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はじめに:探せば見つかった、ハノイから日帰りで訪問可能な「新しい観光」
ハノイ旧市街地には、日本でいう「コンビニ」以上の密度で旅行代理店が営業している。
業者ごとに、ツアーの行き先や内容がバラエティに富んでいるならまだしも、扱うツアー商品は、どこも「金太郎飴的」に似たり寄ったり。

どの業者も、ツアー内容はほとんど同じ
ベトナムの「一見さん」なら良いのだが、リピーターや、数十回以上の訪問歴を持つベトナムファンにとっては、もう少し工夫をして欲しいと感じるところである。

そんな発想から、Google Mapsを必死に駆使して見つけたのが、ハノイ市街地から40km、ドンモ湖の南側に位置する、広大な敷地の民族テーマパーク「ベトナム民族文化観光村」。

広大な敷地を有する「ベトナム民族文化観光村」
比較的新しい観光スポットで、敷地内には54の民族が暮らすという。
本記事では、同村への行き方、園内の様子を詳細にレポートすることで、「新しいハノイ観光」を渇望しているベトナムファンの方々に向けて、役立つ情報をお届けする。
ベトナム民族文化観光村へのアクセス
2018年12月現在、ベトナム民族文化観光村へ行くツアーを提供している旅行代理店は存在しない。
基本的に、個人で交通手段を手配する必要がある。
交通手段は2通り
アクセスは大きく分けて、二通りある。
タクシーによるアクセス
Grab Taxiアプリを使って、タクシーを手配しよう。
最新バージョンの同アプリでは、複数の目的地を設定できるようになっているため、以下のように入力すると、「往復タクシー」をゲットすることも可能だ。
■Grab Taxiの入力例
- スタート地点:ご自身のホテルなど
- 目的地1:ベトナム民族文化観光村
- 目的地2:ご自身のホテル、あるいは、夕食予定のレストランなど
Grab Taxiは、一度設定した目的地を原則変更できないため、【目的地2】はよく考えて、無駄のない移動ができるように工夫するのがスマート。
なお、ベトナム民族文化観光村で観光している間、タクシーの運転手に待ってもらう必要があるため、必ずタクシー乗車時、待ってもらえるか事前交渉をし、チップ金額を合意しておくようにしたい。
タクシー代としては、往復で1,200,000ドン(約5,800円)くらいだろうか(出発地点にもよる)。
チップとしては、一時間あたり50,000ドン(約240円)〜100,000ドン(約480円)の間で、おそらく納得してくれるはず。この金額で納得してくれない場合は、かなりの強欲の持ち主だとみなした方が良い。
(未確認だが)ベトナム民族文化観光村の駐車場が有料である場合、その料金も、乗客側が負担することになる。
ローカルバス(107番)によるアクセス
もう一つは、ハノイ市街地からベトナム民族文化観光村へ、107番のローカルバスに乗るアクセスだ。
ローカルバスに乗ると言っても、始発駅で乗り、終着駅で降りる(帰りはその逆パターン)だけなので、まず困ることはないと思う。
運賃9,000ドン(約43円)というコスパの良さはさることながら、本数も、20分おきに発着しているため、悪くない選択肢だと思う。
■107番バスの乗降駅
- A地点(始発駅):Kin Ma Bus Station
- B地点(終着駅):ベトナム民族文化観光村

107番バスの路線図
始発駅(地図上のA地点)であるKim Ma Bus Stationは、(一般に、観光客が宿泊するエリアである)ハノイ市街地から少し離れており、バイクタクシー、あるいはタクシー利用で、十分くらい。
最近できたばかりのようで、まだ真新しい雰囲気も残っている建物だ。

Kim Ma Bus Station
107番バスによる移動では、およそ片道90分で、終着駅(地図上のB地点)に到着だ。
一応、「ベトナム民族文化観光村」の各言語での名称も知っておいた方が安心だ(ベトナム人には、ベトナム語の表記しか通用しないので、この画面を見せたら分かってもらえる)。
- ベトナム語:Làng Văn hóa - Du lịch các dân tộc Việt Nam
- 英語:Vietnam National Village for Ethnic Culture and Tourism
- 日本語:ベトナム民族文化観光村

ベトナム民族文化観光村へ到着
タクシーとローカルバス、どっちがいいのか?
結論から言うと、ローカルバス利用で良いと思う。
タクシーとほとんど時間が変わらないのに、圧倒的に運賃が安いからだ。
運賃(片道) | 時間(片道) | |
タクシー | 600,000ドン(約2,900円) | 70分 |
ローカルバス | 9,000ドン(約43円) | 90分 |
なお、タクシーと言っても、ベトナムを走っているものは、東南アジア向けに製造・販売された車体であることが多く、(小柄な人々にあわせ)車体も小柄で、わりかし窮屈であることが多い。
タクシーだからといって、【快適空間で移動できる】と期待しないほうがいいかも。
ベトナム民族文化観光村の訪問レポート
まずは、入場券売り場へ。
大人ひとり30,000ドン(約145円)。

入場券売り場
園内の地図も、ざっくりと見渡しておこう。

園内の地図
地図だけでは分かりづらいが、かなり広大な敷地であり、少なくとも徒歩で移動することは不可能だと思った方が良い。
電動カートは必須
入場ゲートを通過すると、電動カートのチケット販売所がある。

電動カートのチケット販売所
さきほどもチラっと書いたが、徒歩で移動するのは、不可能な広さ。
自転車を利用する手もあるが、炎天下の移動は、体力と気力を消耗するので、観光どころではなくなってしまう。
たった35,000ドン(約170円)なので、電動カートのチケットも購入しておこう。

入場券とは別に、購入が必要
手首に巻く、紙テープ製のバンドを配布してもらえる。
これを着用している限り、園内のどこで乗って、どこで降りても、電動カートを使いたい放題になる。

電動カート
電動カートは、ほとんど無音で走るため、園内では事故に遭わないよう気をつけたい。
中心客層
ハノイ市街地から、かなり離れており、外国人観光客の姿はほとんど目にしなかった一方、ハノイっ子たちはよく知っているようで、大勢のベトナム人でにぎわっている。
学校の遠足、あるいは、大学生風の若者グループが結構多い印象。

遠足感覚でやって来る若者が大勢いる
子連れの家族も多数。

赤ん坊とにらめっこ
ハノイに駐在する日本人家族が来ても良さそうだが、あまり知られていないスポットなのかも知れない。
「B級スポット好き」の、ちょっとマニアな旅人がめざとく見つけてやってくる程度の観光地、というイメージだろうか。
見どころ
広大な敷地に点在する、54民族の集落。
電動カートの乗客も、コース前半では「スタンプラリー」のごとく、熱心に【各駅下車】しているが、コース後半になると、電動カートから降りなくなってしまう。
ほとんどの集落が、だいたい「似たり寄ったり」のビジュアルであるため、退屈してしまうのだ。

集落の様子

民家内で準備されていた料理
結果として、コース前半の集落は混雑し、コース後半の集落はガラガラという、「集客」にムラができてしまっている。
「テーマパーク」で暮らしているからと言って、生活に不自由しないほどの経済的援助を(民族の人々が、園側から)受けられているかどうかは、不透明。
むしろ、土産品や飲食物を売るのに熱心な集落の人々を見ている限り、園側からの経済的サポートは手薄そうに思えたし、生活の足しにするような「収入源」を確保するので、必死のように見えた。

販売用のバーベキューを調理中の女性

楽器を演奏しながら綱渡り……

楽器づくりの職人
さて。
そんな園内をひととおり巡ってみて、是非とも見学しておいた方が良いと感じたスポットを、以下でご紹介しよう。
ベトナム民族文化観光村を訪れるかどうか迷っている方の参考になれば、と思う。
木製人形群
ターイ族とバナ族の集落があるエリアに行けば、木製人形がずらりと並ぶスポットがある。
まるで「モアイ像」のようにゴツゴツとしたつくりだが、人形の背景にあるモチーフやストーリーを想像してみるのは、大変興味深い。

犬の頭上にサル?

女性像

男性像
バナ族のロングハウス(Rong House)
どの民族も、木材や葉っぱで家をつくっているため、園内を巡っていると、だいたいどれも一緒に見えてくる。
それでも、バナ族(Làng Ba Na)の建てる家は、ひときわユニークな構造をしており、軽く二十メートルくらいありそうな屋根は、迫力たっぷり。

バナ族のロングハウス(Rong House)
ロングハウスというから、英語のlongと思ったが、建物(が高いこと)は普通、tallと表現するはず。
おかしいなと思っていたら、Rong Houseという表記になっており、ロングハウスというのは固有名詞なのだ。

ロングハウスの屋根

ロングハウス内装
Rongは「高さ」と「美しさ」を併せ持つことを意味する単語らしい。
カンボジア文化の影響が感じられる寺院など
電動カートでコースを進むこと、最後のほうに突如、カンボジア風の寺院が姿を現す。
ベトナムとカンボジアは国境を有することもあり、カンボジア文化の影響を濃厚に受けた民族もいるのだと実感。
建物の方は2012年に完成したばかりらしく、たとえ遺跡の「レプリカ」だとしても、似つかわしくない「新しさ」があるという印象を受ける。

Cham Tower(チャム族の塔)

Khmer Temple(カンボジア風の寺院)

裸足で歩くお坊さんも
まとめ:コース一周に要した時間、トータル費用など
園側としては、ベトナム民族の文化を保護し、同時に、(入場料などで)収益を得ることによって、民族の経済的支援にもつなげたい考えのようだが、今後、その好循環がぜひ実現されていって欲しいと思う。
真新しい遺跡(のレプリカ)や集落、不自然に洗濯したての民族衣装など、リアルさに欠ける部分はあるが、ハノイから日帰りで訪問可能なB級スポットとしては、十分に楽しめた。
コース一周に要した時間としては、写真を撮りながら、わりと集落一つひとつを細かに観察して、3時間ほど。
トータル費用(交通費、入場料、電気カート)としては、150,000ドン(約730円)見ておけば、大丈夫だろう。
ベトナム民族文化観光村の公式サイト
ベトナム民族文化観光村には公式サイトがある。
最新情報は、以下でチェックされると良いかと思う。