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台湾の八月は「オバケ月間」。台湾版ハロウィーンを最高に楽しむ【基隆訪問】の提案

投稿日:2018年7月30日 更新日:

はじめに:八月到来。神様からオバケへ、シーズンのバトンタッチ

四月〜五月の台湾は、【神様】のシーズン

この時期には、台湾各地の廟で、祭りが集中する。台湾人に最も愛される神様、「媽祖」の誕生日(旧暦の3月23日。例年、ゴールデンウィーク付近)が近いためで、彼女の生誕祭はもちろんのこと、そのお祭りムードへ「便乗」するかのように、媽祖と直接関わりのない祭りも多数開かれる

台湾旅行中、そういった【祭り】に遭遇した日本人観光客もいると思う。

「保生文化祭」にて

「保生文化祭」にて

六月〜七月の台湾は、全島がいったん「静けさ」を取り戻すが、八月の台湾は【オバケ】のシーズン

中国しかり香港しかり、もちろん台湾でもそうだか、中華圏では鬼月(旧暦の7月。2018年は8月11日〜9月9日)と呼ばれるシーズンなのだ。中国語の「鬼」は「オニ」ではない。英訳するとゴースト、日本語でいう「オバケ」の意味になる

「鬼月」は、オバケたちの月間

「鬼月」は、オバケたちの月間

ちょっと話が脱線して豆知識になるが、「鬼屋」と書いたら、「オバケ屋敷」あるいは「心霊スポット」だ。興味のある方は、Googleで「台湾 鬼屋」などと検索すると、ソッチ方面の情報がたくさんヒットするので、お試しあれ。

食べ歩きや、インスタ映えする写真撮影を目的とする旅行スタイルへ、そろそろ飽きてきたという台湾旅行者向けに【オバケの月】について、情報発信したい。

鬼月(the Ghost Month)の流れを形成する三大行事

鬼月の大きな流れは、三つの行事で形成されるていることを頭に入れると、理解がスムーズだ。

鬼門開(旧暦7月01日)

ゴーストのいる世界(あの世)と、この世を隔てる扉が開くという、恐ろしげな日である。

あの世からは、先祖サマはもちろん、悪霊や、誰にも供養されなかった霊まで「入場制限」なく、この世へやって来ると言われている。

この世とあの世の「扉」

この世とあの世の「扉」

霊のことをクィと言うが、そう呼んでしまうと霊が近づいてくることから、台湾の人々は言い方をかえてハォションティと呼ぶこともある。

■鬼門開(旧暦7月01日)のスケジュール(注:毎年日付が異なるので、五年分を掲載

  • 2018年08月11日
  • 2019年08月01日
  • 2020年08月19日
  • 2021年08月08日
  • 2022年07月29日

中元節(旧暦7月15日)

鬼月でも、一番メジャーな行事とされるのが、この「中元節」

そこら辺を徘徊している好兄弟へ、たくさんのご馳走をお供えして、バイバイ(お祈り)する。このとき、ツーチェンと呼ばれる紙のお金を燃やす習慣がある。ちなみに、金色の紙は「神様」専用、銀色の紙は「オバケ」専用と、それぞれ用途が決まっているあの世へ戻ってからも、不自由しないようにという、いわば「お小遣い」である。

街のあちこちで、線香を手に祈りを捧げる人々の姿を見ることができる。民家や事務所の前にテーブルを出しているが、それは、家の中に好兄弟が入ってきたら困るからである。

祈りを捧げる人々

祈りを捧げる人々

なお、このとき台湾の人々は、自分の先祖サマだけではなく、縁もゆかりもない、見知らぬ好兄弟も含めて、祈りをささげ、ご馳走をふるまい、お金を供えるという。

東日本大震災のときには、二百億円もの義援金を日本に送ってくれた台湾人の慈悲深さは、こういう文化から培われているのかも知れない。

■中元節(旧暦7月15日)のスケジュール(注:毎年日付が異なるので、五年分を掲載

  • 2018年08月25日
  • 2019年08月15日
  • 2020年09月02日
  • 2021年08月22日
  • 2022年08月12日

鬼門關(旧暦7月29日)

この世で、たっぷりご馳走を食べ、紙のお金の「お小遣い」をたくさんもらった好兄弟たちが、あの世へ帰り、「扉」が閉まる日とされる。

一ヶ月たっぷり、この世でリフレッシュした好兄弟たちが、来年の「鬼月」を心待ちにしながら、あの世(場合によっては、「地獄」という行き先も……)へ戻って行くというわけだ。

この世からあの世への「帰宅日」とも言える

この世からあの世への「帰宅日」とも言える

まるで、夏休みの終わりを惜しむ小学生のストーリーのようで、どこか人間味があって、哀愁を感じてしまう。

アジ吉
自分が死んだ後、もし、こういう【楽しみ】が本当にあるならば、どれだけ嬉しいだろう……

いまは他人事だが、人生の終わりを迎えたとき、こうやって年に一度、「この世」に戻って来ることができるシステムがあるのは、素晴らしいことだと思う。

■鬼門關(旧暦7月29日)のスケジュール(注:毎年日付が異なるので、五年分を掲載

  • 2018年09月09日
  • 2019年08月29日
  • 2020年09月16日
  • 2021年09月06日
  • 2022年08月26日

(参考)実は、タブーまみれの鬼月

こういった三大行事によって形成される鬼月だが、タブーまみれの月間としても、有名。

アジ吉
日本にも「お盆のあとに海水浴へ行ってはいけない」というタブーが存在するけれど、あれと似ているのかも知れない……

そう考えると、こういったタブーって、宗教的なものではなく、先人からの知恵(教訓)や助言が盛り込まれている風俗的なものなのだろうという気がして来る。

■タブーとされることたち(ほんの一例)

  1. 壁にもたれたり、壁沿いを歩いてはいけない。霊は冷たい場所を好むので、霊と接触してしまう。
  2. 口笛を吹かない。霊がついてきてしまう。
  3. 風鈴を枕元にかけるべからず。霊が、風鈴の音で呼び起こされて、やって来る。
  4. お金が路上に落ちていても、拾ってはいけない。悪い運がついてしまう。
  5. 歌仔戯(台湾オペラ)を鑑賞するとき、最前列のシートに腰掛けてはいけない。最前列は、霊のためにとっておくべき。
  6. 結婚をしてはいけない。霊が嫉妬するから。
  7. 車を買ってはいけない。交通事故に遭いやすくなる。
  8. 家を建ててはいけない。霊が住み着いてしまう。
  9. 肩を叩かれても、「顔だけ」で振り向いてはいけない。どうしても振り向くときは、体全体を一気に振り向かせること。
  10. 見慣れない虫が家の中にいても、殺してはならない。先祖サマが姿を変えて、家を訪問しているから。
  11. 山や海に近づかない。霊につれていかれる。
  12. 川へ近づいてはならない。遊んでいる人をみた霊が、自分の身代わりにしようとする。
  13. 外に、洗濯物を干してはいけない。濡れた衣類には、霊がとりつきやすい。
  14. 最終便に乗ってはいけない。霊がついてきてしまう。
  15. 夜に写真を撮ってはいけない。霊が写りこんでしまう。

この他にも、木に立ち小便をしない、ガジュマルを入り口に置かないなど、植物に関するタブーも存在するという。

「植物には霊が宿りやすい」という信仰が、台湾人の間に垣間見られて、とても興味深い。

鬼月の雰囲気をどっぷり味わうなら8月24日〜25日に基隆へ行こう

鬼月は、西洋文化に対比させると「ハローウィン」、日本文化に対比させると「お盆」に近いノリだと言える。

この鬼月は、特定地域の風俗ではなく、台湾全土(そして他の中華圏国でも)で見られるものだ。台湾でその雰囲気を味わう場合、どうせなら「メッカ」と呼べる基隆を目指したい

基隆廟口夜市

基隆廟口夜市

そして、可能であるなら、一ヶ月におよぶ鬼月でも、盛り上がりがクライマックスに達する「基隆中元祭」(旧暦7月15日、2018年は8月25日)を狙おう

このイベントについては、別途詳細記事も作成。

灯台、大砲
普通の観光だけで終わらせない基隆(台湾)、おすすめの祭りイベント「基隆中元祭」

目次1 はじめに:「基隆中元祭」をもっと日本人に広めたい2 「基隆中元祭」ざっくり雰囲気2.1 ゆる〜く開始する台湾イベント2.2 どこで見学するか?2.3 台湾のお祭り、原点は「ほどこし」3 「基隆中元祭」本パレード3.1 気分は「フルコ ...

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流れ行く灯籠を見守る見学者たち
台湾の「お盆」に行われる灯籠流しイベント。基隆中元祭「放水燈」の雰囲気、行き方楽しみ方

目次1 はじめに:「放水燈」の前提知識。関連記事をご紹介1.1 「オバケ月間」について1.2 「基隆中元祭」について1.3 「放水燈」について2 「放水燈」参加レポート2.1 行き方2.2 灯籠流しの光景2.3 帰りの交通機関3 まとめ:行 ...

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ぜひ、閲覧いただければ幸いである。

「基隆中元祭」の由来

台湾で初めて「重要民俗」国家文化財に指定された祭りであることからも分かるように、毎年、帰宅難民も発生するほど、多くの人々が押し掛けるイベントが「基隆中元祭」である

百五十年以上の伝統を誇る「基隆中元祭」だが、その背景には、悲しい歴史がある。

時はさかのぼって19世紀。大陸から多くの人々が台湾へ移り住んだが、その際、出身地の異なるグループ同士が、水利や開墾の問題をめぐって、いさかいが絶えることはなかった。1850年代、ついには100人をこえる死傷者を出すことになる大規模衝突が起きたことをキッカケに、各グループの大老が話し合いの場を設け、ようやく和解するに至った。

この悲劇を経験した人々が、犠牲者を弔うために始めた儀式こそ、今日の「基隆中元祭」の礎となっている。

「基隆中元祭」の見どころ

旧暦7月15日(2018年の場合、8月25日)とされているが、実際には、前日の旧暦7月14日から15日(同 8月24日から25日)にかけて行われる放水燈が、「基隆中元祭」一番の見所

「基隆中元祭」の日付

8月24日と25日は、基隆にホテルを確保して、がっつり「基隆中元祭」を楽しめる体制を取るのが吉。

夏休み中のため、ホテルが予約で一杯になる可能性もあるので、早めに基隆内のホテルを確保するようにしたい。

「基隆中元祭」の最新情報チェック方法

公式サイトはあまり更新頻度が高くなさそう(台湾あるある)なので、Facebookによる情報収集が良さそう

「基隆中元祭」の重要情報リソース

以下のサイトには、非常にクオリティの高い情報がまとめられている。

利用価値が高いので、紹介させていただく。

まとめ:台湾リピーターだからこそ、「祭り」重視の訪問スケジュール作成を

マニア寄りコンテンツが多いという特性上、本ブログの訪問者(リピーター)は、台湾旅行のベテラン層が多いのではないかと思う。

だからこそ、有名観光地巡りや、ローカルフード開拓はそこそこに、こういう台湾文化をガッツリ体験できる「祭り」重視の訪問スケジュールを組んでいただき、台湾旅行をよりエンジョイしていただきたいと思う。

本記事が、一人でも多くの台湾ファンが、基隆へ足を運ぶキッカケ作りの一助を担うことができれば、幸いである。

ご参考)関連記事

さきほどご紹介した関連記事も、是非チェックいただけると嬉しい。

灯台、大砲
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(おしまい)

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Ajikichi

「美味しくなければ旅じゃない」が口癖。旨いものを求め、約三十か国を食べ歩く中で、台湾・ベトナムが誇る「感動的食文化」との運命的出会いを果たす。毎年、十回ほど「外食」と称して渡航。 専門は台湾とベトナムだが、「副業」として、東南アジア各地も行脚。美味しいもの、おもしろいもの探しには、余念も妥協もない。

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