ハノイ観光と言えば、ホアンキエム湖は捨てがたいオプション。
徒歩で一周すると、「散歩」にちょうどいい運動量を確保できる、絶妙な大きさだと言えるし、近くに魅力的なホテルやレストランがあるなど、立地も良い。
それでも、観光地化が進みすぎたエリアであり、少々騒がしい感じがするのは拒めない。
筆者の感性に同意いただけたなら、今回ご紹介するタイ湖畔の散歩ルートは、きっと満足度の高いハノイ観光となるだろう(注記:かなりローカル度の高いモデルコースである)。
タイ湖は、ハノイに数ある湖でも最大規模であるため、その湖畔となれば、冒険し甲斐あるルート。

タイ湖
本記事で取り上げるモデルコースは、タイ湖畔の東岸部にスポットライトを当てたものであり、三時間ほどで完結する。
目次
ふらりタイ湖畔さんぽ
タイ湖畔(東岸部)にもホテルの数は少なくないし、静けさを好む観光客には、このエリアに投宿するオプションも人気のようである。
それでも、ホアンキエム湖エリアのような、「見渡す限り樹立したホテル」という風景ではなく、明らかに超ローカル、がっつり住宅地といった雰囲気。

緑の「トンネル」
単なる住宅地でも、おしゃれなベトナム人の「らしさ」が随所に見られる、遊び心ある街並みなので、飽きることはない。
道端で見つけた神さま。

道ばたの神様
道祖神だろうか?
壁に残された「力作アート」で目を楽しませることも可能。

壁アート 1

壁アート 2

壁アート 3
観光客を集めるために誰かが描いたというよりかは、ペイント好きな地元っ子が、せっせと創作したという印象。
閑静な住宅地へ、けっして高すぎない頻度でひょっこり出現することで、壁アートのレア感が保たれているし、街の雰囲気とも、うまく共存しているように感じる。
タイ湖グルメ
タイ湖畔と言えば、エビの揚げ物(Bánh Tôm Hồ Tây)が有名。
うず高く、円錐形に積み重ねられていることに加え、キツネ色の衣、赤色のエビの色彩コントラストがビジュアル的に映えている。

なぜか円錐形に積み重ねられている
後ほどご紹介する、西湖府(Phủ Tây Hồ )から徒歩五分くらいの小さなエリア内に、片手、いや両手の指を使ってもカウントし切れないほど多くの専門店が密集している ── ベトナムでは、同じ業種の商店が一箇所に集中していることは珍しくないが、これもその一例。
どこでも味は大差ないのだろうが、できるだけ多くの地元民が出入りしている一軒を選んだ。

まるで「呑め」というかのように設置されている栓抜き
テーブルの箸立てには、ビールの栓抜きが「もちろん呑むよね?」と言わんばかりの存在感を放っている。
もちろん、昼酒バッチ来い。

昼から「できあがれる」セット
エビの揚げ物、ビール、この組み合わせが、あわないハズない。
ベトナム飲食店ではお約束、もっさりハーブも健在。

お約束「もっさりハーブ」

食べる前から、ビールとあうのが分かる
満を持して、一口目をいただく。

エビはカリカリ食感
キツネ色の衣は、中が空洞(てっきり、エビのすり身が入っているのかと期待していた)── それでも、衣のサクサク感、エビのカリカリ感を同時に楽しめるコンビに、お箸は止まらない。
タニシを蒸した料理(Ốc luộc)も名物。

「石炭」をスコップですくうかのような光景
タニシを蒸した料理も有名 ── タイ湖からざっくざっく収穫できるらしく、レストランの軒先では、まるで「石炭」をすくうようにして、タニシを鍋に放り込む光景を見ることができる。
タイ湖畔の寺コレクション「寺コレ」
タイ湖畔(東岸部)は、寺の多さも特記すべきだろう。
徒歩十分くらいの小さなエリアに、三つの寺がある ── キャラもバラバラなので、すべて見て回りたい。
西湖府(Phủ Tây Hồ )
エビの揚げ物、タニシの蒸し物など、ご当地グルメが元気よく営業するエリアにあるのがこちら、西湖府(Phủ Tây Hồ )。
立派な門をくぐると、境内だ。

西湖府の門

右手にあるのが本堂

境内の様子
けっして広くはないが、隅々まで清掃の行き届いた雰囲気は、日本の「神社」に通ずるものがあるし、ホッと一息、落ち着くにはちょうど良い。
仏教寺院(Chùa Hoàng Ân)
敷地の広さでは、こちらの仏教寺院(Chùa Hoàng Ân)が一番。
無人の境内には、飼い犬が二匹「留守番」をしていたが、しっかり躾されているようで、むやみに吠えることはないし、参拝者を遠くから見守っているような距離感を保っていた。

境内にバナナ
まだ食べごろではないが、「鈴なり」状態のバナナ。
境内にある建物のキャラが豊かな点では、三つの寺でも、ピカイチ。

境内の塔

小さな塔がたくさん……

本堂

西洋でも東洋でもない、「ベトナム式」
建物を見ることが好きな方は、この寺に絞っても良いだろう。
ハノイの地獄寺(Chùa Phổ Linh)
最後にご紹介するお寺がこちら、ハノイの地獄寺(Chùa Phổ Linh)。
正式名称は知らないが、ハノイにも地獄寺があるのだ。

湖面にうつりこんで上下対称になっている寺

門の先で待ち受けているのは……
門をくぐると、その先には、地獄絵のコレクションが十数点。

地獄絵図 1

地獄絵図 2

地獄絵図 3

地獄絵図 4

地獄絵図 5

地獄絵図 6
地獄絵にはベトナム語で解説が加えられている。
友人(ベトナム人)に意味を教えてもらったところ、日本でも、どこかで聞いたことがあるストーリーだった。
- すべての人は死後、天国か地獄かへ、ふるい分けられる
- 地獄へ行くことになった人には、厳しい運命が待ち受けている
超ざっくりだが、こんな内容だった。
ボッタくりには注意しよう
以上、ご当地グルメあり、ローカル街歩きあり、そして、地獄寺ありという、欲張りルートをご紹介した。
最後に一つ、筆者の体験をシェアしておきたい。
エビの揚げ物を楽しんだ後、お会計タイミングでボッタくられそうになった。
80,000ドンだというので「それって高くね?」と思い、地元客に聞いたところ、50,000ドンだと判明。
地元の相場は、ガイドブックを読んだり、複数店舗で料金を確認したりすることで簡単に分かるので、騙されないようにしたい。
(以上)