台北

松山慈祐宮|1753年建立「駅チカ&六階建て&エレベータなし」の由緒ある廟には、大勢の神様が祀られていた

投稿日:2018年5月29日 更新日:

MRT松山駅|「松山」つながりで、台湾にやって来ちゃった「道後温泉」

早起きをして、MRT松山駅へ向かう。

MRT松山駅へ

MRT松山駅へ

MRT松山駅から出ると、なにやら見慣れない人形が。

アジ吉
何かの、期間限定イベントだろうか?
MRT松山駅のエントランス付近にあった「人形」

MRT松山駅のエントランス付近にあった「人形」

まさかと思ったが、よく見ると、やっぱり夏目漱石『坊ちゃん』の展示。

アジ吉
なるほど! 「松山」つながりのイベントと来たか……

『坊ちゃん』が書かれた題材の地、愛媛県の「松山(マツヤマ)」

台湾にも「松山(ソンシャン)」があるという「縁」から企画されたイベントなのだろう。

「松山」つながりでのイベント

「松山」つながりでのイベント

「ミニ道後温泉」があり、おもわず気分ほっこり

日台間の姉妹的イベントは、草の根レベルからでもどんどん広めたいものである。

「道後温泉」

「道後温泉」

松山慈祐宮

MRT松山駅から下車すぐの「松山慈祐宮」は、なんと、二百六十年(1753年に建立!)もの歴史を誇る、格式高い廟。

「媽祖」の誕生日が近づき、ひときわ賑わいをみせる廟

数々の増築や火災を乗り越えて、六階建て(ただし、エレベータなしという、今日のハイカラな姿にいたるが、その迫力は、見る者を圧倒する。

道教、仏教をはじめ、ここは「神様デパート」と表現したくなるほど、いろんな神様が祀られている。

「松山慈祐宮」

「松山慈祐宮」

ここで一番有名な神様が、媽祖(マァーヅゥー)彼女の誕生日(旧暦の3月23日)が近づくと、台湾のいたるところでお祭りイベントが開催される

ちなみに「媽祖」は、宋の時代(960-1279年)に実存した女性が、28歳に死後も、その不思議な能力から人々に崇められつづけ漁業と航海の守り神になったと言い伝えられる。

媽祖生誕から1059周年を祝う看板

媽祖生誕から1059周年を祝う看板

廟の入口には「恭祝 松山慈祐宮 天上聖母 1059週年 聖誕千秋」と書かれた、真っ赤な看板。

天上聖母、つまり天の上にいる聖母とは、「媽祖」のことを指す。看板は、「媽祖」生誕1059年を祝福するために取り付けられたものだ。

石で造られたライオン像

石で造られたライオン像

廟を守る「番犬」のように立っている、石のライオンは1803年に造られたもので、口が開いているのはオス、閉じているのはメス

「美術館」としての価値も兼ね備えた、素晴らしき装飾品の数々

廟内へ入ると、その装飾品の美しさため息が漏れそうになる。

天井には、気が遠くなるほどの、繊細な飾り付け

天井には、気が遠くなるほどの、繊細な飾り付け

松山慈祐宮の魅力について語る上で欠かせられないのは、陶芸アートの素晴らしさだろう。

素人のアジ吉が見ても、うっとりするような、鮮やかな色づかい日常生活で使う陶器製食器の色は、どれだけ多くとも五種類くらいだが、ここの陶芸アートは、色の数に制限を感じさせないものである

松山慈祐宮は、陶芸アートの素晴らしさ抜きにして語れない

松山慈祐宮は、陶芸アートの素晴らしさ抜きにして語れない

うっとりしそうな、色とりどりの陶芸アートの人形たち

うっとりしそうな、色とりどりの陶芸アートの人形たち

「媽祖出巡」の陶芸アート

「媽祖出巡」の陶芸アート

こちらの陶芸アートには、作者名と思われる「葉星佑」という文字があった

こちらの陶芸アートには、作者名と思われる「葉星佑」という文字があった

「媽祖」をふくむ、大勢の神様が祀られている「神様デパート」

授業開始前の中高生みたいに、ペチャクチャしゃべりまくるのは、読経のために廟へやってきた、地元っ子の「おばちゃんズ」

それはもう、元気というひと言でかたづけられる次元を通り越して、TVコマーシャルで描かれる「大阪のおばちゃん」像を彷彿とさせるものである。

地元っ子である「おばちゃんズ」のオシャベリ。永遠に終わらない気もして来る

地元っ子である「おばちゃんズ」のオシャベリ。永遠に終わらない気もして来る

読経ついでに廟へやって来ることが、井戸端会議のための、絶妙な場所と時間を提供しているようにも思えてきた。

「おばちゃんズ」の井戸端会議を通り過ぎると、上階へ登る階段がある。

松山慈祐宮には、階段のみ(エレベータなし)

松山慈祐宮には、階段のみ(エレベータなし)

「単なる廟でしょう?」と侮ることなかれ。松山慈祐宮は六階建て

日本での日常生活ならば、六階まで階段で登ろうなんて、ゼッタイ思わない

アジ吉
でも、せっかく台湾までやって来ていて、「六階建て」という、珍しい廟があることだし……今回だけ、ちょっと頑張る

いま旅先にいるという「特別感」があったことと、上階へ行くに連れ、周りの景色が変わって行く楽しさも相まって、慢性的な運動不足状態にあるアジ吉でも、なんとか最上階まで登ることができた。

階段を上ると、景色が変わって行く

階段を上ると、景色が変わって行く

途中で、おっかない顔をした神様(?)も出現

途中で、おっかない顔をした神様(?)も出現

廟内は、とにかくきらびやか

金色の光を放っている、無数の「何か」がある。

金色の光が放たれている

金色の光が放たれている

よく見てみると、一つひとつに、人の名前が書かれた紙片が張りつけられている

これはお布施者の名前だが、ビックリするのは、壁を埋め尽くすほどの人数が、お布施をしているということ。台湾の人々は信仰深いと、つくづく思う。

お布施者の名前シールが張り付けられている

お布施者の名前シールが張り付けられている

そして、めくるめく神様たち。

二階、三階、四階、五階、六階と登っていくが、どの階にも、多数の神様が祀られている。いちおう、すべての神様の前に「名札」が置かれてはいるものの、全部を暗記している人なんて、果たして、いるのだろうか

松山慈祐宮に祀られる神様(の、ごく一部) その1

松山慈祐宮に祀られる神様(の、ごく一部) その1

松山慈祐宮に祀られる神様(の、ごく一部) その2

松山慈祐宮に祀られる神様(の、ごく一部) その2

松山慈祐宮に祀られる神様(の、ごく一部) その3

松山慈祐宮に祀られる神様(の、ごく一部) その3

「媽祖」がそうであるように、おそらく、この廟の神様すべてに「ストーリ」があるのだろう。

時間のかかる作業にはなるが、一つひとつ、調べてみても、大変面白いと思う。

名称 松山慈祐宮(ソンシャン・チーヨウゴン)
住所 台北市松山區八徳路四段761号

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(おしまい)

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Ajikichi

「美味しくなければ旅じゃない」が口癖。旨いものを求め、約三十か国を食べ歩く中で、台湾・ベトナムが誇る「感動的食文化」との運命的出会いを果たす。毎年、十回ほど「外食」と称して渡航。 仕事はエンジニアをしており、デザイン思考が気になる今日この頃。

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