松山空港(台北)から、【台湾最後の秘境】馬祖へ、ひとっ飛び
松山空港(台北)から、馬祖列島の「北竿」へ飛び立つ朝。
06:50出発の早朝フライトにつき、まだ、MRTやバスは運行していない。
タクシーの運ちゃんも耳を疑う「馬祖ゆき」
西門から松山空港へはタクシー利用で、280元。
「松山空港から先は、どこ行くの?」と、タクシーの運ちゃんに聞かれた。
おそらく、国内線か国際線、どちらの出発ロビーで降ろすべきかを確認する意図で発せられた質問だろう。

「はぁぁぁあああ!? 今、なんて言った?」と、ビックリ仰天する運ちゃん。

車内におとずれる、しばしの沈黙。
まったく、朝からクレイジーな客を乗せたもんだぜという表情になっているのが、ミラー越しに見える。
自分がこれから向かおうとしている「馬祖列島」が、とても特殊な場所だということは分かっていたが、まさか、タクシー車内の会話でそれを実感することになるとは……
それもそのはず、馬祖列島は【台湾最後の秘境】であり、台湾人でも、行ったことのない人の方が圧倒的に多いのだから。
松山空港へ一番乗り
「馬祖へ行く」と告げると、タクシーの運ちゃんが興奮気味になってスピードアップしたこともあり、松山空港へ、あっという間に到着。
おかげで、この日の松山空港「一番乗り」の客となった。

誰もいない早朝の松山空港
三十分ほどすると、他の空港利用客がちらほらやって来た。
きっと、この人たちの中にも、馬祖へ向かう乗客がいるのだろう。

空港内のセブンイレブン

朝食はコンビニ弁当

チェックインカウンター
空港内のセブンイレブンで、朝食ゲット。
チェックインは、アッサリ完了。当然のことながら、空港職員は、馬祖行きの人間なんて、毎日顔を見ている。別に、珍しくも何ともないのだ。
あやうくフライトを乗り過ごしそうに!?
X腺検査を済ませ、搭乗ゲート前のベンチへ。
ここにも、一番乗り。

搭乗ゲート前のベンチ
次第に乗客が集まり、ボーっとしてると、周囲の人たちが立ち上がって、モゴモゴ動き出している。
いつの間にか搭乗手続きが始まっている。

ノンビリ構えていたら、あっという間に、周囲から誰もいなくなった。
馬祖行きの便は、もともと小型機なのだが、この便は(早朝フライトということもあってか……)たった40人ほどしか乗客がいなかった。
大慌てで、バスに飛び乗った。

滑走路を移動するバス
バスの「前後」にドアがある、日本では見かけないタイプの車両。
滑走路を移動して、飛行機のところまで連れて行ってくれる。
UNI AIR 立榮航空 B7 8781便
白地に、オレンジと緑のラインが入った機体が、滑走路で待っていた。

搭乗
小柄なプロペラ機で、搭乗口の階段は、10段ほどしかない。
機内では、新聞の無料配布。LCCっぽい機体だけど、LCCじゃないのだ。

新聞も配布されていた
実際にシートへ座ると、意外と、座席間隔スペースが広々。

意外と広々しているシート
どうやら、一人旅なのは、アジ吉だけの様子。
他の乗客は仲間同士らしく、まるで【親戚の集まり】みたいに、和気あいあいと歓談している。

機内の様子
まもなく機体は、離陸。
プロペラ機だけあって、かなりの低空飛行。

かなり低空を飛行
ビル一つひとつが、ハッキリ目視で確認できるレベル。
おしぼりやドリンクも提供された。

おしぼり、ドリンク
ついさっき離陸したばかりで、ジュースを飲み終え、おしぼりでリフレッシュしたかと思うと、もう、着陸態勢に入るアナウンス。
機体は高度を落として低空飛行に入り、馬祖列島のひとつ「南竿」の上空をかすめるように飛ぶ。

「南竿」の島が見えたけれど、30秒ほどで通過してしまった
「南竿」自体が小さな島なので、わずか三十秒ほどで通過してしまう。
Google Mapsで「現在位置」のマークが、スススススーーと動いていく。

Google Mapsで、現在位置のマークが、すごいスピードで移動している
その後、三十秒ほどで、細長い「北竿」の島が見えた。
民家がはっきり見えるほどの距離で飛んで行く

「北竿」の島が見えた 1

「北竿」の島が見えた 2

「北竿」へ着陸
「北竿」へ着陸すると、まるでキコキコと音が聞こえてきそうな、ちっぽけなハシゴ車を押しながら、空港職員が機体むかって歩いてくる。
馬祖北竿空港
天気は晴天。
ここ数日、台湾本島は、連日大雨だったのが嘘のよう。同じ台湾でも、ここまで離れていると別の「国」みたいである。
実際、馬祖列島の天気予報を見るなら、台湾の天気予報を見るよりかは、中国の天気予報を見た方が良いと思う。
馬祖列島からは、中国大陸が見えるだけでなく、視力の良い人なら、大陸にある建物まで、肉眼で確認できてしまう距離なのである。

「馬祖北竿空港」へ到着
空港内に、ATMがあったことは意外だった。
試していないが、日本のクレジットカードでも、キャッシングできるのかも知れない。

「中華郵政」のATMマシーン

「北竿」島内の地図

空港ロビーの様子
UNI AIRの窓口も。

UNI AIR窓口
是非とも利用したいのが、「旅遊服務中心」カウンタ。

「旅遊服務中心」カウンタ
あいにく、外国語(日本語、英語)は通じないが、ここで配布されている日本語パンフレット『馬祖自由旅行ガイド』は、必ずゲットした方が良い。
馬祖列島の主要五島(南竿・北竿・東莒・西莒・東引)すべての詳細観光情報が、美しい日本語を使い、カラー写真つきで網羅されている。
この資料が、オンライン上でPDF公開されていたら、もっと馬祖列島旅行の準備は、容易だったろうに……

「馬祖北竿機場」外観
空港は海岸沿いにあり、建物のすぐ後ろには、海が広がっている。
海よりも目を引くのは、(写真には撮影できなかったが)軍事施設がそこかしこにある点。
かつては、大陸とにらみ合った「軍隊の島」だった名残である。
ミサイルの性能が向上した結果、(台湾まるごとが射程範囲に収まってしまうようになり)馬祖列島に大量の兵士を駐軍させる意義が低くなってしまったので、現在でも軍事施設は(部分的に)稼働しているが、かつての最盛期ほどではなくなっているようだ。
いざ「北竿」!
想像はしていたが、うだるような暑さ。
台湾本島と変わらないか、それよりキツいかもしれない日差し。

空港を出たら、「スポンジボブ」の出迎え
空港を出てすぐのところには、「スポンジボブ」の壁画。
この島にコンビニとか繁華街とか、あるのか?
ところで、馬祖列島へ来るまでに一番心配だったのは、島にはコンビニがあるのか?ということ。
思い返してみれば、「コンビニ・インフラ」が発達した台湾では、旅行中、すっかりコンビニ依存症になりがちであった。
いつでもどこでも、日本国内にいるのと変わらない品揃えのショップへアクセスができるというのは安心感につながるし、日差しで体力消耗し、歩き疲れたときには、冷房の効いた「イートイン」で体力回復させてもらうこともある。

「なんといっても【台湾最後の秘境】だし、ちょっとやそっとのことでは動じないでおこう……」と覚悟を決めて来島したはずなのに、思いの外、自分の往生際が悪かったことに嫌悪感を覚えつつ、空港から徒歩五分の至近距離にある塘岐村(táng qí cūn)へ。
北竿の島にある集落のひとつで、今夜のホテルがある。

「塘岐村」の街並み
目に飛び込んできた、セブンイレブンのロゴマーク。
とりあえず島内に最低一軒はコンビニがあることを確認できて、一安心。

広々とした店内
小さな島には不相応な広々とした店内スペースだが、日本でも地方都市へ行けば、コンビニ敷地面積が大きくなるリクツと一緒なのだろうか。
今夜滞在するホテル「宏瑞大飯店」は、セブンイレブンから徒歩一分の距離にあった。
馬祖列島では、英語も日本語も【全面的に通じない】という事実
サバを読んでも「中学英語レベル」程度としか言えない、我が中国語会話能力。
それでも百回を超える台湾旅行中、大して困らずに済んできたのは、台湾本島では、簡単な英語や日本語であれば、結構通じるからだったと気づかされたのは、ここ馬祖列島へやって来てからであった。
馬祖列島では、海外から観光客がやって来ることはまれで、「ハロー」や「こんにちは」程度の単語も通じないくらい、ガチで外国語の通じない環境だったのだ。

ホテル予約サイトBooking.comで見つかった、数少ない北竿のホテルの一つ、「宏瑞大飯店」へ。
チェックインしようとやって来たものの、ドアを開けて中に入ると、誰もいない。
誰もいないことに加え、内装は「民家」というかんじだし、ホテルというより、むしろ民宿のカテゴリだと(現地に来てみて)分かった。

「宏瑞大飯店」外観

「民家」という感じの内装

お茶を振る舞ってくれた
しばらくソファに腰掛けていると、この民宿の住民と思われる、おじいさんと、その孫である三歳くらいの女の子がやってきた。
とりあえずお茶を入れてくれたが、アジ吉の中国語が不自由であることに加え、おじいさんの中国語は標準的なもの(いわゆるプートンファ)ではなく、理解困難。
筆談では意思疎通できるものの、アジ吉もおじいさんも、もともと【口下手なタイプの人種】同士のようで、何となく気まずい雰囲気に。
おじいさんの娘がやってきたけれど、やはり外国語は通じず、込み入った要件を伝えるときには、スマホの翻訳機能に頼るも、細かいニュアンスは通じず、筆談が一番効果的だった。
とりあえずは、チェックインするまでの間、受付で荷物を預かってもらうように依頼をしてから、レンタルバイクを貸してくれる業者を見つけに出かける。
英語の使える女将がいて、レンタルバイクも貸してくれる宿を発見
「宏瑞大飯店」から徒歩三十秒くらいにある、民宿「藍洋洋の家民宿」。
ドアが開かれているので、立入りやすい雰囲気があり、フラリと立ち寄ってみた。

「藍洋洋の家民宿」外観
これが、大正解。
快活な性格をした女将は、英語を上手に話す島民であった。
ここの宿は、レンタルバイクの貸出サービスを一日500元(ガソリン代コミコミ)で行っている。

レンタルバイクの使い方を説明中の女将
宿泊客ではないアジ吉にも、懇切丁寧に島のオススメ観光ポイントなどを教えてくれた。
レンタルバイクの料金は、島内すべて一律みたいなので、どうせなら、色々な情報を教えてくれる業者で借りた方がオトクだ。
「困ったことがあれば、ここへ連絡してね」と、手渡してくれた名刺。

「藍洋洋の家民宿」名刺
英語が通じる島民が本当に少ない馬祖列島を訪問する際には、心強い相談相手になってくれると思う。
名称 | 藍洋洋の家民宿 |
住所 | 馬祖北竿塘岐村194号 |
電話 | (0836)56269 0910050067 |
島へ来るまでは、どこのホテルがいいかは分からなかったが、次回、北竿に訪問することがあれば、必ずここにしようと思う。
とびっきり早起きをして、台北から飛行機で北竿へ飛び、宿に荷物を預け、レンタルバイクをゲット。

言葉が通じないことによる疲労感もあり、【すでに一日が終わった】かと思うほどクタクタになりつつ時計を見たけど、まだ午前十時過ぎ。
一日は始まったばかり、外は晴天、これから島内観光としよう!
北竿観光の「フルコース」
後編では引続き、北竿の魅力を存分にご紹介。
以下をクリックして、後編へどうぞ。
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【台湾最後の秘境】馬祖列島旅行記(1日目・後編):北竿(ベイガン)、馬祖で二番目に大きな島を楽しむモデルコース
目次1 あらすじ:「北竿」一周のためのバイクゲットに成功!2 「北竿」の魅力を、隅々まで味わい尽くすバイク旅2.1 「北竿」全体地図2.2 「塘岐村」|レストランやコンビニもある、重要な「旅拠点」2.3 「后澳村」|台湾・中国の両岸関係を物 ...