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はじめに:「一期一会」感ムンムンな屋台との出会い
台湾の街を歩いていると、予期せぬタイミングで、(地元民でごった返して)いかにも実力のありそうな「一軒」が出現することがある。
ガイドブックや、インターネットで紹介されている店なら「また今後いってみよう」とスルー対象になることもあるが、路地裏や狭い通りなど、住所を調べるにも苦労しそうな立地にある「一軒」だと、いまここで食べなければ二度とやって来れない「一期一会」感がしてくるので、多少お腹がいっぱいでも立ち寄ってしまう。
今回、台北の下町「大稲埕」にある慈聖宮からの帰り道、思いがけぬ【出会い】に恵まれたので、そこでの食体験について情報発信しようと思う。
「幻の涼麺」食事レポート
慈聖宮境内で食事を済ませて、食後の運動がてら、周辺エリアを適当に探検していた。
すると何やら、人だかりが目に飛び込んできたではないか。

「行列」をつくる人々
飲食店のようで、よく観察してみたが、「店名」の看板はどこにもない。
また、きちんとした「住所」があるかと言えば、閉店後は、商売道具をおりたたんで、路上からこつ然と姿を消してしまいそうな「屋台感」ムンムンな気配。つまり、「住所」もないということになる。

「屋台感」ムンムンな店舗
いま、この場でトライしないと、もう二度と出会いがなさそうな「一期一会感」がした。
まよわず列に参加してみるが、何をどう注文すれば良いか、さっぱり分からない。

店頭のメニュー



手前のおじさんに聞いたつもりだが、列にいた複数の人が声をぴったり綺麗にシンクロさせて即答するあたり、ここの看板メニューは「涼麺」であり、地元では相当有名だとお見受け。
必然と、期待は高まる。
麺が踊る厨房風景

地元の人に教えてもらうまで、何一つ知らなかったクセに、あたかも「ここの涼麺を食べにきました」な知ったか&ドヤ顔でオーダーを済ませ、座席をゲット。
台湾では、調理スペースが店頭にある店が多いので、オーダーを待つ間の厨房観察が楽しい。

やさしそうなおじさん
おじさん、おばさん、そしておネーサンの三人で厨房を切り盛りしている。
パッと見た目では家族のようにも思えるが、実際のところどうなのかは、定かでない。

休む暇なく厨房を動き回っていたおネーサン
持ち帰りの客、店内飲食の客の両サイドから、ひっきりなしに「涼麺」のオーダーが飛び込んでくるため、麺は飛ぶように売れて行く。
おネーサンが、大量の汗をかきながら、必死で麺を袋から出す様子を見ていると、麺が「踊っている」ようにも見えてくる。

飛ぶように売れて行く「麺」。その様子は、まるで麺が「踊る」よう
客の数に対して、たった三人というお店の体制。
人手不足であることが明らかだった。

受け取ったお金を箱にしまう時間さえ確保できない
その忙しさと言えば、客から受け取ったお金を箱にしまう時間さえ確保できない模様。
キッチンのすみっこに、風で飛んでしまわないか心配になるほど長時間、お金が放置されている。
「幻の涼麺」とご対面
ここへ来るまでに数軒のレストランをハシゴしていたので、「小」を注文。
届いたお皿は、「これって大の間違いでは……」と一瞬思いそうになるくらい、しっかりとしたボリューム感。

「涼麺(小)」
厨房を観察している間、ひたすら「麺」のことが気になって、ずっとガン見していた。
実際にテーブルへ届けられたものを間近でみると、表面に光沢感があって、ツルツルした味わいが楽しめそうである。

光沢感たっぷりの麺。「ツルツル感」への期待が高まる
この麺と、胡麻味噌ソースを、かき混ぜる。
もはや粒が感じられないペースト状までに完全にすりつぶした胡麻味噌ソースは、思いのほか、簡単に麺とからんでくれた。十秒もかき混ぜれば、いつでも食べられる状態に「スタンバイ」完了するカンジだ。

かきまぜ完了
かき混ぜた「涼麺」を口に含めると、麺は、軽快な食感で、不思議と腹膨れを感じない。朝食からカウントして「四軒目」の胃袋にも、スルスル入った。もし仮に、「大」を注文していたとしても、楽勝で完食できたと思う。
絶妙な細さの千切り状のキュウリがまぶされており、そのシャキシャキした食感が、ツルツル麺、ザラザラソースと見事に対比されるようになっており、大変な幸福感の得られる「逸品」であった。
周囲の客を観察すると、「涼麺」だけではなく、豚肉をセットで頼んでいる人も多かったが、四軒目のアジ吉にそれはさすがに厳しいのでギブアップ。
まとめ:店名不明、住所なし、手がかりは近くの「門牌號碼」のみ。アクセス情報
地元民でにぎわう人気の「一軒」であるにも関わらず、店名がなければ、住所もない。
路上で営業するお店なので、有力(かつ唯一)の手がかりと言えば、その近くに設置されている「門牌號碼」(いわゆる番地を記したプレート)だけ。

店名は不明(たぶんなし)
なお、この住所ドンピシャの場所にあるわけではない。
あくまでも、この住所の前にある道路で営業している「一軒」である。

この店を探そう
見つけることも苦労する「幻の一軒」だが、その実力は、舌の肥えた地元っ子が保証済みである。
「大稲埕」エリアを訪問する機会があれば、是非ともトライしていただきたい「逸品」だ。
店名 | 不明 |
住所 | 台北市大同區民權西路184巷59-1號(の道路前で営業している) |