台北

迪化街(台北)の観光|台湾グルメを楽しむ、街全体が「大きな台所」となる早朝の街歩き

投稿日:2018年5月27日 更新日:

午前六時台に、西門から街歩きをスタート

ホテルを出払って、西門から街歩きをスタートしたのは、まだ午前六時台のことだった。

台湾の街歩きは、空気が澄んでいて、朝市や朝食店の元気な早朝こそ「ゴールデンタイム」

早朝が一番

早朝が一番

警察署も、まだお勤め開始前の時間帯なのだろうか。

パトカーならぬ「パト・バイク」は、ちょっとした台湾名物といっても良いだろうが、国土の狭い台湾では、小回りがきいて大活躍である。

パトバイク。整然と駐車

パトバイク。整然と駐車

朝の廟。

台湾の廟は、規模の大小かかわらず清掃が行き届いているが、その背景には、こうやって、朝から清掃に勤しむ近所の人たちの存在がある。

朝の廟

朝の廟

廟を鑑賞する楽しさは、同じ廟でも、訪問するたび、新しい発見が得られることにある。

装飾品は、職人の息づかいが感じられるほど繊細に造り込まれており、そこには、言葉では語られることのない「物語」が表現されている。

「物語」が込められている装飾品

「物語」が込められている装飾品

台湾では、日本統治時代に義務づけられた影響から、どの街にいっても、「騎楼」と呼ばれる軒下歩道がある。

「騎楼」とは? …… 道路に面した家々が、まるで建物の一階部分(の一部)をくりぬくように建てられており、その「くりぬき空間」が連なりあって形成される「軒下歩道」のことである。

雨の日でも、濡れずに移動でき、晴天の日には、強烈な日差しから逃れられる。

今やすっかり、台湾人の生活に欠かすことのできない建築スタイルになっていると思う。実際、雨や日差しを避けられる「騎楼」は大変便利で、なぜ日本には普及しなかったのか、残念で仕方なくなることがある。

軒下歩道「騎楼」の光景 1

軒下歩道「騎楼」の光景 1

大切なバイクを日差しや雨から守るにも、「騎楼」は格好の駐車場所

合法か違法か知らないが、台湾の人々は「騎楼」のド真ん中に、堂々とバイクを駐車してしまう。

軒下歩道「騎楼」の光景 2

軒下歩道「騎楼」の光景 2

小さな廟が、「騎楼」の空間に建てられているところもある。

信仰心の厚い台湾の人々は、通勤通学途中でも立ち止まって、老若男女、熱心に祈りを捧げる様子がうかがえる。

軒下歩道「騎楼」の光景 3

軒下歩道「騎楼」の光景 3

「恋愛成就」の神様がいる廟、早朝から働いて暑さを回避する台湾の人々

西門から北上して歩き続けること三十分。

商店の密度が一気に増すと、そこは「迪化街(ディーホァジェ)」と呼ばれるエリアである。かつては、「大稲埕(ダーダオチェン)」という名称で呼ばれた一帯だ。

商店のカラフルな看板が果てしなく続く

商店のカラフルな看板が果てしなく続く

ちっちゃな古ぼけた廟は、「霞海城隍廟」

気のせいか、若者の参拝者が多い雰囲気だけれど、実際そうである。

「霞海城隍廟」で祈りを捧げる地元っ子

「霞海城隍廟」で祈りを捧げる地元っ子

恋愛成就のご利益がある「月下老人」で有名なので、日本人観光客も、多く訪れる。

境内には、百五十年以上前に、中国本土(福建省)から人々と共に渡ってきた像が設置されているという。

すぐ近くの「永楽市場」では、商品の仕出しに勤しむ人々。

「永楽市場」にて

「永楽市場」にて

台湾の朝は、本当に早い。

まだ涼しい早朝から働き始めて、お昼が来る前には、いったん店を閉じてしまう。こうすると、一番暑い時間帯を避けることもできるという人々の知恵があるからだろうか。

朝食は、外で買って食べることが浸透している「朝グルメ先進国」台湾

朝の台湾は、街全体が、大きな台所みたいだ。

外食文化が発達しており、朝食は外で食べるのが一般的な「朝グルメ先進国」台湾。

そして「朝食屋」では屋外にテーブルが広げられていることが多い。早朝のひんやりとした空気だと、外で食べた方が気持ち良いのかも知れない。

朝食を愛でる人々 1

朝食を愛でる人々 1

朝食を愛でる人々 2

朝食を愛でる人々 2

伝統ある廟のある街を散策をしていると、焼きたてのパンの匂いが漂ってくる。

東洋的なものが視覚から、西洋的なものが嗅覚から、同時インプットされ、ハッとする違和感。それが台湾の町歩きだ。

焼きたてのパンの香ばしいにおいも

焼きたてのパンの香ばしいにおいも

「ご主人様」の食事が終わるのを待つ、モフモフわんこ

「ご主人様」の食事が終わるのを待つ、モフモフわんこ

めくるめくB級美食グルメに舌鼓

早朝から、人々の集まる店が二軒ある。

粥で有名な「清粥小菜」と ビーフンで有名な「民楽旗魚米粉湯」だ。

早朝にもかかわらず、地元民で賑わう朝食屋

早朝にもかかわらず、地元民で賑わう朝食屋

「清粥小菜」|全米が涙する味の一皿料理がそろった、超おすすめの朝食屋

まずは、「清粥小菜」からトライ。

注文は、「指差し」オーダー方式。

「清粥小菜」

「清粥小菜」

こんがりと日焼けをした、健康そうなおばさんがいて、客の「指差し」タイミングに合わせるかのように、阿吽の呼吸リズム、次々と料理を小皿に盛ってくれる。

まるで、一糸乱れぬタイミングで行われる、息の合った餅つきを見ているような気分が味わえる。

客の「指差し」と、阿吽の呼吸で、料理を小皿に盛りつける

客の「指差し」と、阿吽の呼吸で、料理を小皿に盛りつける

卵焼き、茄子の炒め物、おかゆ、そして、魯肉飯。

これだけ頼んで、たった90元(三百三十円)。安い。

あっ!と思い出すようにして、目の前にあったコンビニに立ち寄って、台湾ビールも一缶ゲット。

「指差し」オーダーで、マイ朝食をゲット

「指差し」オーダーで、マイ朝食をゲット

アツアツを期待して口に運んだ卵焼き、茄子の炒め物は、ちょっと冷めていた。

でも、すぐ理由に納得

アジ吉
あぁ、わざと冷ましているんだな、これは

熱々で食べるよりかは、冷やした方が、まるで「一晩寝かした」ように、味が染み込んで、落ち着くのだ。

卵焼き

卵焼き

茄子の炒めもの

茄子の炒めもの

美味しいグルメは、ここで終わらない。

おかゆと魯肉飯の組合せが秀逸。

おかゆと魯肉飯(ルーローファン)

おかゆと魯肉飯(ルーローファン)

魯肉飯は、驚異的な透明感ある味。

目隠しをされた状態で、この魯肉飯の汁を飲むと、まるで魚などの海鮮素材で出汁をとったかと思うほど、まろやかですっきりした味。

豚のそぼろも、すっきりとした脂分の少ない味わい。脂分がないと言っても、スカスカ物足りなさがするわけでもない。「脂感」ってある意味、肉を食べるときの喜びであるから、それを完全に取っ払ってしまうのは、肉を味わう醍醐味を失うことでもある。

この店、そういうポイントが実によくわかっていて、脂分が、まるで小さなアクセサリのように、遠慮程度に、まぶされている味わいだ。

おかゆの煮炊きぐあいが、これまた天国的なバランス。

煮過ぎたらドロドロしてしまい、煮足りないと、「喉越し」がわるくなる。

ここのおかゆは、そのどちらの方向に向くこともなく、ドンピシャの最高ポイントで調理されている。まさに、老舗のみぞ知るノウハウが詰まっているのだろう。「おかゆ」という、究極的にシンプルなレシピだが、シンプルだからこそ、腕の見せ所がある。

もう、ここのおかゆは、ギネスブックに認定されたり、文化遺産に登録されても良いのではないかと思えるほど、絶品。毎日食べたい。このおかゆのために、台北へ永住したい。

「伝説の魯肉飯」、「伝説のおかゆ」を交互に食べると、感動の波が押し寄せるのであった。

「民楽旗魚米粉湯」|カジキの出汁とすり身が、胃と心に優しい、あっさりビーフン

お次は、「民楽旗魚米粉湯」をハシゴ。

「民楽旗魚米粉湯」

「民楽旗魚米粉湯」

テーブルに相席で座ってきた母娘が注文した、ビーフンが美味しそうなので、指差し注文。

お値段、たったの三十五元(百三十円)と日本でカップラーメンを買うのと変わらない

リーズナブルに朝食を楽しめる

リーズナブルに朝食を楽しめる

本当にリーズナブルな価格で朝食を楽しめるからこそ、台湾には外食文化が根付いたのだと思う。

アジ吉
日本にも、台湾の朝食屋がオープンしてくれたら、ゼッタイ毎日通うのに……

台湾旅行へ来るたび、いつも思う。

「ビーフン」

「ビーフン」

ビーフンの麺は、多分わざと、短めに切られている

短い麺がチュルッと口に入る感覚や、コリコリ・プチプチといった歯ごたえが、これまたスゴくいい

朝でも、胃に優しい味わいだ

朝でも、胃に優しい味わいだ

カジキの出汁が効いており、かつ、すり身もまぶされているので、カジキの味わいが余すことなく口に飛び込んでくる

ここに、赤い瓶の調味料を加えるのがミソ。

ちょっとピリ辛の「アクセント」も添えよう

ちょっとピリ辛の「アクセント」も添えよう

ちょっぴり辛い味をアクセントとして加えることで、カジキだけだと、若干あっさりし過ぎて、淡白で単調な味わいになりがちだが、そこへ絶妙な強弱アクセントをつけてくれる。食中の楽しみも、五割り増しだ

もちろん、かけすぎると台無しになってしまうので、ちょっとずつふりかけて、自分にとってベストなあんばいに調整したい。

スパイスの分量は、自分にとって「ベストポイント」を、注意深く見定めよう

スパイスの分量は、自分にとって「ベストポイント」を、注意深く見定めよう

食後の散歩

朝食後は、ひきつづき、迪化街エリアの散策

「高建桶店」|形さまざま、色とりどりの鞄が楽しい

こちらは、創業七十年以上の伝統ある「鞄」屋。

「高建桶店」

「高建桶店」

よくぞここまで品揃えを豊富にしたものだと感心せざるを得ないラインナップ。

台湾人が、市場での買い物によく使っているタイプの鞄も、店頭に並んでいる。

台湾人がよく使っている、「あの鞄」も売られている

台湾人がよく使っている、「あの鞄」も売られている

とてもここでは紹介しきれないが、店内へ入れば、もっとたくさんの品物が。

竹細工のかご、扇子から、東南アジアの雑貨系アイテムまで、一時間くらい軽く過ぎ去っていきそうな楽しいお店である。

店頭の品揃え 1

店頭の品揃え 1

店頭の品揃え 2

店頭の品揃え 2

店名 高建桶店
住所 台北市迪化街一段204号

この店の他にも、「迪化街」には、多くの「鞄」屋が営業している。

早朝の時間帯に訪問してみると、壁に、鞄を一つひとつレイアウトしているおばさんの様子も目に飛び込んできて、面白い。

「開店」準備は大変

「開店」準備は大変

「大稻埕碼頭」|台北の風景アートが施された河川敷。市民憩いの場

淡水河がある方向へ向かうと見えてくるのが、「大稻埕碼頭」

「大稻埕碼頭」

「大稻埕碼頭」

淡水河川敷には、サイクリングやジョギングを楽しむ市民の姿もあった。

河川敷沿いの壁には、きっと「迪化街」だと思うが、台湾の風景アートが描かれている

壁アート

壁アート

ほどよく散歩に満足したところで、MRT中山駅へ向かう。

この後は、「松山慈祐宮」かいわいで行われるお祭りイベントへ参加。その様子を、多数の写真つきで詳しくレポートした記事を近日中に公開するので、是非ともチェックいただけると嬉しい

(おまけ)台北市内、あるいは台北から日帰り可能な、オススメの穴場グルメスポット

本記事を楽しんでいただけた方は、きっと、以下記事についても、興味を持っていただけると思う。

いずれも、おどろくほど「穴場」の名グルメぞろいなスポットである。

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Ajikichi

「美味しくなければ旅じゃない」が口癖。旨いものを求め、約三十か国を食べ歩く中で、台湾・ベトナムが誇る「感動的食文化」との運命的出会いを果たす。毎年、十回ほど「外食」と称して渡航。 仕事はエンジニアをしており、デザイン思考が気になる今日この頃。

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