こんにちは。
今日は、システムアーキテクトにスポットライトを当てようと思います。
システムアーキテクトとは、システム開発に携わるITエンジニアのうち、システム全体の構造設計に携わるような立場の人材、いわばベテラン技術者がこれに当たるでしょう。
責任があり、かつ、チャレンジングな業務内容に満ちたポジションに思えますが、ガラパゴス日本社会だと、システムアーキテクトを目指すキャリアは、賢明とは言えないかも知れません(特に社内SEの場合)。
目次
手を動かさないポジションほど給料の上がる不思議な仕組み
上流工程信仰の根強い日本では、なぜだか、脳をフル稼動させて要件定義に見合うようシステム構造を設計するシステムアーキテクトより、エクセルの数字を眺めてばかりで現場を見ようとしないプロジェクトマネージャの方が、給与面で厚遇されることも珍しくありません。
プロジェクト全体のQCDを管理するプロジェクトマネージャの役割も重要ですが、システム完成までの貢献度合いでランクづけをすると、間違いなくシステムアーキテクトがトップになるでしょう。
システムの構造設計は、プロジェクトの品質や納期を達成する上で、モロに影響を及ぼす重要意思決定プロセスです ── このことに加え、ユーザ業務知識とシステム実装知識の両方を一番バランスよく理解しているのは、システムアーキテクトと呼ばれる人々だからです。
これだけ重要なポジションを務めても、プロジェクトマネージャに収入面で及ばないというのは、理不尽さがあります。
日本がIT後進国であることとも無関係ではない、システムアーキテクトの冷遇問題
IT大国アメリカでは、システムアーキテクトというポジションの価値がよく理解されており、能力の高い人材は新卒でも年収1000万円からのスタートという事例も珍しくありません。
新卒採用信仰の根強い日本では、能力よりも「新卒である」という「属性」が重視され、どんな能力を保有して、どんな会社に入ろうと、初任給は、ほぼ横並びという、おかしな状況。
新卒時だけならまだ良いのですが、社会で実力を発揮しても、仕事内容より、「マネージャ」という名のつく仕事ポジションが評価の基準になってしまうことが多く、日本でシステムアーキテクトとして働く限り、年収面での冷遇傾向は避けられない状況です。
この結果、日本では、スーパーめちゃくちゃ頭のいい人材がいても、医学部受験に走ってしまい、決して、システムアーキテクトが選択肢に入ることはないでしょう。
有能な人材の欠如と、日本がIT後進国であることは、決して無関係ではないと思います。
日本におけるシステムアーキテクトの社会的地位を向上させることは可能なのか?
残念ながら、ノーと言わざるを得ません。
「会社の寿命が、人の寿命より短くなった」
そんな言い方もされる、このご時世。
日本の企業では、ITに投資するような体力のある会社は、ごく一部でしょう ── IT投資にさえ消極的な日本社会で、システムアーキテクトの社会的地位を上げるという発想は、現実的であると言えません。
それでも、日本社会における(システムアーキテクトはもとより)ITエンジニアの社会的地位を高めるためには、我々の提供している情報システムがどれだけ社会生活に貢献しているかを、もっとアピールすることから始めなければならないと思います。
いち社内SEをしている筆者自身への戒めとしても、対外的アピールをするスキルの大切さは、肝に命じていきたいです。