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師走の台北へ

激混みする、師走の桃園空港
忘れかけていたが、半年ほど前に航空券セールがあり、台北ゆきをポチっておいた。
その搭乗日がやってきたのは、師走のあわただしい週末。
桃園空港へ降り立つと、入国審査カウンターには、これまで見たことがない長蛇の列。
普通に並べば一時間は軽く過ぎるだろうが、こんなとき「常客証」を持っていれば、大助かり。年間三回以上、台湾を訪問する観光客へ発行される、いわば「特権パス」のような公的書類。特別カウンターがあり、待ち時間ほぼゼロで入国手続きしてもらえる。
入国審査後、空港の Wi-Fi を使って、台湾人の友人へ連絡。



待ち合わせ場所の龍山寺エリアでは、ハイレベルな台湾グルメが大充実。
友人が選んだ、「絶品の一軒」とは?
一鑫鵝肉|龍山寺ちかくのガチョウ肉専門店

「一鑫鵝肉」のめじるし。漢字の店名は、隠れて見えない
友人と合流したのは、龍山寺ちかくにあるガチョウ肉レストラン「一鑫鵝肉」。
いつ行っても、同じメンツで切り盛りしている、アットホームな雰囲気。





それにしてもここ、料理のクオリティは抜群なのだが、ほんとうに商売っ気がない。
高めの肉料理を注文すると、わざわざ「これは三百元もするけど、大丈夫?」とテーブルまで確認しに来るし、肉ばかり頼んでいると「栄養がかたよるよ!」と、ヘルシーな一品料理をすすめてくれたりする。
面白いのは、お店の名前が、客の見える場所には書かれていないこと。
よく探せば見つかるかも知れないが、この「一鑫鵝肉」という店名も、わざわざインターネットを使って調べたくらいだ。
ここに限らず、台湾では、店名がデカデカと看板でかかげられるようなことは少ない。むしろ、ほんとうに店名がないレストランの方がふつうである。
台湾の人々は、オーナーの顔で店を覚えているのだろうか。

豚肉のツマミ。ビールと最高にマッチしており、毎日でも食べたい一品

ガチョウ肉。表面がコリコリして、中は柔らかく、大変美味

アサリくらいのサイズがある「でかシジミ」。我が人生でも最高峰の酒のツマミ

新鮮でコリコリ歯ごたえ、絶品イカさしみ
絶品グルメを目の前に、箸も、話も、ビールも、ノンストップ。
ビール文化が一般的ではない台湾ではめずらしく、店内でビールも販売されている。

台湾は日本の半額以下でビールが飲めるから、倍、飲んじゃう






となりのテーブルでは、ワイン一箱をがっつり持ち込むニーさんたち
さくっと観光ターゲットが決まったとき、となりのテーブルでは、ワイン一箱をがっつり持ち込むニーさんたちの姿が。
台湾の飲食店は、持ち込みについて、かなり寛容。
隣の店で買った飲食物を持ち込んでも、怒られたことがない。
人情味あふれるレストランを後にし、いよいよ向かう「艋舺青山王祭典」。台北三大祭りにカウントされる、由緒正しい伝統イベントの雰囲気とは?
青山宮|台北のかくれた名刹

気づかぬ間にスルーしてしまいそうな存在感の「青山宮」、この日はおおいに賑わう





外国から来客があったとき、いったい、どれくらい日本のことを詳しく説明できるか、自信はない。
この友人、ほんとうに感心するほど物知りであり、プロの観光ガイドになったほうが良いんじゃないかと思うほど、どんな質問をしても、よどみなく解説してくれる。
もっと自分の国について勉強しないとと、こういうときは改心するのだが、日本に帰ったら、「頭がお花畑」ぱっぱらぱーに戻るアジ吉であった。

巨大マユゲの神様(青山宮)

巨大ヒゲの神様(青山宮)
インドの神様ほどではないが、台湾の神様は、「ビジュアル重視」系。
見ているだけでも、おもしろい。

カメと麺による、「長寿」のシンボル(青山宮)




「青山宮」だけでも見応え十分だが、本日の肝心なターゲット「艋舺青山王祭典」そのものは、まだ楽しんでいない。年一回しか開催されないため、このイベントへたまたま遭遇できる「ラッキー」な観光客は、そう多くはない。
インターネットでも、ほとんど情報が見当たらない、地元密着型、ディープイベントの雰囲気とは?
艋舺青山王祭典|テーマパークばりにカラフルな色彩の仏教系イベント
この「青山宮」を中心会場として、年に一回、地元っ子総勢でひらかれるのが「艋舺青山王祭典」。
台北イチの下町が、一年で最も下町らしくなる一日だと思う。

サイケデリックな色使い。もはやテーマパーク、自由すぎる台湾

ピンク色の光を放つ祭壇
仏教系のイベントといえど、ド派手に盛り上げるのが、台湾方式。
クリスマスシーズンのディズニーランドや USJ と、エエとこ勝負するかも知れない。
豪華ラーメンをゲットせよ!

なにやら人の列ができている…

みんな同じかっこうをしてラーメンをすすっていた
ちょっと先へあるくと、なにやら、人の行列が。
周囲の人たちは、皆、美味しそうなラーメン(みたいな麺料理)を手にしている。


通りすがりの人が指差す方向をみると、なんと、炊き出しサービスのカウンターを発見!
どうやら無料っぽくて、「レジ」みたいなものが見当たらず、次々と料理をゲットするひとびと。

太っ腹!!! 無料での炊き出しサービスが

大量に調理されたストックも、どんどん減り、すぐに鍋の底がみえる

「鍋リレー」で、つぎつぎと補給されるストック
もちろん、大急ぎで行列に参加するアジ吉。
急ピッチで配布されていくので、あっという間に、自分の順番がやってきた。

無料とは思えないクオリティの、具沢山ラーメン
念願の、マイラーメンをゲット。
具がゴロゴロ、ふんだんに使われており、とても無料とは思えないクオリティ(もちろん、美味しい)。

あまりにもおいしいので、食べながら「二杯目」の行列に加わる台湾の人々
よく観察してみると、皆、いま手にしている器を空っぽにする前に、食べながら並んで、「二杯目」に向けてスタンバッてるではないか。
これはすごいテクニックだと感心し、思わずマネする、アジ吉。



チャルメラのような音色をした笛を吹き散らかしながら行進
立ち食いラーメンをたのしむかたわら、すぐ目の前を、パレード隊員たちが、中華風の音楽を奏でながら練り歩いていく。
爆竹が何度も点火され、街一帯が、今日一日だけは「無礼講」の様相。
爆竹サウンドあり、再生には注意!!
「艋舺青山王祭典」を体験して…
青山宮そのものは、こじんまりとした廟だが、「艋舺青山王祭典」はビッグな盛り上がり。
地元民の生活にすっかり溶けこみ、観光客に注目もされないような、ひっそりとした立地の「青山宮」。この日ばかりは、すぐ近所にあり、誰もが知っている「龍山寺」をさしおいて、主役をひとりじめするのだろう。
ただ、祭りの担い手が、けっこう高齢化しているのは気になった。
この祭りの光景がいつまで見られるかは、時間の問題かも知れない。
そういう一抹の、寂しさのような感情を味わいながら、会場を後にしたのであった。