こんにちは。
オフショア開発業務に携わってから、十年ほどになります。
現在やっている具体的な仕事は、海外と日本の開発者を仲介する、いわゆるブリッジSE的なもの。
実務経験を積み重ねた結果、余裕しゃくしゃくで海外とやりとり ── 新人の頃は、そういう未来を想像していましたが、現実としては、いつまで経っても、想像できないようなイベントが発生して、その対応に振り回されている状況です。
本記事では、オフショア開発に苦戦する理由について、筆者なりの考えをシェアしたいと思います。
海外文化はホワイトリスト型、日本文化はブラックリスト型
以前、仕事で東南アジアに引っ越したときのこと。
日本では、クロネコさんが荷物を預かってくれたのですが、海外側では、提携先の現地企業が荷物を届けることになります。
「何かある場合、現地スタッフに直接指示するのではなく、必ず私にお伝えください」
現地企業の日本人が複数回、強調するようにそう言ったのです。
そのときは、頭上にクエスチョンマークが並んでいましたが、今となっては理由がわかります ── 現在進行形で、自分が悩んでいる問題こそ、ここにあるのです。
それは、海外文化って、基本ホワイトリスト型だということです。
やって欲しいこと、やるべきことが100あれば、100個すべてを羅列して伝えないと、やってくれません ── もちろん、100個のうち、かなりの割合は忘れられてしまうのですが、こちらが指示していなかったら、「おまえがきちんと伝えなかったからだ」と開き直られることになります。
これとは対照的なのが、日本文化。
日本文化はブラックリスト型に近いものがあり、禁止事項さえ事前説明されていると、あとは、阿吽の呼吸をもって、現場スタッフでなんとか対応できてしまいます ── これって、当たり前ではなく、世界規模に見ると、むしろ例外と言えるのは日本の方なのです。
同じ業務を遂行するにせよ、日本文化と海外文化では、作成しなければならないルール集の「厚さ」がケタ違いです。
なぜか、例外もある
こんなエピソードもありました。
筆者が海外支社に駐在中、いつも感心していたのは、社内イベントのこだわり具合。
その最たる例がクリスマスパーティで、業務ではパワーポイントのダメ出しをして(筆者と現地スタッフの)双方が消耗しているのに、クリスマスパーティ用に作成されたパワーポイント資料は完璧なクオリティで仕上がるのです。
参加者を楽しませるための起承転結ストーリはよく練られており、スライドには、アニメーションも効果音も、実にうまく組み込まれています。
ホワイトリスト型どころか、何一つ指示を与えていないのに、これだけクオリティの高いものが作れるなら、どうして業務ではアウトプットしてくれないのだろうかと、嘆かわしくなったのを記憶しています。
なぜか、言わなくてもどんどんやってくれる側面を持っている海外スタッフを相手に、今日もホワイトリスト型の業務指示で消耗する日々の筆者です。