日本の冬は、ハノイ乾季の真っ只中であり、ベスト観光シーズンだと言われる。
南国ベトナムといえど、この時期のハノイは、日本で言う晩秋くらいにまで冷え込み、ドンヨリ曇った日が多い ── スッキリしない天候だが、ほとんど雨に見舞われたことはない気がする。
あまり語られないのだが、ベスト観光シーズンであると同時に、この時期のハノイは、「鍋」こそ、最大の娯楽ということだ。
古い街並みを愛でる「ハノイあるき」も素晴らしいが、観光はそこそこに切り上げ、少し早めに人気店へ滑り込もう ── ピーク時間帯は長蛇の列ができる店も、夕方のはじまりごろだと、ほとんど並ばず、が極上の「鍋」にありつくことができるだろう。
本記事では、ハノイで最強クオリティの鍋料理店をご紹介するので、参考にしていただければと思う。
目次
ヤギ肉鍋の専門店「Nhat Ly」|いちど味わったらヤミツキになること必至の人気店
日本で普通に生活していては、ほとんど食べる機会のない「ヤギ肉」。
ややクセの強い味がするので、調理する店によって、クオリティのバラツキが出やすい食材であるとも言える ── 本店は、初めてヤギ肉を試すという旅行者にとっても、最適な一軒。
ヤギ肉鍋は準備に二十分弱かかることもあるので、ビールで晩餐開始だ。

この栓抜き、どこで売ってるんだろ(欲しかった〜)
酒好きのベトナム人が、ヤギ肉鍋とビールという最強の組み合わせを見逃すはずがない ── 店内では、あちこちで乾杯する家族づれや、友達グループの姿が認められる。
鍋に先立って、ハーブ類がたっぷり。

ハーブ類
全部食べきれないボリュームがあると感じるかも知れないが、鍋に投入すると、あっという間にボリュームが縮んでしまうので、これくらいあって、ちょうどなのかも知れない。
「とうふ」や、シメ用「麺」も提供されている。

とうふ

麺(シメ用)
日本の鍋でも同じみの食材が並ぶことにより、「鍋スイッチ」がONに入る。
この日は一人での訪問。

炭火を使う本格仕様

「お一人サマ」にも優しい
炭火を使う本格仕様、「お一人サマ」専用の鍋も用意されている ── 筆者の体験では、忙しい時間帯に訪問すると、一人での訪問は店側に断られることもあるので、開店間もない、混雑を避けられる早めの時間帯が狙い目。
鍋は、あっさりスープがベースとなっているので、日本人にも食べやすい味わい。

美味しくて、箸がとまらなくなる
鍋は一度開始すると、ノンストップの美味しさ。
鍋を箸でかきまぜると、底の方に、ヤギ肉がゴロンゴロン転がっているのを確認できて、幸せな気分に。

コリコリ食感のヤギ肉が、ゴロンゴロン入っている
ヤギ肉は、よく処理されており、生臭さ、食べづらさを感じることが一切ない。
食材は、追加購入することもできるが、大柄な成人男性である筆者でも、かつて一度も追加購入する必要性を感じたことはない。
二千円ほどの予算で、超ハイクオリティな鍋と、ビール三本くらいを楽しめるという、ありえないコスパに、再訪を誓わずにはいられない一軒だ。
和風だしに通ずるものを感じる、アッサリ鶏肉鍋の専門店「Nha Hang Hoa Lo」|日本人もリピート必至
ハノイは、川や湖に満ち溢れた「水都」の名にふさわしい街だが、ハノイ最大の湖「タイ湖」畔の北部でひっそりと営業する、鶏肉鍋が一軒ある。
ホアンキエム湖からだと、バイクタクシーで三十分ほど離れているアクセスは「難点」だといえるが、それを十二分に補うことのできる魅力を持つ実力店だったりする。

店内の様子
まるで、小中学校の「林間学校」で泊まった、質素な宿(の食堂)みたいな雰囲気の店内。
この日は、開店時刻の十分前に到着。

開店十分で、どんどん客が来店
ハノイの鍋専門店で「お一人サマ」をするなら、早めの時間帯にアクションを取ることが大切 ── 混雑しているピークの時間帯だと、入店を断られ、鍋にありつけない憂き目に遭うことも。
鍋を前にして、ビールを楽しむ。

鍋前にビール。最高
グツグツ煮詰められている鍋、表面に水滴をつけたビール瓶 ── これらが同時に視界へ飛び込んでくるのは「絶景」と言っても良いと思う。
相変わらず、ボリューム最強の具材。

「無理ゲー」と思ったボリュームだが……
どの具材から投入しようかと迷っていると、店員さんが「鍋奉行」をやってくれた。

鍋奉行つき
店内が比較的、空いていたこともあるのだろうか、至れり尽くせりで接客してもらえ、ラッキー。
「薬味類」も豊富。

ベトナム醤油

唐辛子

ライム

食塩
どれを使うか、気分に応じて使い分けられるよう、四つの小皿が自動的に配膳されるのは、美食家の多いハノイらしい。
鶏肉は、びっくりするほど大量に投入されている。

アツアツをいただく
最初は、野菜よりも鶏肉を先に完食してしまわないように気をつけていたけれど、鶏肉が想定外の多さで「ペース配分」を誤り、野菜を先に食べ終わり、鶏肉だけが(若干の差で)残ってしまった。
鶏肉と野菜を完食したら、入店時からテーブル上に置かれていた即席麺「MILIKET」の封を開けよう。

鍋料理には定番「MILIKET」

ラーメン投入
鍋のシメとして投入する麺は、日本のスーパーに行けば、それ専用のものがあるけれど、個人的には、この「MILIKET」の方が好きだ。
適度な硬さが魅力の「チリヂリ麺」にとっては、鍋でグツグツ煮詰められても、多少の硬さが持続することは重要ファクターだが、この「MILIKET」はそこらへんを弁えており、鍋シメ用としては、最強クオリティ。

極上の出汁でいただく即席ラーメン
「最強の麺」に、鶏肉や野菜のだしがたっぷり含まれた「最強のスープ」をからめて口にふくめる多幸感が、ハンパない。
秋〜冬場のハノイ観光において、この鶏肉鍋をスキップするなんて、愚の骨頂である ── 地元っ子や、ハノイに長年暮らす日本人だけが楽しんでいるとしたら、それは相当ズルいと思う。
鶏肉鍋以外のメニューも、魅力的。

その他メニュー 1

その他メニュー 2
一人で訪問した筆者は、あいにく、これらにトライする胃袋スペースが残されておらず、泣く泣く「お会計」。
まとめ:予算の相場、開店時間の目安など
以上、ハノイで最強だと筆者が思っている鍋専門店をご紹介した。
ざっくりとした目安では、予算なら2,000円/人、開店時間なら午後六時ごろだという感覚を持っておけば良い。
忙しい時間帯なら、「お一人サマ」できるか、事前に確認してから店を訪問するのが安心 ── ホテルのスタッフは、たいてい、レストランに電話するくらいの「ご用事」であれば、気軽に引き受けてくれるだろう。
もう一度言うが、ハノイ観光は鍋がとにかく最強の娯楽である。