はじめに:「基隆中元祭」をもっと日本人に広めたい
例年八月ごろに開催される基隆中元祭(jīlóng zhōngyuán jì)。
このお祭りについては、以前、詳細記事を書いたので、そちらを読んでくださって、記憶にある方がいらっしゃるかも知れない。
-
-
台湾の八月は「オバケ月間」。台湾版ハロウィーンを最高に楽しむ【基隆訪問】の提案
目次1 はじめに:八月到来。神様からオバケへ、シーズンのバトンタッチ2 鬼月(the Ghost Month)の流れを形成する三大行事2.1 鬼門開(旧暦7月01日)2.2 中元節(旧暦7月15日)2.3 鬼門關(旧暦7月29日)2.4 ( ...
かなり大規模のイベントであり、地元っ子はもちろんのこと、「基隆中元祭」目当てに、台湾各地からの訪問客が集まってくる。
本記事は、基隆中元祭へ行く機会がない方にも、このイベントの魅力に触れていただくことを【ねらい】とし、多数の写真を交えながら、情報発信するものである。
「基隆中元祭」ざっくり雰囲気
基隆中元祭の【メインイベント】とも呼べるものは、日没後に開始するパレードである。
放水燈(fàngshuǐ dēng)という、燈籠流しのイベントも有名だが、それについては別記事でご紹介したい。
まずは、パレードの雰囲気を味わう前に、イベント会場の雰囲気や、ざっくりとした情報を脳にインプットいただこうと思う。
ゆる〜く開始する台湾イベント
さすがに、年に一度の大イベントである。
基隆の市街地には、真っ赤な「ちょうちん」がいたるところに取り付けられている。

基隆の市街地
基隆の市街地が賑わいを増してくるのは、夕方四時ごろ。
市内で入手したイベント情報パンフレットによると、パレードは午後七時スタートのはずだが、もうフロート車がウロウロしている。

まだ開始時刻前だが……

フロート車

「龍舞」の部隊

すごい乗り方……
ここらへん、台湾「あるある」なので、気にしてはいけない。
ドラムや歌声が街中に響いて、お祭り気分のスイッチが入る。

太鼓の兄さん

うたのお姉さん

ドラマー
台湾人はもとより、外国人の姿もちらほら。
パッと見るかぎり、どうやら台湾長期滞在の外国人が多いようで、台湾人家族と一緒に写真撮影している光景も目にした。

台湾人家族と外国人の記念撮影
基隆中元祭の情報自体は、日本語や英語のウェブサイトが用意されているのだが、宣伝活動がいまいち不足しているためか、外国人観光客はまだまだ少数派。

ライトアップされた「主普壇」
どこで見学するか?
パレードが本格的に始まるのは日没後のこと。
とは言っても、少しでも良い「座席」を求めようと、夕方四時半を過ぎると【場所取り】が始まる。

沿道の様子

地下道の「屋根」は意外な穴場?

店に長居するツワモノも……
沿道でも、パレードの見やすい最前部から埋まっていくのは予想通り。
びっくりしたのは、「地下道入口の屋根」の上へ陣取る人たち、沿道にあるマクドナルドに長居する人たちもいた点。
あまりにも「お行儀よく」していると、どこも一杯になってしまうため、遠足シートや新聞紙でも持参して、これぞ!と思う場所で座ってしまうのが良さそう。
ただ、人口密度が過密になりすぎたせいか、パレード中、救急車が数回、走り去って行くシーンが。

パレード中、救急車も……
パレードを楽しむことも大切だが、体調を崩してしまっては、元も子もない。
無理のない範囲でパレード見学したい。
台湾のお祭り、原点は「ほどこし」
十年以上前に、はじめて台湾のお祭りを見学したとき、たくさんの飲食物が無料で振る舞われているシーンを見て、驚いた。
この基隆中元祭でも、無料の飲食物が【大盤振る舞い】されているが、原点にあるのは、台湾の人々が持つ「ほどこし」の精神である。

コーラ飲み放題

霊への「ほどこし」

人間界の「ほどこし」
コーラは飲み放題、料理は食べ放題。
そして、この「ほどこし」は、人間のみならず、先祖などの霊に対しても向けられているのが、基隆中元祭の特色とも言える。
「基隆中元祭」本パレード
午後七時ころに開始するのが、こちら本パレード。
基隆中元祭は、いろんな催し物から構成されるイベントだが、これを目当てに基隆を訪問する人が大半という、【メインイベント】である。
気分は「フルコース」?のパレード見学
「龍舞」や「ライオンダンス」といった【定番】に始まり、様々な出し物が披露される。
子どもたちの演技も、厳しい練習を重ねてきたことがうかがえるクオリティ。

龍舞

ライオンダンス

三太子

ドラム隊

電光フラフープ

電光バトン

縄跳び

一輪車

マーチングバンド

「軍隊」風のパレード
いろんな出し物が、入れ替わり立ち替わり、やって来ては、過ぎ去っていく。
ただテーブルに待っているだけで、いろんな料理を提供してもらえる「フルコース」の気分。
出し物は「同姓グループ」が基本
以前の記事でも書いたが、基隆中元祭は、基本、同じ名字の人たちがグループを結成して、出し物をしている。
各パレード隊の先頭には、「名字」が分かるように、何らかの【目印】がある。

「林さん」パレードの先頭

ここにいる全員、「林さん」
乗り物が「名字」をアピールする団体があるかと思えば……
パレード隊のメンバーが、「名字」の旗を持ってアピールする団体もある。

ぜんぶ「賴さん」
あるいは、大量の「ちょうちん」を使って、「名字」アピールをするという団体も。
こちらは、「黄さん」。

「黄さん」の場合
このように、同姓グループで出し物をすることで、出身も文化も違う者同士に交流が生まれ、仲良くなれる。
多民族国家、台湾ならではの、工夫された仕組みである.
オバケ?の巨大人形
台湾のお祭りを見学したことのある方であれば、身長2メートル以上もある、巨大な人形を目にしたことがあると思う。
いわゆる、神将(shén jiāng)と呼ばれる「神様を守る神様」なのだが、基隆中元祭で見たものは、顔の部分が、ちょっとグロテスク。
ひょっとしたら、「神様」ではなく、「オバケ」という場面設定なのかも知れない。

巨大人形 1

巨大人形 2

巨大人形 3

巨大人形 4

巨大人形 5

巨大人形 6
台湾のお祭りでは、「やりすぎ感」のある、イケイケドンドン的な演出こそ醍醐味。
日本のお祭りも、もっと、はっちゃけてしまっても構わないのでは……
テーマパーク顔負けのフロート車
そしてパレード隊の大部分をしめるのがこちら、フロート車。
いったい、どれくらいの時間とお金をつぎ込んで改造したのかは知らないが、どの車体も、すみずみまで電飾されている。

フロート車 1

フロート車 2

フロート車 3

フロート車 4

フロート車 5
何十台ものフロート車が通過していくが、どれもが唯一無二のデザインであり、観る者を大いに楽しませてくれる。
車体はもとより、その上に乗っかっているキャラクターに注目するのも楽しい。

ワンコ

ワンコ

魚

船

神様

人間(農民スタイル)

灯台、大砲

鳥と花

蝶々

桃

ひょうたん

鳥
基本、どのフロート車も、爆音のBGMを鳴らしながらやって来るのだが、たまに「生演奏」の団体も。
演奏バンドの形態、音楽ジャンルも、様々。

生演奏のフロート車 1

生演奏のフロート車 2
伝統楽器で台湾の音楽を奏でる団体あれば、サックスでポップ音楽を奏でる団体あり。
そして、群集から歓声が聞こえたかと思えば、台湾で一番人気の神様「媽祖サマ」のフロート車。

「媽祖サマ」のフロート車
フロート車からは、お菓子が飛んで来る。
「媽祖サマ」というプレミアつきのせいか、さきほどまではお菓子が飛んできても興味を示さなかった人たちまで、必至に拾おうとしている。

なぜか、日本製
アジ吉もがんばってひとつゲットしたものの、拾ったお菓子は、「のり飴」と書かれた日本製キャンディ。
ケチをつけるとバチがあたるし、ありがたく頂戴した。
法人関連の出場団体も……
「同姓グループ」や、学校単位でのパレード結成が中心だが、中には、法人からの出場もある。
こちらは、日本メーカー。

日本メーカの宣伝フロート車
大勢の群衆を前にして、これだけ目立つフロート車を出せば、かなり良い宣伝になると思う。
宗教法人からの出場も。

宗教法人も
こちらのフロート車も、宣伝効果バツグンの存在感。
それだけではなく、大編成のマーチングバンドも動員されていた。

マーチングバンド 1

マーチングバンド 2
さすがは大人のバンドだけあって、安定感ある演奏。
まとめ:夏休みの素晴らしい思い出となる基隆中元祭
書き出すと手がストップせず、つい長い記事になってしまったが、最後まで読んでいただいて、大変嬉しい。
もし、本記事で興味を持たれて「行ってみたい!」と感じられた場合、以下の記事に、情報収集方法をまとめたので、参考にしていただけると幸いである。
-
-
台湾の八月は「オバケ月間」。台湾版ハロウィーンを最高に楽しむ【基隆訪問】の提案
目次1 はじめに:八月到来。神様からオバケへ、シーズンのバトンタッチ2 鬼月(the Ghost Month)の流れを形成する三大行事2.1 鬼門開(旧暦7月01日)2.2 中元節(旧暦7月15日)2.3 鬼門關(旧暦7月29日)2.4 ( ...