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はじめに:英語は長期戦。焦りは禁物
こんにちは。
英語は積み重ね科目。
長期戦の取り組みになるからこそ、最初から気張りすぎるのではなく、小さなことからユルく手をつける【スモールスタート】で始めましょう。登山と一緒で、ペースを上げすぎると、すぐにバテてしまいます。一方、ゆっくりのペースで(適度の休憩もはさんで)歩けば【いつの間にか】山頂へ到達するものです。
英語学習は「登山」と似ている
今日は、忙しいITエンジニアが、いかにして上手なスモールスタートを切るかの方法について、一緒に考えてみましょう。
私事ですみませんが、まずは筆者の、身の上話から始めさせてください m(_ _)m
英語は、「黒船」のように、ある日突然やってきた
筆者と英語の出会いは、入社半年後、【海外オフショア開発プロジェクトの主担当】のお鉢が回ってきたことでした。
昨日までは、英会話なんてやったこともなかったのに、突然、今日から電話やテレビ会議で、海外のソフトウェア開発会社をビジネスパートナーとして、プロジェクトを回していかなければならなくなったのです。
いきなり【英語を使って業務する生活】がやってきた
「中学や高校の学校教育で、合計ウン千語もの英単語を覚えさせられたんだ。ナントカなる」
生来楽天家の筆者ですが、いざ海外エンジニアを前にすると、まるで「金縛り」にあったかのように、単語一つすら口から出ませんでした。
「その画面のフォント、もう少し大きくすることはできますか?」
あのとき、言いたくても言えなかった、一生忘れられない「質問」です。
実は、中学英語の単語だけでサラッと表現できてしまうのですが、当時の筆者には、どうしても言えなかったのです。
"Could you make the font bigger in that screen?"
TOEIC問題集を買い漁るも、本棚の肥料になっただけだった
海外エンジニアとの会議で、(学校教育で何年も勉強してきた)英語がまったく喋れないというショッキングな体験をしたその日のうちに、職場からの帰り道で、書店に立ち寄りました。
Amazonの口コミスコアが高かったTOEIC問題集を買い漁って、帰宅後、本棚に並べました。【これ一冊でバッチリ】と背表紙に書かれてあるので、「もう英語は大丈夫」という謎の安心感にホッとして、その夜は熟睡したのですが、なんとまぁ、そこで満足してしまったのです。結局、そのTOEIC問題集たちを開けることは一度もなく、英語力が向上することもありませんでした (^_^;
失敗の原因は、実行可能性を無視した「ツール」選びだった
TOEIC問題集は、ある意味、英語力を高めるための「ツール」と言えます。
筆者は、英語力獲得を焦るあまり、一番取っ付きやすそうだったツール(TOEIC問題集)に飛びついてコケてしまったのです。ツール選びは、もっと慎重にならねば、うまくいくハズがなかったのです。普段から机に向かって勉強する習慣のない自分が、いきなり問題集を買ったところで、それを実行できる可能性、継続できる可能性は、とっても低かったんですね。
【実行可能性】という視点が欠落していました。
もっと戦略的に考える必要があった……
読者の方には、同じ失敗をして欲しくないので、本記事では、時間のない社会人でも確実に実行可能な英語学習のスモールスタート方法をシェアさせていただきます。
時間のない社会人にも実行可能な英語学習スモールスタート
至極アタリマエなんですが、社会人って、自由に使える時間が圧倒的に少ないんですよね。
そして、自由に使える時間って、できればゴロゴロしたり、自分の好きなことに費やしたいと考えるのが、人間の性じゃないですか。
人間は本来、「自由」を追い求めるもの
そういった【人間の本質】を無視して、いきなりTOEIC問題集を買ってきたところで、その日からコツコツ努力して、問題集を一冊終えることができるでしょうか。努力家の方や、勉強が趣味という方であれば、達成できるかも知れません。ただ、筆者もそうだったのですが、世の中の大多数の方にとっては、難しいのではないかと考えます。
理想的なのは、今までやってきた好きなことを(できるだけ)我慢せずに、英語学習と両立させることでしょう。厳密に言えば、我慢ゼロというのは、夢物語です。英語学習に「犠牲」はつきものです。本記事で取り上げるのは犠牲をゼロにするアプローチではなく、犠牲ボリュームを最小限にすることで、長続きさせようというアプローチです。
できるかぎり「犠牲」のないアプローチで、新しいスキルを身につける
具体的には、以下のような方法によって、英語を「生活の一部」に取り込んでしまったのです。
ざっくり言えば、実行可能性を無視したツール選びでコケてしまった反省を活かし、今度は、いわば、英語を「習慣化」しやすいツールを吟味したんですよ。歯磨きやシャワーのように、英語を、毎日やらないと落ち着かなくなる【日常イベント】にしたと言えます。
この方法は、うまくいきました。
デバイス類の英語表示化
iPhone、タブレット、家庭パソコン、テレビ、DVD、プリンター、デジタルカメラ……
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、最近の電子機器製品って、ほぼ全機種が多言語対応しているんですよ。これを利用して、身の回りの製品すべてを「英語表示」にしちゃいましょう。
電子機器製品は多言語対応が前提に設計されている
あっ、くれぐれも操作を覚えてる、使い慣れた製品からトライしてくださいね。まだ買ったばかりで、十分使いこなせていない製品で試すと、混乱の元になります。
実は、電子機器製品って、ITエンジニアが必要とする「情シス英語」表現をサンプルするには、絶好のお手本なんです。筆者自身、この方法によって、「情シス英語」が、実は専門用語がほとんど不要で、とっても簡単に表現できる分野であることを学べました。
毎日かならず使うモノを英語表示にすることで、気づかぬまに、実用的な「学び」がどんどん蓄積されていくという、きわめて実行可能性の高い仕組みです。
■「学び」の例
- 「設定」ってSettingsと言うんだ。かならず複数形にしがほうがいいんだな
- メニュー名(Facebook, Messenger, Google Maps)って、全部大文字で書き始めるんが普通なんだな
- エラーメッセージって、こういう現象は、こうやって表現するんだな
ただし、ご家族と共用している電子機器製品については、きちんと事前に相談してくださいね。トラブルの火種にもなりますから (^_^;
通勤時間でのPodcast活用
意外と活用していない方や、そもそもご存知でない方が多いんですが、スマホには「Podcast」という、英語学習で使わない手はない便利アプリが内蔵されています。
誤解を招かないようにことわっておくと、Podcastは英語学習専用アプリではなく、ラジオやテレビのような、もっと汎用的なツールです。ただ、英語学習専用アプリと考えて良いほど、英語学習との相性は抜群というわけです。
Podcastは、もともとiPhone独自のアプリでしたが、最近ではAndroidでも利用可能になっています。
ざっくり言うと、Wi-Fi接続時に番組データ(音声だけの番組、動画の番組の二種類がある)ダウンロードして、外出先でもオフライン視聴可能な仕組みを提供するアプリです。
Podcast番組を定期購読してみよう
Podcastで視聴できる番組には、英語学習プログラム、海外メディア番組なども含まれ、配信頻度はまちまち(毎日や毎週が多い)ですが、ほぼすべてが無料です。番組によっては、音声データとは別に、その原稿データも公式サイトで配信されているものもあるので、聴き取りが苦手という場合でも、心配ありません。このとき、iPhoneに辞書アプリをインストールしておけば、単語をクリックするだけで意味を調べることができるので、通勤時間中にも、指一本で学習できる環境が手に入ります。本当に、便利な世の中になりました。
Podcastには優れたプログラムが多数提供されているのですが、以下がとっつきやすいと思います。
■おすすめPodcast番組(入門者向け)
- Learning English Broadcast VOA - Voice of America
- NHK WORLD English
NHK WORLD Englishは、日本の時事問題を題材としているため、普段からニュースをチェックしている方にとっては、馴染みのあるトピックが多く、【分かる】部分も大きいと思います。
なお、「情シス英語」に特化した、手頃なレベルのPodcast番組はありません。
IT技術者がひたすら独自の意見を喋り続ける番組ならありますが、彼ら彼女らはアナウンサーの専門教育を受けているわけではないので発音にクセがあります。TOEICのリスニングで楽々満点を取れるレベルがなければ、歯が立たないという世界ですので、今のところは無視して良いです。
OJTで英語学習できる時間を増やす
英語学習に「犠牲」はつきものだと書きました。
どうせなら、週末のプライベート時間よりかは、仕事時間中に、お金をもらいながら(業務を通じて)英語を勉強できた方が、気持ちが引き締まるし、時間の使い方としても、ありがたいですよね。筆者のように、海外オフショア開発プロジェクトのお鉢が回ってくるならともかく、業務で英語を活用する機会がない場合もあるかと多いと思います。
能力開発目標と英語学習を関連づけるという発想
そういった場合でも、新しい期のはじまるタイミングで、能力開発目標として、上司を説得すればいいと思います。
ミソは、「英語の」能力開発ではなく、英語を使って「他の何かの」能力開発をすることです。
英語を使って、他の何かを学ぶという発想
たとえば、Javaプログラミングの能力開発をすることを、上司に認めてもらいます。それを実現する手段として、英語のオンラインセミナーに参加したり、英語のチュートリアルサイトを閲覧したりするのです。一般的に、セミナー参加費用がウン十万円とするベンダーでも、オンライン形式セミナーは安価であることが多いですし、最近では、Udemyという、フリーランスの講師が自分の得意分野をオンライン講義で教えるサイトが人気です。こちらであれば、一つの講座を千円ちょっとで受講できるコスパの良さがあるので、会社の費用負担で参加できる可能性もグーンと上がると思います。また、Udemyには、より実務寄りの講座が多いため、座学で終わってしまうことなく、「痒い所に手が届く」講座と出会える可能性もグーンと高まります。
講座選びで注意するのは、予備知識ゼロの分野を選ばないことです。むしろ、七〜八割くらい内容を知っている分野を選ぶ方がちょうど良いでしょう。そうすることで、英語力が不足している「背伸び状態」で受講しても、ある程度は内容を理解でき、学習効率が最大化されるからです。
もちろん、内容を完璧には理解できない部分もあると思いますが、「いま自分は、英語を勉強するのじゃなくて、英語を使って『他の何か』にチャレンジしている」という実感は、非常にモチベーションを高めてくれるものです。モチベーションを高める効果の大きい方法ですので、是非ともトライしてみてください。
まとめ:最初から「完璧」は求めず、習うより慣れろ
いかがでしたでしょうか。
忙しい社会人でも実行可能なスモールスタートについて、情報シェアさせていただきました。一つでも参考になるような情報提供ができれば、幸いです。
日本人は完璧主義に陥りやすいんですが、とりあえずは、今回の記事でご紹介した内容を生活に取り入れてみては、いかがでしょうか。
最初の第一歩を踏み出してみよう
スタートを切ることは大変勇気のいることですが、今回取り上げた学習スタイルは容易に「習慣化」可能なものに厳選してあるため、いったん始めてみれば継続せざるを得ず、歯磨きやシャワーのように「やらないと落ち着かない」状態になります。