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淡水(ダンシュイ)から八里(バーリー)への船旅は、旅気分アゲアゲ
何度か訪問したことのある淡水だが、まだ、対岸へ渡ったことはなかった。
淡水からはボートが出港しており、十五分くらいで、対岸の「八里」へ渡ることができる。

淡水の対岸「八里」へは、ボートに乗れば十五分という、お手軽アクセス
「八里」に特別おいしい店がある、という情報を事前入手していたわけでもなかった。
ただ、今回の旅行に、ちょっとしたアクセントをつけたくて「船旅」に出よう、って魂胆だ。
「八里」で、何かしらの美食と出会ったり、新しい体験が得られたりしたらラッキー。なくてもドンマイ、オッケー。
きっぷ(往復で四十五元)を買い、船着き場へ。

淡水の船着き場。写真を撮る人、座って休息する人、さまざまだ

船着き場で待っていると、三十人乗りくらいの中型船がやってきた

「八里」には、よい釣りスポットがあるのだろうか。釣り人の姿も

船内は、ほとんど満席の状態
ほんの十五分ではあるが、「船旅」のはじまりである。
出航すると、船のエンジン音の回転音が高まり、自然と、気持ちも高揚してくる。
エンジンの振動が伝わってくるシートに座り、風を切って水上を走るだけでも、旅情が胸の中を走りぬけていく。

さきほど買い求めておいた「卵タルト」を船上でいただく

よく見ると、ニコニコマークの模様になっている

やがて「八里」の集落が見えてきた
台湾・八里(バーリー)|船着き場の真正面は、市場も廟も一式そろう「八里渡船頭老街」
「八里」へ到着。
船には、子連れの家族も多かったのも納得。
たった十五分間の船旅なので、子どもが(船に退屈して)むずがる前に到着できてしまうのだ。

水位が低くなって、地面へ「おすわり」するボートたち
船着き場の周辺は、水位が大きく下がって、ボートが地面へ「おすわり」してしまっている。
ここ淡水河は、すぐに海へ流れ出るという地理的要因があるため、きっと、河でありながら、まるで海のように水位の「満ち引き」があるのだろう。
船を降りたら、すぐ真正面は「八里渡船頭老街」。

船着き場の真正面にある商店街。夜にやって来たら、カラフルな電灯で、もっと賑やかだろう

台湾はどこへ行っても「廟」がある。その出没率は、コンビニ以上かもしれない

いろんなお店が出ている。ただ、食欲をそそるほどの「一軒」は、まだ見つからない
インターネットでは「何もない」という口コミの多かった「八里」。
実際に来てみると、船着き場からすぐの「八里渡船頭老街」には、市場や廟など、台湾の旅情を誘うために必要な「役者」は一通り揃っており、悪くはない。
こじんまりとはしているが、台湾あるきが好きな人なら、がっかりしないだろう。

木陰で台湾ビールを「給油」して体力回復、「八里」観光にそなえる

「八里」ではレンタル自転車業者が営業しており、自転車の種類が豊富。家族で乗れるタイプの車種も

なんと、自転車も一緒に入ることのできる「トイレ」が整備されている
十五分でやって来れるお手軽感に加え、廟や市場もあるので、ほどよい台湾感も味わえる。
だが、ここで「八里」訪問を終えてしまうのも、もったいない。そう思って「八里」の地図を見渡すと、面白そうなスポットを発見。
台湾・八里(バーリー)|「十三行博物館」まで、灼熱炎天下のウォーキング。おおいにバテる
「八里渡船頭老街」をウロウロしてみるが、とりたてて「ここで食べたい」というレストランが見つからない。
最悪、対岸「淡水」へ戻ってから食べればよいと気軽に構える。
お腹を空かせるため、「八里」をもっと探索してみようと思って見つけたのが、「十三行博物館」だった。

距離にして 3.3km なので徒歩でいけると思った「十三行博物館」だが……
「八里渡船頭老街」から、3.3kmという距離に「十三行博物館」があるという。
徒歩にはちょうど良い距離だと思って、実際そうなのだが、ここは南国・台湾であることを忘れていた。安易にウォーキングをスタートさせて、のちのち、後悔することになる。

博物館めざしてウォーキングを開始。三月と言うのに炎天下がきびしく、かなりコタえる
歩いてみると分かったのだが、日差しは距離を長く感じさせる。




台湾人の友人に弱音を吐くも、軽やか〜にスルーされる。
「たった3.3km」と思ってスタートしたものの、まるで映画『スタンド・バイ・ミー』のワンシーン、主人公らが線路の上を、ただただ歩き続けるような気分。

「やせ細ったヘチマ」のようなカタチの植物。「自分が地面へ落ちることで、種をばらまき、子孫を残すやつ」だと、友人による説明

博物館近くにある巨大な「汚水タンク」。外壁のアートも巨大

ようやく博物館へ到着
やっとの思いで、博物館へ到着。
3.3kmという距離は大したことがないけれど、ものすごい日差しがキツい。体力がどんどん奪われていき、博物館が近づくまでに、三回くらい日陰で休憩しなければならなかった。

遺跡の展示をやっているみたいだ
入館料は、八十元。
友人(台湾人)は、IDカードを見せて、無料で入場していた。
博物館前に、土器(?)の写真があるあたり、遺跡ものの展示が充実しているのだろうか。

博物館の内観。打ちっぱなしコンクリートの壁は、清涼感がある

博物館の内観。現代的な印象のデザイン

博物館の内観。吹き抜けがあり、最上階の「渡り廊下」は、床が透明になっている

最上階の渡り廊下。写真ではわかりづらいが、床が透明になっている

遺跡の調査現場を再現した展示も
ここ一帯は、遺跡が発見されたエリアである様子。
この地に博物館が建てられたのも、周囲の遺跡を保護・研究する目的があるようだ。

遺跡に関連する民族服飾の展示も
展示をぜんぶ見てまわるのに、おおよそ一時間ほど。
日差しで弱った体力を回復するにも、「八里観光」のちょうど良い休息スポットだろう。

博物館の出口にある大階段

博物館の出口。左右両側を、打ちっぱなしのコンクリート壁に囲まれた、印象的な空間
博物館からの帰りは、バスを利用。


テコを使っても動く気配のないアジ吉の様子をみて、友人もバスで。
エアコンの効いた車内は快適すぎるくらいで、あれほどしんどい思いをしてやってきた道のりも、あら不思議、たった十分ほどで、元の場所へ。
アラジンに出てくる「魔法の絨毯」に乗った気分である。
クルマの発明の偉大さを実感。
名称 | 十三行博物館 |
住所 | 新北市八里区博物館路200号 |
開館時間 | 午前9:30〜午後5:00 |
台湾・八里(バーリー)|「阿公的老店」にて、「揚げ太ちりぢり麺」の素晴らしき世界を堪能
「八里渡船頭老街」へ戻って来た。
念のため、もう一度、老街を散策して、気になるレストランがないかチェックしてみることに。

ふと目に飛び込んできた「阿公的老店」
店頭に積まれた「揚げ太ちりぢり麺」が、とっても気になるお店を発見。
朝やって来たときは、人だかりで「カモフラージュ」されてしまい、こんな店があるとは気づかなかったが、人だかりのピーク時間帯を過ぎると、とても目立つ存在だったのだ。
是非とも、この「揚げ太ちりぢり麺」を食べてみたいと思った。

その店名を「阿公的老店」という。

いまは午後二時半、昼食ピークの時間帯を過ぎたので、比較的すいている店内

一品目。日本語でいうところの「海鮮やきそば」といったところだろうか。お値段、百五十元
「海鮮やきそば」っぽいメニューを注文。
スープがたっぷりかけられており、ほどよい塩味が食欲を刺激して、あっという間に完食。




初歩的な中国語会話しかできないアジ吉にとって、こういうとき、台湾人の友人がいてくれると助かる。友人のチカラをかりて、店員さんに「揚げ太ちりぢり麺」であることを確認してから、「リベンジ」の二品目をオーダー。

二品目。これぞ、店頭に積まれていた「揚げ太ちりぢり麺」。お値段、二百元
次にテーブルへ届いたのは、まぎれもなく、店頭でみた「揚げ太ちりぢり麺」。


日本料理でたとえると、長崎の揚げそば(の麺を太くしたもの)といったところだろうか。
麺が完全に覆いつくされるほどコンモリと、具材が投入されている。

惜しみもなく具材が豆乳されており、食べ応え十分
「二百元」という価格設定が、観光地プライスな気もしたが、十分に価値あり。
弾けそうにプリプリなイカは、「天下一」といってもよい美味しさだし、ムール貝っぽい高級そうな具材も投入されているのは、食べる人々の気持ちを高揚させてくれるだろう。
そして何より、「揚げ太ちりぢり麺」の味わいが、良かった。
コシのある麺に、スキマなく、さらさら食感スープが絡み込んで、歯ごたえと舌触りを楽しませてもらえた。

これが「阿公的老店」。ビジュアル的にも目立つはずだが、人だかりの多い時間帯だと、見逃してしまう
最後の最後まで、だめ押し歩きをしたこと功を奏し、「運命の一軒」との出会いにつながった。
大満足、大充実の「八里」ステイ。
店名 | 阿公的老店 |
住所 | 新北市八里區渡船頭街3号 |
八里(バーリー)から淡水(ダンシュイ)への船は、淡水の全貌が見渡せる「特等席」だった

帰路の船に乗る。あいかわらず、大勢の人々が乗り降り

寝る気マンマンだったアジ吉だが、船が出発すると、すぐに目がパッチリ覚めた。
船頭が淡水方向を向いていることで、船からの風景も、「行き」に見たものとは、完全に別ものだったのだ。

船から眺める、淡水の街。思ったよりも、高層ビルがたくさんそびえ立つ街なのだ

背後に山、前面に海という地理的条件は「神戸」を思わせる

MRT淡水駅

人口密度が心配になるほどの、ビルディングの密集具合
大して期待していなかった船旅だが、淡水・八里ルートは、帰り(八里から淡水)こそ、素晴らしい。
夕暮れ時のクルーズだと、また、これとは異なったバリエーションの景色になるだろうし、また是非トライしてみようと心に誓った。