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はじめに:高度区分の論文には「合格基準」がある
こんにちは。
本記事は,高度区分(情報処理技術者試験)午後IIの論文について,【どのくらい書ければ大丈夫か】に対して,一つの目安を導こうとするものです。
少しでも,【他サイトにない】有益な情報が提供できるよう,頑張って書きます。
参考)筆者の「高度区分」受験スペック
まず,筆者自身,それほど文章が得意なわけではありません(むしろ苦手意識が……汗)。
それにも関わらず,高度区分(論文系)の「御三家」とも言える資格へ,すべて一発合格しています。
■高度区分(論文系)の「御三家」
- ITストラテジスト
- システム監査技術者
- プロジェクトマネージャ
同じく高度区分(論文系)である,システムアーキテクト,ITサービスマネージャについては【受験経験なし】ですが,おそらく,一発合格できる気がします。
高度区分(論文系)って,求められる知識セットは違えど,「お作法」は全部一緒だから,一つクリアすると「芋づる式」に取れやすいところがあるので。
最近では,同僚や,他社勤務の知人から論文添削の依頼を受けることも多く,一番多い質問が「どれくらい書ければ大丈夫か?」だったことが,本記事執筆の動機になっています。
【どのくらい書ければ大丈夫か?】に対する答え
【量と質のバランス確保】------合格論文に必要なのは,本当,これだけなんです。
ただ,量と質は「需要供給曲線」のように,片方が上がれば,もう片方が下がる関係にあります。
大前提として,午後II(論文)の試験時間は,120分間しかありません。
■論文作成につきまとう,【量と質の葛藤】
- 量を増やそうと思えば,(考える時間が減って)質は下がる
- 質を上げようと思えば,(考える時間が増えて)量が減る
実は,筆者もそうですが,たとえ一発合格者と言えど,【量と質の葛藤】という苦しみからは,試験を何度受けて何度受かろうが,一生逃れられないと思います。
合格者,不合格者,試験会場の誰もが,量と質のバランス取りに必死。
「絶対ダメだと思ってたけど,合格していた」という体験談がインターネット上に散見されるあたり,合格と不合格(Bランク)の分かれ目って,かなりキワドイところなんですよ。
もう少し具体的に書くと,受験者全体の答案がどれくらい書けているかの【出来映え具合】によって,採点の厳しさは変わるので,周囲が書けていない年度なら多少のミスをしても合格となり,逆に,周囲がよく書けている年度なら,少しのミスでも不合格(Bランク)となります。
それでも,これからご紹介する「量」と「質」の注意点を守ることによって,合格と不合格(Bランク)のボーダーラインで,確実に「合格側」へ行くことができるようになります。
量について
設問アは800字を,できるだけフルフルで埋めましょう。
なぜなら,採点官にしてみれば,設問アは,あなたが論文で書こうとする「業務」概要について知る,唯一の手がかりだからです。
設問アで,できるかぎり具体的に情報提供することにより,設問イや設問ウの論文ストーリー内容が理解しやすいものとなり,採点官のハートをゲットできます。
「字数クリア」も重要な合格要素
一方,設問イと設問ウでは,合計2000字,かつ,設問イと設問ウの最低字数をそれぞれ上回っていることを目指しましょう。
文字数が2000字に満たなくても合格するケースはあると思いますが,一般的に,字数を増やして内容を膨らませるほど,加点してもらえるチャンスは大きくなります。
もちろん,「何でも書けばいい」という訳ではありませんが,(出題テーマが難しくて)白紙の受験者が多かった場合,【こんな記述でも加点してもらえるの?】というボーナスポイントは,大いに期待できます。
質について
一方,「質」ということになると,合格論文に必要な要素は3つだけ。
■合格論文に必要な3要素
- 設問に対して,モレなく回答されていること
- 記述内容に数値や固有名詞が盛り込まれ,具体的であること
- ストーリの「つながり」が論理的であること
毎年,字数はクリアしているけれど論文で落ちるという場合,いずれかの要素が満たされていないと考えた方が良いと思います。
一つ注意しておかなければいけないのは,論文採点は「相対評価」であるってことです。
■論文は「相対的」に採点される
- 高度区分の試験では,例年の合格率を一定に保つため,まずは,おおよその「合格者数」が決定され,その上で,合格ライン(成績上位の何%を合格させるか)が決まります。論文が得意な受験者の多い区分(ITストラテジストなど)は,採点が辛口になるでしょう。逆に,論文にさほど慣れていない受験者も多い区分(ITサービスマネージャ)あれば,採点は甘口になると言えます
- 論文採点の厳しさは,問題の難易度(出題テーマの書きやすさ)によっても,変動します。書きやすいテーマの年は,採点が辛口になるでしょう。逆に,書きづらいテーマの年は,採点は甘口になると言えます
受験者の母集団,出題テーマの難易度など,外的要因によっても左右されるため,「質」については,どこまで書ければOKかという線引きが難しいというのが,ひとつの結論になります。
それでも,■合格論文に必要な3要素でご紹介したポイントをしっかり意識することで,合格ラインをクリアできる可能性はグーンとアップします。
まとめ:出題者との「キャッチボール」をしながら答案を作成すれば大丈夫
本記事の内容を飛ばして,ここから読まれた方もいると思います。
本文でのエッセンスは,以下の通りです。
■どのくらい書けば良いか?への「答え」
- 量に関しては,設問アで800字,設問イ+設問ウで2000字を確保したい
- 質に関しては,充足性,具体性,論理性の3要素が大切。ただ,合格論文に求められる水準は,外的要因に左右されるため,一概には断定しづらい
読み手って,基本的にはせっかち(笑)なので,先に結論が知りたいものなんですよね。
高度区分(論文系)についても一緒のことが言えて,問われていることに対して,しっかり,自分なりの「答え」が述べられているかが重要視されます。
採点官に「この答案は,きちんとモレなく回答されている」という心証を持ってもらうためには,結論を先に書く習慣を付けるのも,効果的な取組みと言えます。
本記事が,少しでも多くの方が「合格」の栄冠を手にされることの一助になれば,大変嬉しく思います。