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はじめに:12時間の船旅で、深夜の基隆へ到着
「台湾最後の秘境」馬祖列島めぐりの旅を終え、12時間フェリーに揺られてたどり着いたのは、「台湾のロンドン」基隆(jī lóng)の街。
いつ来ても、雨に見舞われなかった試しはなく、たとえ雨が降っていないときでも、どこかドンヨリとした雰囲気は、ロンドンを彷彿とさせる、そんな街である。

馬祖列島からフェリーで基隆へ
長時間の船旅による疲れと、基隆特有の鬱蒼とした雰囲気が重なり合って、何もする気が起こらなかった。
iPhoneの時計を見れば、23:30と表示されている。
何もする気が起きない以前に、(そもそも)これから何かをしようとする時刻でもなかったのだった ------ もしここが基隆でなければ。
「張媽媽香腸&肉串」訪問レポート
基隆は、夜が元気な街である。
ロンドンのように、薄暗い空気が街全体を覆っているのは昼間のみで、いったん日が沈めば、そういったネガティブな雰囲気も、暗闇によって「カモフラージュ」され、さして気にならなくなってしまう。

有名な「KEELUNG」のイルミネーション
いわば【昼だけロンドンっぽくなる】環境のためか、基隆では、夜から張り切る店も多く、夜10時を過ぎても街全体が明々としている。
夜7時を過ぎた途端、次から次へと店を閉めてしまう台北には、基隆のガンバリ具合を少しは見習ってほしいと切に願う。
屋台の立地
基隆駅から徒歩二分ほどにある「一等地」の街角で、夜10時に開店する屋台がある。

屋台が出没する街角の「住所」
その街角に取り付けられてあった住所プレート。
「行列」を形成すると交差点からはみ出してしまうからだろうか、屋台を360度取り囲むように【円陣状で】人だかりができている。

人だかりのできる屋台
人だかりを目印にすると、屋台はすぐに見つかるだろう。
屋台を切り盛りする名コンビのお二人
屋台を切り盛りするのは、母親と息子くらいの年齢におもえる、オバさん、お兄さん。
オバさんは、目に見えないほどの超高速スピードで、お箸を使って肉をひっくりかえし、火力がまんべんなく伝わるようにしている。

猛スピードの「調理ショー」
焼き上がったソーセージは、ハサミでパチンパチンと切り込んでいくのだが、オバさんの作業があまりにも素早すぎるので、最前列で待っていた客の手や腕に、ソーセージから熱い肉汁が飛び散り、「アッ!」という悲鳴が聞こえてくる。
そんな様子を気にも留めず、ハサミの音は、パチンパチンと無情に鳴り続けるのであった。
オバさんとコンビで働くのが、注文取りと料金回収を担当するお兄さん。

注文取りと料金回収を担当する、お兄さん
ガツガツとした働きっぷりのオバさんとは対照的に、寡黙な雰囲気であり、注文をしても、はたして伝わったのかどうか不安になるほど反応が薄い。
いったいどうやって客と注文内容をマッチングさせているのか不思議になるが、A5判のメモ用紙に、読めないくらい小さな字で何かを書き記してある。
そのメモによって、たしかに、客とオーダーが間違いなくマッチングされているから、すごいと思う。なにせ、客は列をなすわけではなく、屋台を囲んで【円陣上に】に散らばっているのだから……
メニューは二種類、昭和時代からお値段据え置き
メニューは香腸(xiāng cháng)と肉串(ròu chuàn)の二種類しかなく、両方をオーダー。

「香腸」は30年以上、お値段すえおき
「香腸」の価格は30年以上、据え置きだというが、昭和時代の料金設定が今でも続いているって、何気にスゴいことだと思う。
注文を伝えてから待つこと三十分弱、ようやくオーダーの品が手元にやって来た。

念願の「マイ肉」ゲット!
お味は、アツアツでジューシーなお肉が最高。
大きなニンニク片も入っており、これ以上のものを、酒のツマミに求めることができようか?という感じ。

「香腸」

「肉串」
たった55元(約200円)という驚異的コスパで、このクオリティをいつでも楽しめる地元民は、ズルい。
コンビニで台湾ビールを買い足し、美味しく頂いた。
店名 | 張媽媽香腸&肉串 |
住所 | 基隆市基隆市仁愛區孝三路62号 |
営業時間 | 22:00-25:00(日曜定休、完売次第終了) |
電話 | 0912-512-992 |
まとめ:鴨肉麺線と鴨肉飯でシメて、心も胃袋も満たされる
すっかり日付が変わろうとしていたが、この時間帯になっても、まだ明々と営業している店舗がある。
夜市でもないのに、普通の飲食店が、かなり夜遅くまで開いている基隆、本当に素晴らしい。
鴨肉専門店があったので、そこで「鴨肉麺線」と「鴨肉飯」を注文。

「鴨肉麺線」

「鴨肉飯」
深夜到着のため「今日はチェックインと寝るだけかな……」と思っていた基隆。
思いのほか、イケてる夜食スポットと巡り会うこともでき、心も胃袋も一杯に満たされ、【ダイエットは明日から……】と誓い、眠りについたのであった。