午前中、台北の街をブラブラ歩きするなら、【龍山寺かいわい】が最強チョイスだと言い切りたい。
理由は3つ。
- 下町の風景が広がり、旅情に浸れる
- 美味しくてコスパ抜群の朝食店が、ゴロゴロ見つかる
- 午前十一時ごろに開店する「朝から呑める店」がある
今でこそ、我がイチオシのスポットだか、実を言うと、昔は「近寄りがたさ」を感じるエリアだった ── たくさんの浮浪者が公園に暮らしていたり、オネーさんが軒先で立っているあやしい雰囲気の店が多数あったり、なんとなく「アレ」な雰囲気。
少しばかりの勇気を絞り出し、創業ウン十年の老店でB級グルメを発掘するうちに、あれだけ「とっつきにくい」街は、不思議にも、台北旅行における我が「ホームグラウンド」に早がわり。
素晴らしき【龍山寺かいわい】の世界を、ごく一部、駆け足ではあるが、ご案内しようと思う。
目次
下町風景で旅情に浸る
【龍山寺かいわい】エリアは、行政区画上では、万華区。

朝の万華区
「万華区」はけっこう広く、本記事で取り上げる【龍山寺かいわい】の下町はもちろんのこと、台湾若者文化の先端「西門町」まで含まれる ── 一つの区に、古い街、新しい街が共存しているため、何度訪れても興味が尽きない。
下町風景へ溶け込むように、骨董品屋が点在していることもユニーク。
「店主の気分」ひとつで値段が決まる面白い世界観を垣間見る時間は、あっという間に過ぎていく。

骨董品屋がならぶ
路地裏を歩けば、野良ニャンコがひっそりとくつろいでおり、「猫ウォッチング」も忘れず満喫したい。

野良ニャンコと遭遇
街のあちこちに、面白いネタが転がっている。
わざと知らない方角へ曲がったり、路地裏を覗き込んだりしたら、インスタ映え写真が大量にゲットできるかも知れない。
最高の朝食「昭和カレー」
昭和時代に「小学校の給食」で味わったような、懐かし味のカレー。
日本では、(食品メーカーの研究開発が実って)市販ルーの味がどれも洗練されてしまい、「昭和カレー」を口にする機会はなくなってしまった ── 素朴で、とろみが片栗粉でつけられた、あの手作り感満載のカレーは、記憶にある人もいることだと思う。

朝から地元っ子でにぎわう大衆食堂
そんな「昭和カレー」が、まるでタイムカプセルのごとく保存されている大衆食堂「阿偉正宗咖喱飯」が、異国・台湾で今日も営業している ── 皮肉なことにも、日本の古い文化を大切にしているのは、日本自身よりも、台湾であることって、珍しくない。

台湾で味わえる「昭和カレー」
大きい具が惜しみなく投入されている上、ほどよく脂身のついた豚肉が、スプーンを口に運んだときの幸福感を増幅してくれる。
笑顔の素敵なオーナー夫妻にも癒される。
「朝から呑める」店をハシゴして、極上ツマミとビールを愛でる
午前十一時くらいには、すでに営業している「朝から呑める」店がある。
徒歩五分くらいの距離しか離れていないので、ハシゴするにも、相性バツグンの二店をご紹介したい。
「一鑫鵝肉」で極上のガチョウ肉を愛でる
昭和カレーの幸福感が冷めやらぬまま、次のハシゴ先に向かう。
カレーを食べて、まだ食べるか?という声が聞こえてきそうだが、二軒目のこちら「一鑫鵝肉」は、軽いボリュームの一品料理が楽しめるお店。

平日の朝から呑む背徳感がいい
店内の冷蔵庫にビールが置かれており、客がセルフサービスで瓶を取り出す方式。
看板メニューは、ガチョウ肉。

ガチョウの胸肉
台北では高級食材のガチョウ肉、一皿千円以上するが、その食体験から得られる感動の大きさを考えれば、安すぎるくらいである。
生腸もいただく。

生腸
食べやすいサイズにカットされており、ビールと最高にあうので、お箸がストップしない ── さきほどカレーを食べたことは、すっかり記憶から抜け落ちている。
台湾旅行の満足度が100パーセントを超える瞬間である。
「龍城號」酒好きな台湾人が集まる、背徳感いらずの店
「デザートは別腹」と言うが、たぶん、食べやすいサイズにカットされた肉のツマミ料理も、それ専用の胃袋があるのではないか。
三軒目の「龍城號」も、やはり、店内にビールがストックされた、堂々と呑める店。

あらゆるツマミがそろう
台湾はビール文化が一向に盛り上がらないので、台湾人の前でビールを飲むときには、ちょっとした「背徳感」を引きずってしまう ── そういう背景もあり、店内で堂々と呑めるだけでも「もうけもん」だが、この店が素晴らしいのは、痒いところに手が届くツマミの品揃え。
酒好きな台湾人が集まっているから、妙に気を使う必要もない。

朝からハシゴ。仕切り直しで呑む
気を使うどころか、同席した台湾人からビールをおごってもらった回数は、両手を使っても数えきれないほど経験してきた。
店のおばさんから強烈にオススメされた煮卵。

半熟加減がたまらない煮卵
黄身の部分が、固まることなく、かつ、流れ出すことなく、ちょうど「ど真ん中」の煮具合で完成された奇跡的クオリティを満喫。
豚のほっぺたは、ほろほろ薄くカットされた肉片だが、まるで極上の刺身を食べているような「上品な旨さ」。

豚のほっぺた
時間をかけて、じっくり味わいながら、いただいた。
日本では食べたことのなかった、サメの肉にもトライ。

サメの肉
ちょっと生臭い感じがしたけれど、ほどよく筋肉質、歯ごたえ最高の肉片は、ビールのツマミにもってこい。
日本でも常食したい。
まとめ:店のマップなど
本記事でご紹介した二軒の「朝から呑める」店の地図を付しておく。

呑み歩きマップ
なお、「昭和カレー」の店は地図上に記さなかったが、「龍城號」とは、目と鼻の先という距離感にある(徒歩三十秒)。
朝のウォーキングも兼ねて体を動かせる上、旨いツマミをいただきながらビールを呑む多幸感は、このエリアを訪問した人間への特権でもある。
是非、次回の台湾旅行プランへ組み込んでみてはいかがだろう。