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台北・公館(ゴングァン)|「台一牛奶大王」、学生街で五十年愛され続けてきた老舗スイーツ店へ
台湾大学のお膝元、公館駅ちかくで五十年近くにわたって営業する老舗。
その名を「台一牛奶大王」という。
台湾人の友人が「是非とも、アジ吉に食べさせてみたい」と言うので、ついて来た。




学生街の公館にて創業五十年の老舗スイーツ店「台一牛奶大王」
店名に「牛」が入っていたり、「大王」が語尾につくあたり、牛丼など、なにか「ガッツリ食べる系」のものを提供するチェーン店を連想しそうにもなる。
ましてや、毛筆体っぽいフォントの漢字で書かれているので、甘〜いスイーツという雰囲気が全然しない。
まさか、ここがスイーツ専門店であるなんて、友人に連れてこられるまで、気づかなかっただろう。

まぁ、あの「バーガーキング」だって、ここ「大王」と、いいとこ勝負のネーミングで営業しておきながら、扱っているものはハンバーガーだし、ノリ的には、同類項なのだろう。

天井にもデカデカとメニューが書かれている
入店するなり、びっくり。
メニュー(の一部)が天井に掲載されている。



空席を見つけるもの難しい店内
テーブル確保のお鉢が回ってきたけれど、これが、日本人には、なかなか難しい。
- 日本のレストラン 大変合理的な「順番待ちシステム」ができあがっていて、店員の案内を待てば、確実にテーブルをゲットできる
- 台湾の飲食店 少しカオスであり、テーブルを見つけるのは、基本、お客が自分自身で解決するタスクというのが一般常識である
台湾の人気店では、よっぽど運がよくないかぎり、入店と同時にテーブルをゲットすることは難しい。
しかも、空席をゲットする「責任」は、店側ではなく、客側にある。
多くは、「どの客の食事が一番先に終わりそうか」を、皿上の残量を確認しながら、「ターゲット」を設定することになる。
ところが、この日は大変ラッキーだったようで、入店したら、視界に入ったそこのテーブルが、たった一つ空いていたのだ。
テーブルの上は、前の客が食べ散らかしたアズキやら、氷やらが散らばっている。
日本だったら、お客様アンケートで苦言を寄せる人も出てくるレベルだが、ここは日本ではないので、気にしない。そのうち店員さんが近くを通り過ぎるので、そのときに声をかけたら、キレイに拭き取ってもらえる。

バナナとヨーグルトのかき氷「香蕉奶酪牛奶冰」


長蛇の列ができる注文カウンターから「戦利品」を手に、友人が戻ってきた。
バナナとヨーグルトのかき氷「香蕉奶酪牛奶冰」。
「練乳」のような、白くてドロドロした、甘いクリームがかけられている。これを、氷とかき混ぜて希釈することによって、ちょうど良い甘さにアジャストされる仕掛けになっている。
素晴らしいのは、バナナとヨーグルトが氷の上にちりばめられており、この味や食感が、かき氷へ小気味良いアクセントを加え、全体として完成度の高い氷菓子へと仕上がっていること。
食べてみて、なるほど、こう来たか!という感じ。
ちなみに、台湾のかき氷は、ボリュームがかなり多め。
この一品だって、お皿にこんもり盛られているが、なんと、一人前。
確かに、周囲のテーブルを見渡すと、女子大生風のコでも、ひとり一皿を平らげている。日本の夜店で売られる「かき氷」の、三倍くらいのボリュームがあるというのに、台湾へ来るたび、毎回おったまげてしまう。

「吃湯圓慶團圓」と書かれているが……
ちなみに、こちらのお店、「温かいスイーツ」も提供している。
「おしるこ」に似たスイーツ、「湯円」はその代表メニューで、店内には「吃湯圓慶團圓」と書かれている。



日本語でも、人が集まることを「人の輪」と表現することはある。
人の輪の「輪」が、湯円の「円」と類似していることを考えると、なんとなく理解できる。
店名 | 台一牛奶大王 |
住所 | 台北市新生南路三段82号 |
営業時間 | 11:00~24:00 |
台北・公館(ゴングァン)|「龍潭豆花」、店頭メニューが一種類だけのスイーツ店。シンプルさを追求した先にある美学
食後のデザートならぬ、「デザート後のデザート」を食べようと思った。
ハシゴ先としてやってきたのは、台湾のおなじみスイーツ「豆花」の名門店。
その名を「龍潭豆花」という。
メニューが一種類しかないため、注文は、「いくつ必要か?」、「温かいのか冷たいのか」を伝えるだけでよい。

豆花専門店の「龍潭豆花」へ。メニューは一種類「豆花35元」のみ

「シンプルさを追求した先にある美学」を感じる一品
氷、シロップ、ピーナッツ、そして豆乳プリンが盛られた器。
歯ごたえが感じないほど柔らかく煮込まれたピーナッツ。
面白いのは、豆乳プリンの柔らかさが、(ピーナッツの柔らかさの)さらに一歩、上をゆくため、ピーナッツが相対的に「かたく」感じられ、本来ないはずの「歯ごたえ」があること。まるで、蜃気楼のような「実存しない歯ごたえ」を感じるのは、人生で初めて体験する、不思議な食感であった。
また、シロップの甘さは、あくまでも控えめ。
食後、口の中に、甘ったるさが残ることもないすっきり感も、店主の計算ずみだろう。
一種類しかないメニューのシンプルさとは裏腹に、その一品は、高度に工夫された「傑作」とも呼べるスイーツ。
たった四つの具材で構成されるシンプルさとは裏腹に、さまざまな伏線の張りめぐらされた、奥深き氷菓子である。
店名 | 龍潭豆花 |
住所 | 台北市汀州路三段237号 |
営業時間 | 11:00~23:00・月曜日定休 |
台北・公館(ゴングァン)|「水源市場」で、絶品B級グルメを発見。「祥記」ブランド、シチューのようなとろとろスープのぶっかけご飯「燴飯(ホェファン)」
三件目もデザートにしようか迷ったあげく、今後は、ご飯ものを食べることにした。
やって来たのは、腹をすかせた学生の姿もちらほら見られる「水源市場」。

小吃(軽く食べられる台湾料理)を提供する店が多数入居する「水源市場」へ
市場を歩くと、ひときわ人だかりのできるブースを発見。
ブース番号は62、台湾のこういう小さい店にしては珍しく、ちゃんと店名があり「祥記」。








地元っ子が殺到して、ひときわ目立つ存在の「祥記」
台湾人の友人ですら、ちょっとドン引きするくらいの人だかり。
きちんとした行列もないので、どこが「最後尾」かの判断もつかない。
友人が躊躇した理由も分かる気がしたけれど、ここで食べないまま、日本へ帰国するわけにはいかない。


友人には申し訳ないけれど「料理ゲット担当」を無茶ぶりをしておき、自分はと言えば、「テーブル確保担当」を大義名分に、人だかりからコッソリ避難するアジ吉であった。
「祥記」のテーブルは、いつまで待っても空きそうにないので、お隣ブースのテーブルを借りるという作戦に変更。
飲食店における「持ち込み」が幅広く容認されている台湾社会では、他店の料理を持ち込んでも、店員から嫌な顔をされることはない。もちろん、お隣ブースの料理も、きちんとオーダーするのが大前提だけども。

「祥記」のお隣にある総菜屋さん。笑顔にホッコリ癒される
お隣のブースは、優しそうな笑顔の店員さんがいて、ほっこり。
友人が「祥記」ブースで戦っている間、アジ吉は、比較的すいているこちらのブースで、ゆっくりリラックスしながら、料理オーダー。
ここは「自助餐」と呼ばれる、いわばビュッフェスタイルの総菜屋であり、注文したい料理を指差すだけで良いので、中国語ができなくても、自分が食べたい料理を確実にゲットできる。

いくつか総菜をいただくことに。オーダーは「指差し方式」だ

アジ吉が「指止し」でゲットしてきた総菜たち。お店の人がキレイに盛りつけてくれるため、見栄えも美味しそう
アジ吉がちょうど、「指差し注文」を終え、会計を済ませたところで、友人がやってきた。
手には、しっかりと、「祥記」のロゴが入った「戦利品」が握られている。グッドジョブ!

相棒が「祥記」でゲットしてきた一品
三十分かけて、やっとゲットした「祥記」の弁当。
苦労をしたのは友人だけど、まるで、宝箱のように愛おしく思えてくるのであった。
まるで、買ってきたばかりの、高級スマホの外箱を開けるように、息を止めて開封。

シチューのようにトロトロの「燴飯」
「開封の儀」を経て、待ちこがれた「祥記」の小吃と、ご対面。
フタを開けてあらわれた小吃の名は「肉片滑蛋燴飯」。
「燴飯(ホェファン)」とは、熱々白米に、シチューのようにとろみがあるスープを乗せた、早い話が、「ぶっかけご飯」である。片栗粉を使っているのだろうか、よくかき混ぜないと、すぐ固まってしまうくらい、ドロドロしている。
鍋の後に楽しむ「おじや」や、あるいは、(肉、卵、ネギという)具材の組合せ的には「親子丼」とも近い。
日本にもあるようでなかった新しい料理を目の前に、気分はアガった。
実際の味わいも、「おじや」や「親子丼」といった見た目に近い、想像どおりの美味しさ。

テーブルに広げられたご当地グルメに、気分もアガる
友人がゲットした「祥記」のぶっかけご飯、アジ吉のゲットした総菜屋の料理を、テーブルに並べると、それはゴージャスな食卓だった。


Facebookでいうところの「イイネ」だろうか、大充実の食卓に「ザン」を連呼するアジ吉。
日本円にすると、ビッグマックも買えないような安い夕食だが、この驚異的コスパで、質・量ともに胃袋が大満足できる食事を提供できるのは、「美食大国」台湾ならではの、懐の深さだと思った。
台北・公館(ゴングァン)|学生街を散策

台湾人は、ほんとうに並ぶのが大好き。隙あらば割り込む大陸の人々とは、対照的
台北ナンバーワンの繁華街「西門」に引けをとらないくらい、にぎわいを見せる公館。
道行く人々が、どうも、あかぬけないファッションで「素朴感」がするのは、ここが学生街であることに起因しているのかも知れない。

コンビニにて「青島ビール」をゲット
コンビニで購入した「青島ビール」を飲みながら、すっかり日も沈んだ公館の街を歩きつづける。




こちらは、夜市ではなく「市集」。フリーマーケットの夜バージョン
夜市はたくさん行ったことがあるけれど、「市集」は初めて。
ちょっくら、散策してみることに。

販売されているアイテムは、衣類が中心
たしかに、店先で扱っているのは、食べ物ではなく、衣類や日常生活品が中心。
店主も、学生風の若者が多く、身の回りのものを売却して「小遣い稼ぎ」といったところだろうか。
「公館」は個性ある街で、時間が許せば、もっとたくさんのスポットを体験・紹介してみたいところだが、今回のレポートはこれにていったん終わりとしよう。
かならず近いうちに「公館」を再訪し、「公館・続編」を執筆することになるだろうと確信しながら、ペンを置くアジ吉であった。
(おまけ)台北市内、あるいは台北から日帰り可能な、オススメの穴場グルメスポット
本記事を楽しんでいただけた方は、きっと、以下記事についても、興味を持っていただけると思う。
いずれも、おどろくほど「穴場」の名グルメぞろいなスポットである。
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