目次
はじめに:タイ文化の豊かさを象徴するローカル市場
シーロムのソイ20は、タイ文化の多様さを象徴するエリアだ。
仏教国タイでありながら、目と鼻の先に、ヒンドゥー教の寺院、イスラム教のモスクが立地している。マレー・中華・インドが入り交じった「チャンポン」文化を誇るシンガポールに勝るとも劣らない、強烈な【文化の多様さ】が感じられるのは、広いタイと言えど、ここくらいではないか。

バンコク最大級のヒンドゥー寺院
なお、タイにおけるヒンドゥー教祭りや、宗教観については、別の記事として取り上げたこともあるので、興味がある方は是非のぞいて欲しい。
-
-
バンコクの穴場イベント|バンコク最大級のヒンドゥー寺院「スリ・マハ・マリアマン寺院」の仰天イベントで、帰宅難民になった話
目次1 カオサンで飲んだ後、シーロムのホテルへ戻るつもりが……2 仏教国が、ヒンドゥー教国に変わってしまっていた……3 人生初の「帰宅難民」経験は、まさかの異国、タイで経験 カオサンで飲んだ後、シーロムのホテルへ戻るつもりが…… ときはさか ...
-
-
【タイと台湾】タイに行ってきたけど、台湾のほうが圧倒的にユルかった三つの比較
目次1 はじめに:タイ vs. 台湾。どっちも「たい」で始まる仏教国だけど……1.1 タイという国のこと1.2 旅のスタートは、バンコク最強のパワースポットから2 【エラワンの祠】バンコク最強のパワースポットを「台湾視点」で参拝2.1 「お ...
実は、このシーロム・ソイ20には、タイのローカル料理屋が軒を連ねる市場がある。

物価は安いタイだが、「食べ歩き」となると、一軒一軒のレストランが距離的に離れており、「ハシゴ食べ」が容易ではない。
最近では、フードコードの充実したお洒落なモールも誕生し、「食べ歩き」が可能になっているが、どうしても人工的なカンジがする「フードコート」の雰囲気や、屋台価格の倍近くするプライス設定を考えると、興ざめしてしまう。
そんなタイだからこそ、シーロム・ソイ20のような「天然」の食べ歩きスポットは非常に貴重であるし、より多くのバンコク旅行者に、ちょっと時間をつくって訪れてみて欲しいと思い、現地レポートをお届けすることにした。
シーロム・ソイ20(Silom Soi 20)市場訪問レポート
観光でも商業でも、バンコクで特に重要な道路の一つとされる「シーロム通り」。
今回の旅レポートはここからスタートする。

コンビニ前のニャンコ
【どこにでもある、東南アジアの繁華街】といった様相であるが、ここシーロム通りは、とにかく、ニャンコ、ワンコと頻繁に出会うのが印象的である。
暑い気候のためか、コンビニの自動ドア付近に「縄張り」を貼っている個体が多い。客の出入りがあるとき、ドアが開いて「冷房の風」を浴びれることを熟知しているのだ。

まったく人見知りしない
カメラのレンズを向けても、まったく人見知りせず、それどころか、レンズに顔がくっつくほどの近距離までやって来る。
「図々しさ」が際立った個体となると、コンビニの中に入って、売り場の隅っこで「昼寝」をするものもいる。タイ人は細かいことを気にしないので、放り出されずに一日中そこで眠っている子もいる。

常時しっぽを振りまくるワンコ
ワンコも人懐っこくて、誰彼構わず、しっぽをブンブン。もし、【番犬の適性試験】なるものがあれば、トップで不合格になる一匹であろう。
シーロム・ソイ20(Silom Soi 20)市場
シーロム通りから「ソイ20」の脇道に入ったところが、「シーロム・ソイ20(Silom Soi 20)市場」だ。

市場の様子
営業時間は店によってまちまちだが、おおよそ、朝は七時ごろから、夜は八時ごろまで営業している。
閉店時間がちょっと早すぎるのは残念だが、そもそも地元民向けのローカル市場なので、観光客の都合などお構いなしなのだ。

新鮮な食材を扱う露店
市場のほとんどは、食材を扱うお店だ。
フルーツ、野菜、魚介類、肉までカバーする品揃えで、この市場で入手できない品物を探す方が難しいかも知れない。

「吟味中」のお客さん
食材を扱うお店の横では、多数の路上レストランが営業する。
きっと、必要な食材は、市場内の「お隣サン」から調達し、【その場で調理】してしまうのだろう。

その場で調理
「顔なじみ」である分、多少は安く仕入れることができるだろうし、鮮度も確保できて一石二鳥。実に合理的。
具合てんこ盛り! モツ系煮込みヌードルスープ専門店
シーロム・ソイ20に店を構える数々のレストランの中でも、いつ来ても客足が絶えない「一軒」がある。
タイのローカル料理、モツ系煮込みヌードルスープ「クゥイヂャップ・ナムコン」の専門店、その名も「Kuaychubnamkon watkang(ก๋วยจั้บน้ำข้น วัดแขก)」だ。
タイ語って、読み方をカタカナで書くとずいぶん長くなるのだが、日本語読みの店名は「クゥイヂャップ・ナムコン・ワットカン」。クゥイヂャップ・ナムコンは(料理の名前)、ワットカンは(場所の名前)を意味している。そしてワットカンは、きっと、すぐ近くにあるヒンドゥー教の寺院か、イスラム教のモスクのことを指していると思われる。

正面から
あまりにも質素な店構えに、最初来たときは、入店するのも勇気が必要だったことを覚えている。
店内も、決して衛生的とはいえず、次から次へと客が入れ替わるので、前の客が食べ残した食器が積まれているテーブルへ、そのまま案内されることも少なくない。

店内から
店内ではビールを扱っていないが、注文することは可能。
店員さんが、近くのお店から買ってきてくれるのだ。「パシる」ような感覚がして申し訳なく思ったが、その分、コンビニで買うよりも若干、プライスに「上乗せ」してくるので、気を使う必要はない。

タイのビール「チャーン」
注文を待つ間、タイのビール「チャーン」を満喫。チャーンはタイ語で「象」の意味。
333ビール(ベトナム)やサンミゲル(フィリピン)を代表例とする、東南アジアのアッサリした「水っぽいビール」とは一線を画す味わい。しっかりとしたコクのある味わいで、タイ料理の「辛さ」に打ち勝つよう切れ味、パンチ力があると思う。
まずは、こちら、豚足煮込みご飯「カオカームー」。

「カオカームー(豚足煮込みご飯)」
崩壊寸前まで煮込んだ極上の豚足を、甘辛いスープで、高菜・ライスと共にいただく至福の逸品。店の衛生状態がちょっとよろしくないのが【玉に瑕】だが、知る人ぞ知る、バンコクでもトップレベルのカオカームーである。
なお、ゆで卵はオプション扱いなので、言わないと、ついてこない。「エッグ」と連呼すると入れてくれるので、オーダー時には注意しよう。
お次は、この店の看板メニュー「クゥイヂャップ・ナムコン」。

「モツ系具材てんこ盛りヌードルスープ」
モツ系の具材が、これでもかと言わんばかりに、てんこ盛り。
空調設備は「扇風機」オンリーの、ローカル店。
食べているうちに、みるみる汗だくになる一品だが、肉をがっつり食べることでスタミナがついて、バテ防止の効果が得られると思う。

「具だくさん感」がたまらない
最初は「きし麺」をさらに幅太くしたかんじの板状の麺が、スープで煮込むと、くるくる巻きになって、まるでマカロニのような形状に。
スープは意外とアッサリしており、つるつるの「巻き麺」と一緒にすすると、あっという間に完食してしまえる。
まとめ:スイカジュースでしめくくる大充実の食体験
ご紹介したい「シーロム・ソイ20」の店は他にもあるが、レベル的に卓越しているのは、上で取り上げた「クゥイヂャップ・ナムコン・ワットカン」。
時間のない方は、とりあえず、ここだけもトライしてみて欲しい。モツ好きで、そろそろB級グルメに飽きてきたというマニアックな旅人は、絶対ハマる味だと思う。

粉々になったタネが……
ちなみに、モツ系煮込みスープを飲み干して、すっかり火照った体内を冷やすため、スイカジュースを購入したが、タネごとミキサーで粉砕している。ストローで吸い上げると、けっこう、カリカリという「食感」を感じる。
台湾のスイカジュースは、タネがあることを感じなくなるほど細かく砕いてくれているか、あるいは、最初からタネを取ってくれているような印象だったが、同じスイカジュースといえど、トコロ変われば、調理法も変わるのかも知れない。