ハノイ

ハノイから日帰り観光可能な、絶好の写真スポット。一日で二つの老街「Cu Da」と「Uoc Le」をめぐり、歴史と人情に触れる旅

投稿日:2019年1月20日 更新日:

ときおり停車しては、道行く人々に方角をたずねる運転手。

頼りげなく思いながらタクシーで走り抜けたのは、ハノイ郊外に広がる田園地帯 ── 運転手(ベトナム人)さえ、よく知らない土地。

ハノイ中心地(ホアンキエム湖かいわい)から北へ、車を一時間ほど走らせたところにある、二箇所の集落をハシゴする日帰り旅行へ出かけた。

街の名前はそれぞれ「Cu Da」「Uoc Le」といい、いずれも、ベトナム人の友達に「素朴な風景と出会えるから、写真旅行にふさわしい」と教えてもらったスポットだ ── 別に筆者がベトナム「ツウ」というわけではない。

Google Mapsで調べてみたところ、二つの集落は、半日でハシゴ可能な距離にあることが分かった。

以下行程をタクシーチャーターでネゴったところ、待ち時間のチップもコミコミで、800,000ドン(約3,740円)にて引き受けてくれる運転手を見つけられた。

位置関係マップ

位置関係マップ

交渉したルート
ハノイ中心地のホテル
↓ (21km)
Cu Da
↓ (14km)
Uoc Le
↓ (29km)
ハノイ中心地のホテル

たった四千円ほどで、タクシーを貸し切って、ハノイ郊外を縦横無尽に探検できる、日帰り写真旅行の魅力とは?

本記事を通じて、存分にお伝えしよう。

Cu Da集落

一つ目の集落、Cu Da

友人のアドバイスだけを頼りにして、何がある街かもよく知らないまま、やってきたが、とにかく観光開始。

ビックリマンチョコシールのように神様だらけのChùa Thắng Nghiêm(タンギムパゴダ)

Cu Daの入口付近にあり、かつ、抜群の存在感を出しているのが、こちら、タンギムパコダ

敷地内で工事が進行中であった為、建設中なのか改築中なのか、いまいち区別がつかなかった。

まだ比較的新しい感じで、オレンジのペンキで塗られた門。

「Chùa Thắng Nghiêm」

「Chùa Thắng Nghiêm」

タクシーを門の外で待たせて、境内へ。

東南アジアテイストたっぷりな、建物、オブジェ。

境内の様子

境内の様子

よく見るとゼンゼン違うのだが、一瞬、インドネシアの「ボロブドゥール」を連想しそうになった。

塔づくし

塔づくし

そしてこのパゴダ、敷地内のいたるところに、「神様画」が大量に描かれている。

こうして並べてみると、「ビックリマンチョコ」のシールみたいである。

「神絵」1

「神絵」1

「神絵」2

「神絵」2

「神絵」3

「神絵」3

「神絵」4

「神絵」4

「神絵」5

「神絵」5

「神絵」6

「神絵」6

「神絵」7

「神絵」7

「神絵」8

「神絵」8

「神絵」9

「神絵」9

「神絵」10

「神絵」10

「神絵」11

「神絵」11

「神絵」12

「神絵」12

「神絵」13

「神絵」13

「神絵」14

「神絵」14

写真に収めたのは、全体の一部に過ぎないが、個性的なものは漏らすことなく、披露できたと思う。

驚くほど多数の神様・仏様が祀られているが、その中でも一番メインなのが、こちら、大仏像。

大仏像

大仏像

左右には、大仏さまの「おとも」が付いている。

向かって左側

向かって左側

向かって右側

向かって右側

境内の離れた場所には、他の仏像が祀られている。

白い仏像?

白い仏像?

「何もない」と想像していたにもかかわらず、いきなり立派なパゴダに出迎えられての、旅スタート ── 一気に期待が膨らんでしまう。

アジ吉
ひょっとしたら、このパゴダが今日一日の「クライマックス」なのかも……

かえってガッカリする羽目にならないか、少し心配に。

パゴダを出てから、そのまま歩いて三分くらいの距離にある、Cu Daの老街へ。

Cu Daの老街を散策

繰り返しになるが、この老街にいったい何があり、どこを見るべきかの知識が皆無という状態での訪問。

期待半分、不安半分でのスタートだったが、集落はほとんど一本道に沿って形成されたシンプルさもあって、一時間ほど散策するのにはちょうど良いスポットであった。

雰囲気ある街並みに、旅スイッチが入る

集落の端には立派な「玄関」がある。

そこをくぐることで冒険心がかき立てられ、旅スイッチがONになるのを感じた。

集落の「玄関」に当たる門

集落の「玄関」に当たる門

歩き始めて数分で、Cu Da集落を訪問するという選択が正解だったことを悟った ── ハノイ中心地では見られない、「手つかずのローカル街」といった雰囲気が残されており、それがまたいい。

中国語には「老街」という、まさにドンピシャな表現があるのだが、それに対応する日本語がない。

まさにここは、「老街」である。

古い街並み

古い街並み

たった150cmくらいしかない、低い門が、集落のあちこちに見られる。

石造りの門

石造りの門

灯籠や石柱など、道ばたのオブジェには、ディテールにいたって細工が施されており、時間を忘れそう。

灯籠に置かれた赤い飲料?

灯籠に置かれた赤い飲料?

細工の施された石柱

細工の施された石柱

ベトナムが漢字を使っていた「漢字時代」の名残も、随所に残されている。

随所に「漢字時代」の名残がみられる

随所に「漢字時代」の名残がみられる

現在の集落には、漢字を読むことのできる住民はほとんど残っていないだろう。

静かな集落

静かな集落

(ホーチミンほどでないにしろ)やかましいハノイから日帰りでやって来れる近距離とは思えないほど、静かで、落ち着いた雰囲気が楽しめる。

とにかく自転車がしっくりくる街並み

ベトナムが経済的に成長し始め、誰もがバイクを保有できる時代になったのは、歴史の時間軸でとらえると、つい最近のことだろう。

それまでは、(バイクの変わりに)自転車が街のいたるところでフル活躍する、エンジン音なき、もう少し「静かな時代」だったのかも知れない。

薪を積むおばあさん

薪を積むおばあさん

往時の「ハノイ」の姿に思いを馳せられる雰囲気が、この街にはまだ残っている。

もっとも、かなり小さな集落なので、バイクが生活必需品ではないということが一番大きな要因かも知れないが、この風景がずっと残って欲しいと願った。

軒先の自転車

軒先の自転車

地元の人々は「インスタ映え」というコトバすら知らないと思うが、それを狙ったかのような景色が、あちこちに点在している。

観光客は、ハノイから日帰り可能な距離で、こんな魅惑的なスポットがあることを知らないまま、ベトナム旅行を終え,帰国してしまう。

もったいない話である。

街の暮らしを支える市場

Cu Daの街には、もちろん、コンビニなんて営業していない。

ちらほら個人商店は見られるものの、人々の生活必需品がひととおり揃う「ショッピングモール」的な商業スポットは、ここCu Da市場だけであろう。

Cu Da市場

Cu Da市場

「Cho Cu Da」と書かれた入口をくぐりぬける。

屋内市場かと思いきや、目の前には「青空市場」が広がっていた。

「青空市場」

「青空市場」

市場前の広場にも、行商人が集う

市場前の広場にも、行商人が集う

まるで、ハノイ郊外にある少数民族の村、サパやバックハーの風景そっくり。

肉ショップ

肉ショップ

買い物客たちは、品物を買うだけではなく、会話を楽しむために、ここの市場へ足を運んでいるかも知れない。

あちこちから談笑する声が聞こえて来る雰囲気の市場を後にしつつ、そんなことを考えた。

街の名産品「ヴァーミセリ」町工場を尋ねて……

Cu Daの街は、名産品である「ヴァーミセリ」と切り離して語ることはできないだろう。

「ヴァーミセリ」とは、よくベトナム料理で使われている白色の細麺のことであり、それを製造する町工場が、あちこちに点在している。

ヴァーミセリ工場

ヴァーミセリ工場

おそらく、この街で一番多い職業は「ヴァーミセリ屋」かも知れない。

白い蒸気をあげながら、次から次へと「ヴァーミセリ」を量産していく町工場の姿は、何十年、ひょっとしたら何百年という期間に渡って、この地で見られてきた景色なのだろう。

製造の様子

製造の様子

工場からヴァーミセリを運び出す単車

工場からヴァーミセリを運び出す単車

町工場から搬出された「ヴァーミセリ」は、畳くらいの大きさがある板に乗せられ、それを単車に結びつけた台車で運んでいく。

バイク同士ですれ違うのがやっとという、幅の狭い道路を、「ヴァーミセリ」の台車を引く単車が走り続ける景色は、Cu Da訪問でも印象に残るシーンだった。

Uoc Le集落

Cu Daの味ある街並みを堪能した後、ハシゴしたのはUoc Le集落。

タクシーで三十分だから、両方の集落をめぐるプラン作成がオススメだ。

Uoc Leの老街を散策

Cu Daがそうであったように、Uoc Leにも、一本道の「メインストリート」があり、その両脇に民家や商店が建ち並ぶという、分かりやすい構造。

メインストリートの両端には「玄関」の役割を果たす門が設置されている。

こちらは、小川に橋をはさんだ先にある「表玄関」。

集落の「表玄関」

集落の「表玄関」

「表玄関」をくぐると、メインストリートが伸びているので、それに沿って観光を楽しもう。

古い街並み

古い街並み

どの部分の景色を切り取っても、「絵」になると言ったらイイスギだが、のんびり静かな場所でウォーキングを楽しみたい場合には、相応しいスポットだ。

一切加工していないが、「絵」になる風景写真

一切加工していないが、「絵」になる風景写真

また、民家の門は、どれ一つとして同じものはなく、個性に富んでいるところも、目を楽しませてくれる。

「門」1

「門」1

「門」2

「門」2

「門」3

「門」3

「門」4

「門」4

「門」5

「門」5

「門」6

「門」6

門の上部には、西暦の年号が数値4ケタで書かれているが、意外なことに、2000年代が多くて、けっこう新しい。

ひょっとしたら、わざと古いように見せかけるよう、大工さんがデザインしているのだろうか?

自転車で木を運ぶおばさん

自転車で木を運ぶおばさん

反対側の終端に当たるのがこちら、「裏玄関」的なゲート。

集落の「裏玄関」

集落の「裏玄関」

「裏玄関」から出た先には街道が伸びており、その両端をヤシの木(?)が建ち並んでおり、まるで集落の「門番」をしているようでもある。

南国チック

南国チック

まとめ:ベトナムリピーターなら是非とも体験したい、オリジナリティ抜群の日帰り旅行

ノープラン、ノーガイドで開始した日帰り旅行であったが、ボリューム(観光時間、移動距離)としてちょうど良いコンパクトさでありながら、旅のクオリティとしては、思い出に残る、オリジナリティあふれるものであった。

物価の安いベトナムでは、どこの旅行代理店へ行こうと、10ドルも出せば日帰り旅行に参加できてしまう。

そんな中、個人でタクシーチャーターをしたら5,000円くらいになるため、割高感は否めないが、旅行代理店のツアーでは味わえない、自由さ、静かさを楽しむことができ、かつ、旅先も自分の興味に応じて、自由自在にカスタマイズできる魅力は、金銭に替えがたいもの。

まだ広く知られていない、ディープなベトナムの楽しみ方を求めている方には、モッテコイの日帰りモデルコースなので、是非ともトライしていただきたい。

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(おしまい)

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Ajikichi

「美味しくなければ旅じゃない」が口癖。旨いものを求め、約三十か国を食べ歩く中で、台湾・ベトナムが誇る「感動的食文化」との運命的出会いを果たす。毎年、十回ほど「外食」と称して渡航。 仕事はエンジニアをしており、デザイン思考が気になる今日この頃。

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