こんにちは。
日々、オフショア開発と向き合う筆者です。
具体的には、海外子会社の情シス部門を活用しながら、グローバルに展開されるシステム開発を推進するという業務を十年以上、担当しています。
一時期は、数年間現地に駐在し、帰国後の現在では、電話と遠隔ホワイトボードを使いながら、現地との連携を重ねています。
日々、ありえない事件の連続で、オフショア開発ネタだけでも文庫本数冊くらいの小説を書けるかと思うほど、笑いあり、涙ありの日々を送っています。
本記事では、オフショア開発としてありがちな、日本側と海外側、それぞれに潜む弱点の典型例と言えるケースをご紹介しながら、日本人として、この状況を改善するために必要な心構えを綴っています。
悪いのは海外子会社だけではない。本社は「お前がいうな!」と思われていないか?
お金を払って仕事を発注する立場にある日本側(本社)からすると、考え方も、スピードも違っている海外を相手にするのは、なにかと不満が膨れやすいのは事実。
お金を払ったら、それに見合う対価を受け取れるというのは、資本社会では当たり前のはずですが、オフショア開発という異次元世界では、その常識も通用しません。
具体的には、納品された設計書やソースファイルを開けてみれば、日本人のきめ細やかな視点でみれば、「穴だらけ」ということも少なくありません。
ここで怒ってはいけないのですが、海外子会社にも、彼ら彼女らの言い分があるのです。
- 本社の仕様説明が曖昧だったので、どうとでも解釈できた
- 本社から指示がなかったので、自分たちが一番いいと思う方法で取り組んでみた
いずれも事実であり、本社の情報発信スキルが不足しているゆえに起きた問題です。
とは言え、一から十まで説明するような時間があれば、業務発注しなくとも、自分たちの手で、その仕事を終えてしまうことができます。
仕方なしに、現実的アプローチとして、事細かくレビューを実施し、途中で軌道修正を何度もかけ直すという業務フローを策定している次第です。
レビューを通じて成長しなければならないのは、本社と海外子会社の両者であり、本社は説明スキル、海外子会社は(本社のニーズの背景について)感知するスキルを高めるよう、日々トレーニングです。
石ころを積み重ねて作った山を、また壊されるという気持ち
こうしてコツコツ、本社と海外子会社が両輪となり、地道に推進した取り組みも、ある日、突然、ゼロからやり直す羽目になることがあります。
それは、海外子会社における離職問題です。
せっかく手塩にかけて育てたスタッフが離職すると、それまでに費やした時間やノウハウが、大きく損なわれてしまいます ── 離職したのが、エース級のスタッフなら、なおさらです。
若い頃は、離職者が出るたびに、日本人である自分のモチベーションは大きく下がっていましたが、現在では心の切り替えも早くなり、いつ誰に離職されてもダメージを最小限にとどめられる業務フローの開発に注力するようになりました。
少しずつではありますが、オフショア開発のプロセスもレベルアップし、人材育成スピードも上がっていることから、手応えは感じています。