ハノイ

ハノイ旧市街地から「ミニ旅行」。2時間あれば行って、観光して、帰ってこれるガイドブックにない片田舎「Dong Ngac地区」へ

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ハノイ最終日。

昼からはノイバイ空港へ移動しなければならないため、何かをするとしても、午前中にしか時間を取れそうにない。

ハノイ訪問回数は、とっくの昔に二桁台へ突入しており、あの方角も、この方角も、行ったことのあるスポットばかり ── 観光スポットは「ネタ切れ状態」にあるが、レストランは開拓できていない店が数多く残っており、これが筆者をハノイ訪問へ駆り立てる最大の原動力となっている。

とりあえずは、ホテルの朝食を愛でながら、午前中のアクティビティを練ることにした。

ハノイは、ホテルの朝食に限ったことではないが、とにかくグルメのクオリティが高い ── しかも、安いとくる。

ホテルの無料朝食

ホテルの無料朝食

かつて「バックパッカー聖地」といえば、バンコクのカオサン通りを意味していたというが、タイの都心部は物価が上昇し、魅力は薄れてしまっていると思う ── その面ハノイは、物価が安く、グルメは世界トップレベルのクオリティであり、安宿は豊富にあるので、バックパッカー天国だと言える。

一例として、ハノイの「ゲストハウス」について補足すると、一泊500円(相部屋)くらいで滞在できてしまうことに加え、日本ファミレスのクオリティを軽く凌駕する美味しさの朝食が、無料サービスされるのだから、ハノイをバックパッカー天国と言わず、どこを言おうか。

スマホ片手で朝食をいただきつつ、Google Mapsを眺めていたら、何となく気になるスポットを発見。

Dong Ngac地区の場所

Dong Ngac地区の場所

旧市街地やタイ湖のある「観光客エリア」から、バイクタクシーで片道三十分ほど離れた場所に、「Dong Ngac」という名の地区がある ── 果たして、ここに「観るべきもの」があるかは分からないが、紅河に面しており、かつ、都心からも離れているため、昔ながらの素朴な街並みが残されているのではないか、と考えた。

本記事は、Dong Ngac地区での筆者の体験を、レポートとしてまとめたものである。

Dong Ngac地区を訪問

タイ湖畔でバイクタクシーを拾ったら、女性ドライバー。

華奢なベトナムの女性に、外国の大柄な男を後ろに乗せて走るバランス感覚があるのか不安だったが、杞憂に終わった ── オネーサンは、なめらかに発車したかと思うと、終始、丁寧な安全運転でDong Ngac地区まで筆者を連れて行ってくれた。

よくよく考えてみれば納得の行くことで、バイク運転は、ベトナムの「国技」とでも言うべき領域 ── 何十キロもあるだろう冷蔵庫、あるいはドラム式洗濯乾燥機を、原付バイクの後ろにくくりつけて運んでいる様子はよく目にするし、まるで「中国雑技団」のように絶妙なバランス感覚で、難なく運転してしまう。

ベトナムの市民生活において、衣食住という三大要素の次に大切な生活基盤は、間違いなく「原付バイク」であろう ── そう断言できるほど、人々の生活にとって、なくてはならない存在であることは明白だ。

オネーサンと交渉をし、三十分ほど待機し、帰りも乗せてくれるようにお願いしたら、「あいよ」という感じの、サバサバしたリアクション。

素朴な雰囲気の小学校

素朴な雰囲気の小学校

賑やかな声が聞こえてきた方向に目をやると、小学校の校舎があり、その校庭には、「体育」の授業中だろうか、先生の言うことを聞いている子どもたちの姿。

決まった「観光スポット」や「観光ルート」があるわけじゃないけれど、何となく、ここを【スタート地点】がわりにしようという気になった。

小学校の敷地に沿って歩くと、大きな「ゲート」が登場。

集落のゲート

集落のゲート

ハノイの古い街を訪問すると、たいてい、集落の入り口に、立派な「ゲート」が建てられているため、これをくぐった先がDong Ngac地区の「見どころ」だと推測できた。

そもそも観光ルートに「模範解答」なんて存在しないので、自分の気持ちが赴く方角へ歩き、自分の目を楽しませられるようなモノを探せば良い ── ガイドブックが存在しないため、百人いれば百通りの「観光ルート」ができてしまうところに、ハノイの片田舎を歩く楽しさはあると感じる。

集落の民家は、一つひとつが、個性的なデザインの門。

門コレクション 1

門コレクション 1

門コレクション 2

門コレクション 2

門コレクション 3

門コレクション 3

門コレクション 4

門コレクション 4

どれ一つとして、同じデザインの門はない

どれ一つとして、同じデザインの門はない

門のデザインが「表札」の代わりになっているのだろうか ── 門に、家族の名前を示したプレートが貼り付けられていない様子を見て、そう感じた。

これだけ多くの民家があって、どれ一つとして、デザインが被っていないから、不思議。

路地裏に入ると、垢抜けてはいないものの、清掃の行き届いたお寺が、ひっそり建っている。

境内の様子

境内の様子

こちらは、なにやら「王様」っぽい人物が馬に乗り、「お付きの人」を大勢従えて行進する様子を描いたもの。

王様?を乗せた馬

王様?を乗せた馬

あまりにも静かな境内に、「誰もいない」と思っていたら、ホウキで地面を掃く、初老の女性 ── 外国人観光客が来ることなど、滅多にないだろうが、まるで「近所の人」へ会釈をするような自然さで、微笑んでくれた。

言葉が通じるわけではないが、笑顔は万国共通の「あいさつ」。

こちらが「本堂」と考えられる、こじんまりとした建物。

小さなお寺

小さなお寺

外国の寺院に来ると、その国の言語でなければ「願いごと」が通じないのだろうかといつも思うが、せっかく来たのだからということで、日本語で新年の祈願。

こじんまりとした集落であるため、小一時間もあれば、「片田舎」の雰囲気を満喫でき、ハノイ観光時の「ミニ旅行」としてピッタリ。

ハノイ観光は、だいたいの場所をコンプリートしてしまったという方であれば、次回のハノイ旅行プランに組み込んでみては、いかがだろうか。

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(おしまい)

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Ajikichi

「美味しくなければ旅じゃない」が口癖。旨いものを求め、約三十か国を食べ歩く中で、台湾・ベトナムが誇る「感動的食文化」との運命的出会いを果たす。毎年、十回ほど「外食」と称して渡航。 仕事はエンジニアをしており、デザイン思考が気になる今日この頃。

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