こんにちは。
IT系資格では【最難関ランク】と評されることもある、ITストラテジスト。
せっかく取得してみたものの、次に向かうべきマイルストーンを見失ってしまった ——— いわば「終点」にあたる最難関資格の取得者ならではの悩みと言えます。
独占業務という特権を持つ「士業」でさえ、食べていくのが難しい世の中。
難関資格としての知名度はあっても、独占業務がなく、保有するだけでは収入に直結しないITストラテジストは、なおさらのこと。
ITストラテジスト取得を「次の一歩」へつなげるには?
職場から一時金や報奨金をもらった後、さらに投資回収、収入増加に仕向けるためには、どういう道があるのでしょうか。
ITストラテジストって、合格までのプロセスは詳しく語られることが多いのに、肝心な「合格体験記後」の展望について、インターネット上で議論がされることは、ほとんどありません。
本記事は、ITストラテジスト保有者でもある筆者が、「少しでも『合格体験記後』の議論を活性化させたい」と考えたことから投じる一石です。
目次
ITストラテジスト合格後のキャリア開拓をガチで考えてみた
まず、ITストラテジスト取得によって、一定水準に達していることが証明されたスキルセットは、以下の二点でしょう。
- 午後Iを突破できる、情報処理能力。長文の中からコアとなる譲歩や課題を抽出し、論理的な思考プロセスに基づいて正答を導けたことから、客観的に能力が証明されていると言えます
- 午後IIを突破できる、文章構成能力(作成スピードも)。二時間という制限時間内に、ランダムで出題されるお題目に対して、質・量ともに一定基準をクリアするアウトプットを出せたことから、客観的に能力が証明されていると言えます
なお、IT系の国家資格でありながら、専門的な技術系の知識や素養がさほど求められないことは、合格者本人が一番心得ているところだと思います。
ITストラテジスト取得後のキャリア開拓においては、上述した二点のスキルを、グイグイ広めていく視点が大切です。
ITコンサルタントに転職する
まずは、ITストラテジストという資格を活かす「王道」ともいえる選択肢。
資格で学んだ知識を役立てるため、コンサル会社へ転職するというもの。
コンサルへの転職という選択肢
ご存知の通り、ITエンジニアは技術的専門職であるため、給与水準は、もともと世間一般よりも高めになっていることが多く、コンサルへの転職が、必ずしも収入アップになるとは限りません。
それでも、資格取得を通じて鍛錬した情報処理能力や文章構成能力に加え、人との会話や、ものを教えることが好きな方であれば、「やりがい度の向上」によって、満足の得られるキャリア開拓になる可能性が高いです。
ITストラテジスト協会へ入って、専門性を高める
いきなりコンサルへ転職するのは、ちょっとハードルが高すぎると感じる方であれば、日本ITストラテジスト協会へ入るのも一案です。
勉強会に参加し、同じ志を持ったメンバーと人脈を築くことで、新しい情報や視点が得られるでしょう。
同じ志を持ったメンバーと切磋琢磨
ITストラテジストの前身である、上級システムアドミニストレータやシステムアナリストの合格者も会員に含まれていると考えられることからも、日本のIT業界におけるトップ人材層が集う集団として、所属するだけでもステータスになりそうです。
たとえコンサルに転職することがなくとも、 ITエンジニアとしての実務で活用できるようなヒントが転がっているかも知れませんよ。
ブログを運営する。ただし、未開拓トピックを狙って
情報処理能力と文章構成能力を活用する事例として分かりやすいのは、ブログ運営。
ITストラテジスト合格者であれば、「書く」ことに抵抗はないと思われるので、単にブログを書くのではなく、以下のようなポイントに工夫しながら取り組みます。
- 持ち前の情報処理能力を使って、インターネット上でまだまだコンテンツが不足しているようなトピックジャンル(いわゆるブルーオーシャン)を探し出し、そこへ注力して記事を作成。悩みや疑問を解決できるような、読者が喜ぶトピックを発掘しましょう
- 発掘した「お宝トピックジャンル」に関連する品物やサービスを紹介するなど、マネタイズ(収益化)の工夫を仕込んでおくと、それで生活することは無理でも、ちょっとした小遣いをゲットすることはできます
持ち前の情報処理能力や文章構成能力を、世のため、人のために使うというのがミソです。
世の中、情報を集めたり分析したりするのを苦手とする人って、案外多いもの。
ITストラテジスト合格者にとっては、朝飯前の情報分析であっても、それが世の中の誰かを手助けすることって、十分にあり得るのです。
他の資格試験へのチャレンジ
ITストラテジスト合格者には、もともと試験勉強が苦にならず、要領の良い方が多いと思います。
その強みを生かして、他の資格試験へチャレンジすることも一案です。
分かりやすい例で言えば、情報処理技術者試験(高度区分)の、未チャレンジ区分を受験することが挙げられます ——— 特に、論文系区分であれば、ITストラテジスト合格で培ったノウハウをそのまま活用して、資格を勝ち取ることが期待できます。
企業によっては、資格取得によって一時金や手当が支給されるケースもあるため、現金収入につなげられる期待もできます。
ITストラテジストと相性が良さそうな資格としては、中小企業診断士や、技術士(情報工学)が考えられます。
社会人MBAの門を叩き、経営学をガチで極める
いわゆる「社会人MBA」と呼ばれる、社会人として働きながら通う大学院にチャレンジするのも、 ITストラテジストと相性の良いキャリア開拓と言えます。
所定の単位を修め、(学校によって審査プロセスは異なりますが)修士論文が公聴会の審査で合格すれば、経営学修士という学位が得られます。
経営学修士を取得することが、ただちに収入アップや、転職成功につながるとは限りませんが、大学院で得られる人脈や知識は、金銭には換算できない「奥深さ」を、人生にプラスしてくれるでしょう。
社会人になってから大学院へチャレンジするという発想
学生時代、大学院へ進みたかったけど、何らかの事情でチャレンジできなかった人にとっては、リベンジを果たす絶好のチャンスでもあります。
大学院によっては、国から「専門実践教育訓練給付金」という補助金が支給されるケースもあり、経済的な負担を軽減することも可能です。
まとめ:「終点の資格」は、新たな出発点に過ぎなかった
ITストラテジスト合格後のキャリアを、(同合格者として)当事者である筆者がガチで考えてみました。
インターネット上の巨大掲示板の「資格偏差値ランキング」では頂点にされることも多いITストラテジストですが、こうしていろいろな選択肢に目を向けると、ITストラテジスト合格は、新たな出発点に過ぎないという認識を新たにすることにができました。
ITストラテジスト取得済みの方はもちろん、これからチャレンジしようとする方にとっても、気づきやヒントを一つでも提供することができれば幸いです。
ITストラテジストについての情報は、合格テクニックばかりが強調されがちなので、今後もこういった形で、ITストラテジスト取得後の資格活用方法は議論していきたいと思っています。