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はじめに:世界最強のコスパを誇るゲストハウスは、ハノイにあり
ハノイの旧市街地。
この街に【1泊570円】という、日本なら、マクドナルドで「バリューセット」が買えるかどうかきわどい予算で、滞在できてしまう宿がある。
たんなる安宿なら、ハノイには星の数ほどあるのだが、なんとここ、朝食つき、ビール飲み放題、おまけに、市内観光ツアーが「サービスで」ついてくるという、一軒。
全世界に数多あるゲストハウスの中でも「王者」の座に相応しいコスパと言えよう。

「伝説」のゲストハウス
あまりにも鬼畜じみたコスパに、当初は「そんなゲストハウスに、1泊570円でとまれるハズがない(きっと、別料金を取られるに違いない!)」と信用していなかったくらいだ。
本記事は、そんな「世界一」とも言える驚異的コスパの宿へ滞在した体験談をお送りする。
「ハノイで二度寝」の背徳感にくすぐられる朝
ベトナムへは何十回と訪問しているため、ハノイ市内はもちろん、近郊のマイナーなスポットも、だいたいのところは攻略してしまった。
ヘタすると、ベトナム人よりも、ハノイ周辺について詳しいかも知れない……
「食都」ハノイの食文化が持つ懐の深さに惹かれて……
それでも、飽き足らずハノイを訪問するのは、物価が安いわりに、超ハイレベルのグルメが楽しめる「食都」としての側面に惚れ込んでしまったからである。
ハノイ滞在プランを立てるときも、観光スポットよりは、お目当てのレストランを先に決めて、「スキマ」時間に観光をするという形に近く、レストランが熱心に営業するわけでもない早朝の時間帯は、たっぷり眠ることにしている。
いつもは、日本で馬車馬のように安月給で働かされているけれど、たまにこうして有給を取得し、ハノイで二度寝しながら、ランチやディナーはどんなものを食べるか妄想しながら過ごす時間は、最高。
「自分は『この瞬間』のために、日本でガマンしながら生きているんだ」と思う。
平日の朝から、ハノイで二度寝をする背徳感にくすぐられながら、九時を過ぎた頃、起床。

「とぐろ」を巻いた階段
ゲストハウスは、ベトナムに良くある【縦に細長い】ビルディングで、7階から階段を見下ろすと「とぐろ」を巻いているよう。
幸い、エレベータが設置されていたけれど、たまに、格安ゲストハウスの中には、エレベータがないのに5階の客室をアサインされることもあり、トランプで「ババ」を引いたと思って諦めるしかない。
「無料」だが、本格的クオリティの朝食
食堂へ降りて来ると、ベトナム名物「フランスパン」の香ばしいにおいが漂っている。
冒頭でも触れたとおり「無料」の朝食だが、味は本格的フランスパンそのもの。

外はカリカリ、中はモチモチ
外はカリカリ、中はモチモチという、日本ならこれだけでも軽く500円くらいしそうなクオリティ。
嬉しいことに、フルーツや、スクランブルエッグも皿に添えられており、コーヒーも無料で提供されている。
「イケイケドンドン」なカナダ人ガイドによる市内観光ツアー
大満足の朝食後には、ゲストハウスが「無料」で提供しているという、「市内観光ツアー」へ参加。
なんと、ツアーガイドは外国人で、頭頂がすこし寂しい状態になった、南カナダ出身の中年男性。
パンチ力のある声量の持ち主で、キャラは底抜けに明るく、ときたま信号無視しながら、ガンガン客を引率して行く。

市内観光ツアーの参加客たち
ツアーの参加客は、全員アメリカ人だった ——— ひとり日本人のアジ吉は、大いなるアウェイ感。
アジ吉にとっては、東京よりも、訪問回数が多いハノイ。
いまさら、目新しい「観光スポット」が見つかるという楽しみも期待できるはずがなく、「朝さんぽ、一人でやるより、みんなと行ったほうが楽しいかな?」程度のノリで、参加を決めたのだった。
セント・ジョセフ教会
パリのノートルダム大聖堂を模して造られたという、百年以上の歴史を誇る建物。
ある意味、ベトナムにとってフランス文化に「侵略」を受けたとも言えるが、今日では、現地の敬虔な信者が集って祈りを捧げ、観光客にとっては、フォトジェニックな写真スポットとしてにぎわい、ハノイの街になくてはならぬ存在に。

「セント・ジョセフ教会」

教会前の銅像

窓枠の細かい装飾

地元の信者がちらほら
ホアンキエム湖畔
人通りの多い、市街地の入り組んだ道路を通りぬけると、視野がパーッと開けて、眼前に湖面が広がる。
バイク音や、行商人の声で街中ざわざわしたハノイを歩く中、心が落ち着くひととき。

ホアンキエム湖

リー・タイトーの像
その昔、ベトナムの首都をニンビンからハノイへ移したという、リー・タイトーの像。
公園をしばらく散策した後、一同はコーヒーショップへ向かうようだったが、十分に散歩を楽しんだアジ吉は、途中で「おいとま」。
まとめ:無料ビールでシメる、朝から晩まで大充実の570円ステイ
とても無料とは思えない、ハイクオリティの朝食、市内観光ツアーを楽しんだ後は、ハノイ市街地をぶらぶらしながら、グルメやマッサージを満喫。
ゲストハウスへ戻ると、【飲み放題】の無料ビールを振る舞ってもらえた。

飲み放題のビール
街角のビアホイで飲むような、水っぽく、少し苦みの強い、典型的「ビアホイの味」。
今日一日、ずいぶん盛りだくさんだった気もするが、たった570円でここまで奉仕してくれるゲストハウスは、地球上、ここにしかないと思った。
このゲストハウスが、いつまで現在のコスパで頑張っているかは未知数だが、スタッフは親切かつ正直(←ベトナムでは重要 笑笑)なので、これからも繁盛して欲しい一軒。