したら、店員さん、大きく頷いてくれた。

シメはやっぱりラーメン!
どういうわけか、2玉だけオーダーしたつもりが、4玉やってきたけど、気にしない、気にしない。
店員さんが持ってきたのは、スーパーの棚に並んでいる、ごくフツーな、即席ラーメンの袋。
家で、ひとり食べると、あまり美味しくないだろうし、それが実際【リアルの味】だろう。
漁港の市場で食べるというロケーションの効果や、友人同士でワイワイガヤガヤできる開放感、それに、シーフードからたっぷり抽出されたエキスもあってか、日本の本格的な人気ラーメン専門店で食べるような「一杯」に感じられたのであった。
部屋呑み|「時短旅行」でも、楽しみは短縮しない
土日しか休めない社会人旅行でも(だからこそ?)、滞在時間は最大限に有効活用したい。
チャガルチ市場からの帰り道、地元のスーパー「TOP mart」へ立ち寄って、「部屋呑み」の買い出しへ。

「TOP mart」へ
驚いたのは、【ビニール袋の撤廃】文化が、浸透し切っていたこと。
レジでビニール袋が配られないかわりに、店の外には、客が自由に使えるよう、ダンボールの空き箱が多数ストックされている。

慣れた手つきでダンボールを組立てていく
客は、各自の購入ボリュームに応じた「手頃サイズ」の空き箱をみつけ、そこに品物を入れて、自宅へ持ち帰るという方式である。
ちょっとした買い物なら、そのまま「裸」で持って帰る人もいた。

「裸」のまま品物を持ち帰る
スーパーの駐車場で見かけた、バナナをそのまま持ち帰る主婦。
日本は、ビニール袋の撤廃がいつまで経っても浸透しないが、韓国では、目新しい方式が、スンナリ導入されるのは、見習うべきところだと感じる。

丸裸のままの「部屋呑み」アイテムを抱えて歩き、そう思いながら、ホテルへ戻る。

屋台街が開かれる
昼過ぎにチェックインしたときは、まだ何もなかった路上へ、いつの間にか「屋台街」が形成されており、驚いた。
次回来るときには、こういう屋台街で飲み会をするのも一興だろう。
今回は8人でのグループ旅行であり、「部屋呑み」ができるよう、広めの部屋を確保しておいた。

広々とした客室
幸い、同じフロアに他の客がいないとのこと。
適度の節度を保ちつつも、翌日の観光プランをはじめ、旅話に花を咲かせるのは、大変楽しいひとときであった。

「部屋呑み」
「時短旅行」ゆえのハードさもあるため、あまり夜更かしせず、0:30には全員就寝。
「国際市場」、「BIFF市場」
夜が開け、8人全員、体調良好。
天気も良く、幸先の良いスタートを切れた二日目。
【国際市場かいわい】から、ウォーキング開始。

陳列しているタオルの色が、ぜんぶ異っている
イオンなどのショッピングモールや、Amazonなどのネットショッピングが普及した結果、日本では、個人商店が集まる街並みを見かけることは少なくなったと思う。
ここ釜山でも同じ傾向があるのかも知れないが、それでもまだ、こうして、あちこちに個人商店が営業しているのをみると、「良いなぁ」と思ってしまう。

街の電器ショップ
どういうわけか、指定した目的地から徒歩10分ほど離れた場所でタクシーを降ろされてしまい、目的地へ向かって歩き直す羽目に……
それでも、朝の清々しい空気を吸いながら、【坂の街】を実感できる風景を満喫するのは、悪くない。

「坂の街」であることを実感する風景
山肌を覆い隠すかのように密集する住宅は、昨日見た「韓国のマチュピチュ」、甘川文化村の風景に通ずるものがあり、タクシーで間違った場所に降ろされて、むしろラッキーだったのかもとさえ思えてきた。
間もなく、BIFF市場へ到着。

山積みにされたぬいぐるみ
日本でいう「縁日」のように、いろんな露店が営業する一帯である。
ただ、これらの露店は、実質「普通の店舗」と同等、決まった場所で、決まった時間に営業している。
また、朝だけ・夜だけといった、営業時間帯が限定されたものでもない。

BIFF市場の屋台

朝から商売に精が出るオバサン
兵役中の若者たちを見かけるのも、【徴兵令】がある韓国ならでは。

兵役中の若者たち
どこへ行くにも二人ペアで行動するが、兵役が終わった後も、苦楽を共にした「友情」は、ずっと続くのかも知れない。
BIFF市場から大通りに出ると、風変わりなオブジェが、沿道あちらこちらに設置されてある。

映画がらみのオブジェ 1
実はこれらのオブジェ、毎年10月に開催される「釜山国際映画祭」を象徴するものである。
地面はもちろん、頭を上げてみると、電柱に「よじ上っている」オブジェも。

映画がらみのオブジェ 2
「チェジュガ(済州家 / 제주가)」一杯1,000円のアワビ粥
「質素倹約」をモットーに暮らす日本の生活では、およそ立ち寄らない類のレストランであろう。
一杯1,000円のアワビ粥を提供する店があるというので、やってきた。

お茶でホッと一息
お茶を飲んで一息ついていると、店内の客が、ほとんど日本人ばかりであると分かった。
アワビ粥は、注文してから調理されるため、もともと時間がかかる。そこへ拍車をかけるのが、満席状態の店内。
前の客の調理が終わるまで、自分のオーダーが着手されることはないので、手持ち無沙汰の時間が生じる。
「ツキダシ」のキムチ、日本人の多い店だからか、あまり辛くないよう味が調整されているように思えた。

つきだしの「キムチ」
あまりにも調理時間が長いので、あやうく(アワビ粥のお出まし前に)全部平らげそうになったが、いくつかは粥と一緒に食べるため、残しておこうという話になり、箸をストップ。
待ちに待ったアワビ粥が、テーブルへ運ばれてきた。

「アワビ粥」
粥の上に散りばめられたアワビを見て、一同、【本日一番のハイライトシーン】ではなかろうかと思うほど、盛り上がる。
こうやって友人とドキドキ感を共有できただけでも、一杯1,000円の価値があるように思えてくるのだった。

これが「一杯1,000円」のおかゆ
アワビも、粥も、非常にあっさりしており、注意深く食べないと、気づかぬ間に「ドロドロ」にまみれて、アワビを飲み込んでしまいそうだった。
そうなるのだけは避けたくて、【砂金】をすくうように、細心の注意を払いつつ食べるせいか、全員無言になる時間。
昨夜、バーベキュー方式でいただいたアワビの味が記憶に残っているためか、粥に入れると、アワビの味が「あいまい」になってしまい、個人的にはバーベキュー方式が良かったと感じた。
アワビの単価は、一粒数百円だろうか、海外旅行という開放感たっぷりの特殊状況下だからこそ、財布のヒモがゆるんでくれたと言えよう。
「釜山タワー」
アワビ粥で口の中に広まった【感動の味】の余韻に浸りながら、そのまま歩いて釜山タワーへ。

釜山タワー
入場料800円(8,000ウォン)を出してまで中に入ってみたいというメンバーがおらず、タワーをバックに記念撮影をして、満足。
むしろ、釜山タワーのふもとで、【韓国で戦死した日本人のために】という口実を使って商売する土産屋にしつこく声をかけられて、日韓関係は永遠に平行線をたどるのだろうという気持ちになった。
それでも、個人レベルでは、親切で、人情味あふれる韓国人が多いと思う。

ニャンコ
釜山タワーの長いエスカレーターで、ニャンコと出会えて、さらに満足。
「チョンギワ(Chung Gi Wa / 청기와)」口の中でとろけて【消える】焼肉
予算管理をキッチリし過ぎたのか、旅の最後になって、韓国ウォンが余剰気味。
最後の昼食に費やせる予算が1,000円(10,000ウォン)だったところ、3,000円(30,000ウォン)まで投入しても大丈夫そう。
せっかく韓国へやってきたのに、まだ焼肉を食べてなかったことを思い出し、訪問した店がコチラ。
海鮮料理「ケミチブ」の姉妹店として、ケミチプ東光店と同じ店舗内で経営しているチョンギワだ。

韓国の焼肉では「必須アイテム」の、排気ダクト
二階の個室席に通され、食べたいものをオーダーしまくる。
さっきアワビ粥を食べたばかりなのに、果たして焼肉なんて入るのだろうかと一抹の不安はあったが、全然パクパクいけてしまう。

全部、店の人が焼いてくれた
店のおばさんか、ちょうど食べやすいサイズに切り分けて焼いてくれるのもあったが、そもそも、肉が超やわらか。
単にやわらかいだけではなく、5回ほど噛むだけで、スーッと口の中から消えてしまう【とろけ度合い】もハンパなかった。
肉だけでも【イケイケドンドンの食事ペース】で進んでしまうのに、一緒に提供されていた野菜やニンニクとのトッピングが、食欲を倍増させる。

このニンニクが後に災いを……
特に、肉とニンニクのコンビは素晴らしく、後先のことを考えず、ニンニクを、1つ残さず平らげ、「お代わり」まで要求してしまった。
これがまだ、ジックリ火を通していたら【異臭騒ぎ】へ発展せずに済んだのかも知れないが、生のまま、ニンニクを貪り食ってしまったのはマズかった。

「全部のせ」
焼肉店での、至福のひとときにも別れを告げ、タクシーに乗車したときのこと。
タクシーの運ちゃんが、やたら頻繁に、窓を開閉する。
どうやら、焼肉(特にニンニク)の強烈なニオイがするらしい。
下車時に、韓国版の「ファブリーズ」っぽいスプレーを振りかけられた。
タクシーの車内に常備しているあたり、【やらかしちゃった】日本人乗客を運ぶことがよくあるのだろうか。
日本だと、乗客にファブリーズをふりかけるタクシーなんて、クレーム問題にも発展しかねず、聞いたことがないけれど、ここはあくまでも【海外】。
わずか飛行機で1時間だけど、しっかり外国に来たのだと、旅の最後の最後で痛感。
まとめ:大阪から、わずか片道1時間「通勤感覚で」飛べる海外
ずいぶん盛りだくさんだった釜山旅行も、終わりは、ずいぶんアッサリとしていた。
これは、【フライト時間の短さ】によるものだと思う。

大阪へ帰還
一泊二日という「時短」旅行だったこともあるが、やはり、片道1時間で行けるというのは魅力的。
平日、【ちょっと長めの通勤電車】に乗るのと同レベルの感覚でもあり、海外旅行というハードルをグーンと下げるのに一躍買ってくれている。
本記事を参考にしながら、まずは、釜山の航空券をゲットすることから着手してみては、いかがだろうか。
いちど航空券を買ってしまうと、旅の出発日がドンドン近づいてくるので、否が応でも、旅に向けて【重い腰】を持ち上げることになるから、筆者のようにモノグサな方へは、特にオススメ。
(付録)こちらもチェック
本記事の釜山旅行に出る2ヶ月前、実は、別の釜山旅行(これは一人旅)を敢行したアジ吉。
準備不足で、わりと色々失敗まみれの旅行に(笑)。。。
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【釜山ビギナー向き】トランジットついでに、釜山を5時間ぶらぶら歩きしてみる【モデルコース】
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