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彰化駅|有人改札のある、レトロな雰囲気の駅舎で「昭和」にタイムスリップする
ふらっとやって来た、という言い方が一番ピッタリかも知れない。
台鉄「影化駅」にて下車したものの、昨日、日本を出国したタイミングでは、まだ影化へやって来るつもりはなかった。
そもそも、影化の読み方が「チャンホア」ということさえ、知らなかった。
スマホ検索、自分の思いつき、その日の気分、いろんな要素が重なり合って、ここ彰化へ「ふらっと」やって来たのだった。
改札口から外へ(すなわち「街」のある方向へ)出なくても、駅舎やプラットホームから、その街の規模というものは、おおよそ見当がつくもの。
上りと下りの電車が、一本のレールを共有する「単線」方式。プラットホームは、せいぜい、百メートルくらい。ここ彰化へ来るまで、そんな「片田舎の、さびれた駅」をイメージしていた。
実際の「彰化駅」は、複数の線路が走り、乗り降りする客も、それなりに多い「メジャー駅」だった。
しかしながら、単に「大きくて立派」という説明文だけでは、彰化駅のことを正確には記述できない。
なんと、平成も終わろうとしている時代に、有人改札口がいまだに残っているのだが、これだけ大きな駅が、なぜ現代化の波に飲まれていないのか、不思議でしかたない。
レトロなのは改札口だけではなく、駅舎外観も、味のあるデザイン。
駅の構内には、提灯がぶら下がっており、ここが台湾であるという実感を一気に強めてくれる。
彰化駅を背にして、街歩きを開始する。
歩きがいタップリの街であることが分かって、かなりテンションも上がる。
たった十分歩いただけでも、シャッターを切りたくなる、興味深いシーンがいくつも目に飛び込んでくる。
今回は弾丸旅行のため、ゆっくりしていられないが、彰化のことが「第一印象」で好きになった。
彰化扇形庫|百年たっても、今なお現役の扇形車庫で、蒸気機関車を愛でる
アジ吉に、そう決意させた観光スポットこそ、これから訪れる「彰化扇形庫」である。
ちなみに、アジ吉は、車両番号をいくつもスラスラ暗記している鉄道ファンではない。
普段なら、近づいたら怒られる(注意される)鉄道車両に、近づきたい放題という非日常体験ができると知って、訪問を決めた。
排ガスが充満する車道沿いを歩きつづけ、地下道をくぐって、到着。
彰化駅からは、カメラで遊びつつ徒歩、十五分くらいだったろうか。
名前と住所を訪問者リストに記入すれば、入場料無料で見学させてもらえる。
さっそく見学開始。
構内の見所は一カ所に集中しているため、じっくり落ち着いて鑑賞できる。
「扇形」と命名された理由は、ここに来ると、一瞬で納得できる。
車庫が扇形に建てられており、「転車台(ターンテーブル)」と呼ばれる、線路の切替装置によって、発車する車両を自由自在に変更できる構造となっている。
もともと鉄道ファンでもないので、小一時間の滞在で大満足。
鉄道ファンでない自分にも楽しめるかどうか、確信を持てないままの訪問であったが、蒸気機関車を至近距離で見学できるという、非日常的な体験は、一般人にも十分エンジョイできる展示内容だった。
余談になるが、この「彰化扇形庫」、大正時代に使われ始められたものだ。
それから百年近くたった今日でも、なんと、現役で使われているというから驚きに値する。
名称 | 彰化扇形庫 |
住所 | 彰化市彰美路1段1号 |
営業時間 | 平日:13:00-16:00 休日:10:00-16:00 (注意:月曜日は定休日) |
魚市爌肉飯|本場の「爌肉飯」にトライし、ド迫力の豚肉に圧倒されてみる
さいわい野良Wi-Fiを見つけることができたので、グルメ情報をスマホ検索し、後でオフライン閲覧できるようにPDF保存。
気になった店の一つ目が、この「魚市爌肉飯」だ。
看板メニューの爌肉飯(コンロウファン)は、豚の角煮を白ご飯に乗せたもの。
台北でも食べたことがあるけれど、本場は、ここ彰化だという(知らなかった)。
なぜか、肉は「C」の文字型に曲げられて、串が刺されてある。
こうやってコンパクトに折り畳まないと、肉塊があまりにも大きすぎて、白ご飯の上から、落っこちてしまうためだろうか。
大胆なビジュアルに興奮しつつも、串を外して、肉を味わう。
巨大なコラーゲン塊をもしゃもしゃと、むさぼり食うカンジ。
小さい頃、「脂身を食べてはいけない」と親に注意されたが、あれの特大サイズを、誰にも怒られることなく、堂々食べるような「チョイワル感」も味わえる。
白ご飯を口にすると、甘辛い味がして、アレッと思う。
真上から見ると、何もかけられていない、普通の「白ご飯」だったが、タレやら、肉汁やらが滴り落ちて、染み込んでいたのだった。
大根入りの、あっさり風味スープが、肉肉したランチに、ヘルシーさを添えてくれる。
爌肉飯とセットで、このスープを味わうという食べ方は、スッキリ食後感が得られるので、おすすめだ。
店名 | 魚市場爌肉飯 |
住所 | 彰化縣彰化市中正路二段320号 |
小西木瓜牛乳|四十年の老舗で、「幻メニュー」のパパイヤジュースと出会う
迫力たっぷりの爌肉飯を満喫したところだが、あと一軒、ハシゴしたい麺料理の店がある。
街を散策していると、ちょうど良いところに「小西木瓜牛乳」という看板が目に飛び込んできた。
店名からして、パパイヤミルク(木瓜牛乳)が看板メニューだろうか、四十年の老舗でもあるらしい。
ここは、パパイヤミルクを注文するとしよう。
おばさんが一人で切り盛りしているらしく、「果物」の状態から「飲料」が完成するまでの間、五分ほど。
パパイヤミルク、値段は五十元。
五十元ぴったり渡すと、どういうわけか、十元返ってきた。
メニューになかった「パパイヤジュース」が登場。
あっけにとられ、一瞬ポカーンとするアジ吉。
いったん店に引っ込んだおばちゃん、ヒョイと出てきたかと思うと、もう十元、返してきた。
そんな表情をしていたが、きっと、原価割れをおこすほどに値引きしてくれたのだろう。
商売っけを感じさせない、気さくな地元っ子との触れ合いが、旅の思い出に花を添えてくれる。
個人的には、もう少し濃厚かつクリーミィな「パパイヤミルク」が欲しかったが、グイグイ水分補給をしている感じが全身に伝わってくる、サラサラした「パパイヤジュース」のノド越しも、またいいものだ。
おばさん、ごちそうさまでした。
店名 | 小西木瓜牛乳 |
住所 | 彰化縣彰化市陳稜路242号 |
猫鼠麺|サイドメニューの豚足が絶対に見逃せない、ビールの置いてある麺料理店
次にやって来たのは、「猫鼠麺」。
ネコやら、ネズミやら、飲食店には、およそ似つかわしくないネーミングである。
さっきダウンロードしてPDF化しておいた「台北ナビ」の解説を読んで、ネーミングの由来に、納得。
「それなら大丈夫」と一安心して、入店。
大繁盛している店は、きちんとした行列ができていないことも多い。
日本人らしく「律儀に」順番を守ろうとしすぎると、手違いで順番が入れ変わってしまうこともある。
大きな列の流れに参加しつつ、(日本人の感覚からすると)多少、強引すぎるような気がしても、チャンスとタイミングを逃さず入店し、着席できる度胸・愛嬌が必要だ。
店内に入ると、店員さんのエプロンが「台湾ビール」。
ビール文化がなかなか浸透しない台湾で、まさか、ここの店は、ビールが置いてあるのか。
そう思って、店内の冷蔵庫を見に行く。
参考:台湾では、冷蔵庫から客が自分で取り出す
アジ吉が、冷蔵庫の取ってに手をかけようとしていると、背後から声をかけられた。
店員さん、アジ吉が日本人であることを見抜いて、「ビール目当て」に冷蔵庫へ近づいたことをお見通しだったのだ。
ビールを一缶、アジ吉のために取り出してくれた。
台湾の飲食店では、ビールは販売していないが、外で買ったビールの持ち込みが許されてるケースが多い。
だけど、こうやって店内で購入したビールであれば、「市民権」を得ており、堂々と飲めるので、美味しさ五割アップである。
ここは麺料理専門だが、インターネットで「豚足こそオイシイ」との噂を聞いていたので、早速、注文。
崩壊寸前にまで煮込まれた豚肉は、究極的な柔らかさ。
一口食べた瞬間、極上のやわらかいピアニッシモで奏でられる音楽を聴くような優しさで、全身が包み込まれる。
とにかく、ビールと良くマッチする味わいである。
これが毎晩食べられるなら、どれだけ幸せだろうかと、かなわない「夢」を想像してみる。
豚足の味わいで幸せ絶頂になっていると、「猫鼠三宝麺」が届く。
一口目をいただく前に、口の中が、唾液で満タンになりそうな、食欲そそるビジュアル。
麺も美味しいのだが、具材として盛りつけられていたミートボールが、驚くべき弾力。
プリプリというより、「パツンパツン」と表現したくなるような、しっかり引き締まっているが、ひと噛みすると、弾けるような柔らかさが楽しめるようになっている。
もうひとつ印象深かったのは、コンソメのような優しい味わいのするスープ。
ほんのりと薄い塩味をバックに、コーンの甘みがしてくるような味。どんな食材を使えば、この美味しさが導き出されるのだろうか。
店名 | 猫鼠麺 |
住所 | 彰化市陳稜路223号 |
彰化駅|この旅最大の目的「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼活動(大甲媽祖巡行)」の会場へ出陣
蒸気機関車に、本場で味わう「爌肉飯」、そして、「猫鼠麺」での大満足の食事で、彰化は思いがけぬ、収穫多き滞在時間となった。
さて、これから「清水」に向かう。
いよいよ、この旅最大の目的である「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼活動(大甲媽祖巡行)」イベントへ参加するときがやってきたのだ。
券売機で買うよりも、カウンターで買ったほうが、手間も時間もかかったので、切符が愛おしく感じられる。
いつもなら、ポケットに突っ込む切符だが、今日ばかりは、なくさないよう、大切にサイフの中にしまって、電車に乗り込む。
清水駅へ向かう車中、「大甲鎮瀾宮媽祖巡礼活動(大甲媽祖巡行)」というイベントを目前に、胸の高まりがとまらない。
世界的な権威のドキュメンタリー番組Discovery Channelによって「世界三大宗教イベント」に認定されたというから、際ぎわなく高まる期待、ちゃんと応えてもらえるだろうか。