目次
はじめに:台湾旅行必須のアクティビティ、「廟めぐり」を120%楽しんでみる
「コンビニに負けないほどの頻度で遭遇」と書けば、誇張表現になってしまう。それでも、台湾旅行中、「廟」と遭遇する回数は驚くほど多いので、体感的には「コンビニ級の出会いやすさ」と言い切ってしまいたいところでもあるのだ。
今日の記事では、廟に関連して、廟で祀られるカミサマについての小話を発信したいと思う。

台湾旅行必須のアクティビティ、廟めぐり(松山慈祐宮)
この記事を読んだ後には、きっと、廟の楽しみ方が広がり、台湾旅行の味わいも深まることと思う。
台湾のカミサマをとりまく生活環境
台湾のカミサマは、非常に大らかな性格の持ち主である。
台湾では、一つの廟に、複数の宗教の、複数のカミサマが祀られているのは、珍しくない。道教、儒教、仏教、そして航海・漁業の守り神「媽祖」などなど、百以上のカミサマが境内に「同居」することはあたりまえ。どんな宗教のカミサマと同じ屋根のしたで「共同生活」しようが、へっちゃら。そういう器の大きさが、台湾のカミサマにはある。
少々極端な例になってしまうが、以前、台湾の仏教系イベントで、ハローキティが「ご神体」になっているのを目にした。

ハローキティの「ご神体」
「キティ神」は、台湾文化におけるカミサマの「多様性」を語る好例だと思う。
台湾のカミサマ住宅事情
そんな台湾の廟は、先述したようにカミサマの「集合住宅」と化しており、何階にどのカミサマがいるかの「表札」が境内に表示されている。

廟をたずねて「表札」を目にするたび、ふびんに思う。

カミサマの「集合住宅」にある「表札」(艋舺青山宮にて)
実際に祭壇まで行ってみれば、まるで【ひな人形】のように、様々なキャラクターのカミサマが祀られている。
設置ポジションで分かる、カミサマ・カースト
興味深いのは、カミサマが設置されているポジションには、ちゃんとした意味があることだ。
具体的には、一番奥にいるカミサマが一番えらくて、手前へやって来るほど「身分」が下がるという【ランキング】が暗黙ルールとなっている。実際、手前のカミサマほど小さくて、奥へ行けば行くほど、カミサマは大きくなっていくので、非常に分かりやすい。

「てんこ盛り」感もハンパない祭壇(慈聖宮にて)
祭壇に近づいて、どんなカミサマがいるのか、じっくりと観察してみよう。
最前列にいるカミサマはたいてい、何かしらの「道具」を持っている筈だ。

ペンを持つカミサマ

武器を持つカミサマ
前列のカミサマには「業務」が与えられており、ペンであったり、武器であったり、手に持っている道具はその任務遂行に必要という場面設定だ。推測になるが、ペンを持っているのは学術方面や事務の能力に長けていること、武器を持っているのは武道に長けていることを象徴しているのだろう。
一方で、奥にいるカミサマは「手ぶら」であることが多い。手前にいるカミサマ連中が、すべて片付けてくれるという世界観なのだと思う。
まとめ:同居は大丈夫だけど、上下関係は気になってしまう台湾カミサマ
台湾のカミサマは、どんな宗教同士でも仲良くやっていける度量の大きさを持っている一方で、上下関係がわりかしシビアに決まっているという、どこか矛盾したところがあり、そこからは「人間らしさ」のような親しみを覚える。
最近、大きな廟では、独自のウェブサイトや、Facebook公式ページを開設しているところもある。そういった情報リソースを活用すると、この記事で語られた以上に詳しい解説も読めるだろう。また、台湾旅行前に、訪問予定の廟について予習しておくと、旅の楽しさが倍増することは間違いないし、地元の台湾人より廟に詳しくなれるかも知れない。
廟の楽しみ方をマスターし、是非とも、台湾人に「ツウだね!」と驚かれるようになって欲しい。
(ご参考)台湾文化をディープに学べる台湾本
以下は今年出版されたばかりの一冊だが、久々に読み応えのある「台湾本」であった。
本記事を面白いと感じていただけた方であれば、もっとワクワクしながら楽しんで、読み進められる「必読の一冊」であることに間違いない。
書籍名:台湾探見 Discover Taiwan―ちょっぴりディープに台湾(フォルモサ)体験
いわゆる「日本語世代」とされる年配者の方々へのインタビュー記事も多数収録されており、本書で活字に起こされることがなければ、次の世代へ語り継がれなかった心温まる日台ストーリも見逃せない。