台北

永豊福州麺(ヨンフォン・フージョウミェン)|自信をもっておすすめできる台北の乾麺。涙する美味しさ、ハンカチ準備必須の一軒

投稿日:2018年5月26日 更新日:

台北駅から徒歩十分。ひっそり路地裏に、ド派手な「道しるべ」の麺専門店

台湾の街歩きは、わざと迷子になるくらいのつもりで、路地裏をのぞくのも楽しい。

ウマい店、下町風情たっぷりの光景など、思いがけぬ「発見」に恵まれることがある。

アジ吉
この先は袋小路だな。引き返そうか……

きびすを返そうとしたら、黄色い「道しるべ」が目に飛び込んできた。

黄色い「道しるべ」

黄色い「道しるべ」

強烈なアピールオーラを放つ「道しるべ」。まるで、今夜の食事場所を決定づける矢印のように見えて来る。

角を左に曲がると、「福州麺」の三文字。

「道しるべ」の先にあったもの

「道しるべ」の先にあったもの

暗がりを抜けた先には、麺専門店の、お出ましだ。

先代の屋台から創業し、今では台北駅至近の「一等地」に店舗を構える実力店

ひっそりした路地裏にある割には、意外と新しくて、立派な店舗。もっと古ぼけていて、テーブルが二つくらいのお店を想像していた。

インターネット情報によると、元々屋台だったのが、今の店舗になったのだとか。相当、商売繁盛しないと、ここまでの店舗を建てるのは難しいだろうことを思うと、料理のクオリティにも、期待が高まってしまう

「永豊福州麺」店舗

「永豊福州麺」店舗

キッチンでは、まだ十代に見える男の子

キッチンでは、まだ十代に見える男の子

店先に並ぶ、数々の一皿料理

台湾では一般的なスタイルで、食べたいものを客が自分で手にとって、入店するのだ。

客が欲しい物をとるセルフサービス方式だ

客が欲しい物をとるセルフサービス方式だ

店内に入ると、もう午後八時前なのに、けっこうな数の客がいて、驚いた。

ちなみに、台湾は、このくらいの時刻になれば、早々と閉店してしまう飲食店が多くアジア有数で「夜の短い国」である。

これは、台湾が「夜市大国」であることと無関係ではないかも知れない。「夜遅くは、夜市にまかせた」と、飲食店がシャッターを下ろしている可能性もあるからだ。

にぎわう店内

にぎわう店内

店内メニューは、麺(スープあり)、麺(スープなし)、スープ、単品の四カテゴリに分けられている。

なお、麺料理には、「大」か「小」のサイズ指定が可能

メニュー一覧

メニュー一覧

単品メニューを同時注文したり、食べ歩きを考えていたりするのなら、「小」でも十分なボリューム感だった。

「大」はあくまでも、この店のリピーターで、ガッツリ食べたいという人向けだと思う。

壁には、写真が多数貼られている。

有名人の写真かと思ってのぞきこんだが、いわゆる「家族写真」だった。

壁には写真が

壁には写真が

写真は、レストランのオーナー一家かも知れない

一般に台湾人は、成人後も親を大切にする人が多く、家族思いだ。

隠された「ソース」や、いずこに? 謎が謎を呼ぶ「乾麺」ミステリーの結末とは……

一皿料理を片手に持ちながら、テーブルへ着席。

オーダーした料理を待っている間の「おともだち」となる。

一皿料理をひとまずゲット

一皿料理をひとまずゲット

見るからに酒のつまみだが、この店も含め、台湾の飲食店ではビールが置かれていないケースの方が多い。もし「台湾三大がっかり」なるモノがあるとしたら、まちがいなく、その一員にノミネートするであろう。

アジ吉
あっこのテーブルで食べているのと、一緒のやつ

料理のオーダーは、やっぱり「指差し」方式が便利

写真なしのメニューから「実物」を想像するのが難しいのは、日本人にとっても、台湾人にとっても、同じことである。

二品を頼んだら、五分ほどでテーブルに届いた。

「乾麺」

「乾麺」

「団子入りスープ」

「団子入りスープ」

よくよく考えてみると、訪台回数のカウントをやめてしまったくらい通っているのに、「乾麺」は初トライだった。

よくよく器をのぞきこむと、麺は、まっしろけ

アジ吉
どこに「ソース」があるのかなぁ

「指差し」オーダーさせてもらったテーブルの人をもう一度見ると、たしかに、麺は茶色に染まっている

アジ吉
同じものを頼んだはずなのに……おかしいなぁ

どうしても疑問が解決せず、そして、いちいち食べ方まで質問するのもはばかられて、そのまま食べてみると、案の定、とっても水臭い

アジ吉
そうだ。スープをかけて食べよう! 我ながら、天才的ひらめき
スープをかけようとしたら……

スープをかけようとしたら……

あぁぁぁぁぁああ、そのスープ、ちょっと待ったぁぁぁ!
店員

慌てて駆けつけてきた店員さんが、アジ吉に食べ方を指南してくれた。

店員さんによる「レッスン」開始

店員さんによる「レッスン」開始

店員さんがあわててこっちへやって来て、「かきまぜろ」という。

呆然とするアジ吉からお箸を奪いとって、店員さんが麺をかき混ぜると、みるみる麺は茶色に染まっていく

なんと、麺の下、見えないトコロに「ソース」が眠っていたのだ。

アジ吉
きっと、台湾リピーターの間では、こんな失敗する人はどこにもいないだろう

顔から火が出るほど恥ずかしかった。

別に悪いことをしたわけではないが「旅の恥は掻き捨て」と開き直る

きれいに染まった「乾麺」

きれいに染まった「乾麺」

「冷やしそうめん」の食感に近いが、こちらの麺は、温かい。

味噌ベースで、ちょっぴり酸味のする味付けに、菜類がまぶされている。

びっくりするくらい長い麺には、しっかりとした弾力があるけれど、わりと細いので、最後までペースが落ちることなく、スルスル完食できてしまう。「弾力」と「細さ」の組み合わせで、程よい満腹感が得られるバランスが実現されているのだ。っおして、この細さの麺だからこそ、ソースが隙間なく、しっかりと混ざり合う。シンプルな麺料理と思ったが、色々な工夫が仕込まれていることを理解した。

見た目はボリュームたっぷりだが、酢のアッサリ味がするので、食欲がなくてもペロッと食べられてしまう一杯

なるほど、と唸る味

団子内の肉汁が、たまらない

団子内の肉汁が、たまらない

スープのほうと言えば、あっさりネギ大変な香ばしさ

団子の中には、魚の肉が詰められているが、団子内に閉じ込められた魚の肉汁こそ、最大のチャームポイントと感じさせる一品であった。

店名 永豊福州麺(ヨンフォン・フージョウミェン)
住所 台北市公園路20巷6號1樓

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(おしまい)

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Ajikichi

「美味しくなければ旅じゃない」が口癖。旨いものを求め、約三十か国を食べ歩く中で、台湾・ベトナムが誇る「感動的食文化」との運命的出会いを果たす。毎年、十回ほど「外食」と称して渡航。 仕事はエンジニアをしており、デザイン思考が気になる今日この頃。

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