はじめに:プロ料理人、とっておきの「一軒」
その日の夕食を何にするか話題にしていると、ダラットへ来たすべての人が立ち寄るべき、とっておきの「一軒」があるから、そこへ行こうと提案する友人(ベトナム人)。
洋菓子シェフとしての、海外留学経験もある彼は、普段は温厚なキャラだが、料理のことになると真剣な表情になり、妥協を許さないところがある。


山間地帯に位置するダラットでは、ちょっとの外出でも、坂道まみれ。
食べ歩きをするにも、万一、「ハズレ」の一軒を引いてしまったとき、心理的ダメージのみならず、体力的ダメージも同時にやって来るから、それなりに「心の覚悟」が必要だ。
あまりにも自信に満ちあふれた友人の口調に、背中を押されるようにして、上り坂、下り坂をこえてやって来たのが、こちら。

「Nem Nuong Ba Hung」
看板に「Nem Nuong Ba Hung」とある、こちらのレストラン、昨夜も通り過ぎたのだが、やたらと満席だったのが記憶に残っている。
それと比べれば、今夜は不思議なほど客が少ない。

けっこう空いている店内だが……

ダラット滞在三日目の今日まで、友人がここで食べようとしなかったのは、客足の混雑した営業日を避けるという狙いがあったようだ。
「Nem Nuong Ba Hung」食事レポート
とにもかくにも、呑めない友人を尻目に、アジ吉は入店と同時に、ちゃっかりタイガービールを注文。

「タイガービール」
店の看板メニュー、と言うより、店の唯一メニューが、こちら「ネムヌン」。

「ネムヌン春巻き」
テーブルに届けらた食材を、客がセルフサービスでくるんでいただくスタイル。
ヘルシーなベトナム料理らしく、肉系と野菜系のバランスが取れている。
- ネムヌン(Nem Nuong / 豚肉をすりつぶして棒状にし、コンガリ焼いた物)
- 揚げパン
- レタス
- きゅうり
- 青じそ
これらをバンチャン(Banh Trang / お米でできた、半透明のペーパー)の生地に包み込んで、ピーナッツソースをつけていただく。

友人はそう言って、慣れた手つきで、バンチャンをはがし始めた。

バンチャン(ライスペーパー)
はがれる様子を見ていると、まるでサロンパスを思い出すようなバンチャンの生地へ、具材が乗せられて行く。

作り方 手順1
具材を乗せ終えると、巻き寿司のように、くるくるバンチャンの生地を折り畳んで仕上がりだ。

作り方 手順2
食べる寸前に、ピーナッツソースに浸す。

作り方 手順3

不器用な自分にできるか心配だったが、解説を聞いた後、アジ吉も自分でトライしてみた。

初回にしては上出来かな……
こんもりと野菜を使うが、ここのお店、野菜はお代わりし放題。野菜の一大産地、ダラットならではの太っ腹なサービスが嬉しい。

至福のひととき
口にしたネムヌンは、ベトナム料理の真骨頂という感じ。
野菜のヘルシーさ、肉のジューシーさが同時に口へ飛び込んでくるし、何より、極薄生地バンチャンの、しっとり&軽快な食感がたまらない。これをビールで流し込むと、最高。
「包み系」のベトナム料理は多くあり、春巻きもその一つだが、中身の具材は土地によって異なる。ネムヌンを使うスタイルは、ここダラットやニャチャンが本場。ホーチミンへ行くとエビなどになってしまう。

プロ調理人だけあって、料理のことになると熱くなる友人だが、今日の「一軒」を選んだ彼の目に狂いはなかった。
まとめ:住所、営業時間など
お腹いっぱい食べて、野菜を何回かお代わりしたのに、会計はひとり45,000 VND(約210円)。
物価の安いダラットならではの驚異的コスパであるが、地元では有名なこのレストラン、美味しいものを、お腹いっぱい、安くお届けしたいという経営哲学が感じられる。
店名 | Nem Nuong Ba Hung (Nem Nướng Bà Hùng - Trần Phú) |
住所 | 5 Trần Phú, Tp. Đà Lạt, Lâm Đồng |
営業時間 | 09:00〜22:00 |