はじめに:日台社会で大きく異なるゴミ捨て事情
日本のゴミ捨ては、町内会で定められた場所・曜日に、ゴミ袋を置いておくと、あとは回収してもらえる。これを当たり前と思っている人は、台湾のゴミ捨て事情について知ると、その考えを改めなおすキッカケになるかも知れない。
何を隠そう台湾では、「日式」のように、路上へゴミ袋を置いておくことが許されていないのだ。日本ほど衛生管理の行き届いていない台湾の街では、ゴミ袋を路上に放置すると、たちまちネズミやゴキブリなどによって荒らされ、目も当てられない状態になるだろうから、不便ではあっても、致し方あるまい。

「エリーゼのために」は台湾の国民的メロディ
本記事のタイトルにもなっているが、台湾のゴミ収集車は、『エリーゼのために』の電子音メロディを流しながら街へやって来て、付近住民にその【存在】を知らしめる。ベートーベン作曲のロマンチックなピアノ作品も、台湾の人々には【ゴミ回収の歌】として記憶されているのだ。
なぜ『エリーゼのために』が選ばれたかには、諸説ある。
- 当時、台湾政府が採用したゴミ収集車がドイツ製だったことから、ドイツの作曲家であるベートーベンの曲を採用した
- 当時、台湾の環境保護局のトップが練習していたピアノ曲が『エリーゼのために』だったから
どちらの説についても、当局からの公式コメントはないため、真相は定かでない。
ちなみに『乙女の祈り』を鳴らすゴミ収集車も存在し、こちらの作曲家バダジェフスカはポーランド人であるため、「ゴミ収集車がドイツ製だったから」説の信憑性は、ここでも揺らぐのである。
まるで「紅白玉入れ」の様相。台湾の無慈悲なゴミ回収システム
いちおう、ゴミ収集車は決まったスケジュール(特定の曜日・時間)でやって来るらしいが、日本の公共交通機関みたいに「分刻み」の精度を保証するものではない。
「スケジュール」よりも早めにやって来る日があれば、その逆もあるだろう。『エリーゼのために』が聞こえたときに、たまたま運悪く、お腹をくだしてトイレの中にいたら、もう手遅れだろう。大急ぎで家から飛び出して、まるで「紅白玉入れ」のように、ゴミ袋を必死に投入する台湾の人々を見ていると、不憫ですらある。
ちなみに、高層マンションなどでは、敷地内に独自のゴミ廃棄ポストを保有していることが多く、いつでもゴミを捨てられる。

集合住宅のほうが、ゴミは出しやすい
ゴミ捨て問題に悩みたくない場合、台湾での不動産選びにおいては、「ゴミ廃棄ポスト」の有無は、必ず確認すべきポイントになると思う。
まとめ:もはや【迷宮入り】と思われる難案件
台湾のゴミ収集車が『エリーゼのために』を鳴らして走るシーンは有名だが、その「選曲」背景については、複数の知人(台湾人)に尋ねても、具体的な情報を得ることができずじまいという無念な結果に。
もし、読者の方で『エリーゼのために』や『乙女の祈り』が選曲された裏エピソードをご存知の方がいらっしゃいましたら、是非とも教えてください (^_^;
追記(2018年7月16日)
Twitterアカウント経由で、本ブログの記事を閲覧された「汎汎/ふぁん」さんから、以下の情報提供いただきました。
- ピアノの練習をしていたのは、環境保護局のトップではなく、その娘さんであること
- ピアノの練習曲は『エリーゼのために』と『乙女の祈り』の二説があるが、『乙女の祈り』が可能性濃厚であること
「汎汎/ふぁん」さん、どうも、ありがとうございます (^_^)