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はじめに:ITエンジニアが挫折せずに英語力を身につけていくための、心の準備
こんにちは。
本記事へ検索エンジンでたどり着かれた方は、これからIT技術と英語力を両方極めていこうという立派な志の持ち主なんだと思います。
いきなり冷や水を浴びせるようなことを言いますが、そもそも英語って、典型的な積み重ね型の科目なんですよね。
一朝一夕で身に付くものではなく、長期戦になる覚悟が必要です。
「学習時間」と「英語の運用能力」の関係
「学習時間」と、「英語の運用能力」をグラフで表してみました。
個人差はありますし、「正しい方法で学習する」ということが前提ですが、おおむね以下のような特徴があります。
「費やした学習時間」と、「英語の運用能力」の関係
コトバにして書くと、以下のようになります。
- (点Oから点A)学習をはじめたばかりの時期は、成長を実感しやすい
- (点Aから点B)停滞期間が訪れる
- (点Bから点C)成長を実感できる。ただし、伸びは前回より小さい
- (点Cから点D)さらに長い、停滞期間が訪れる
- (点Dから点E)成長を実感できる。ただし、伸びは前回より、さらに小さい
つまり、頑張らないと実力は伸びないけど、頑張ったからといって、すぐに成長が実感できるわけではない。そして、レベルが上級になっていくほど、伸びづらくなっていくという、とってもイヤ〜な現実があるんですよ。
実務で使えるレベルの英語を身につけるには、一年や二年は軽々スッ飛んでいくというバランス感覚を持ちましょう。
長期戦を乗り越えるために必要なのは、確固たるモチベーションづくり
英語は積み重ね、とお話ししましたが、つまるところ、英語って、ウン年規模の長期戦なんです。
そして、長期戦においては、モチベーションを維持することが一番大変で、逆に、それさえシッカリできれば、英語学習は楽しいアクティビティとなるでしょう。
考えてみてください。英語を学べば、海外旅行が楽しめたり、YouTubeで理解できる動画が増えたり、とにかく良いことづくしなんです。英語ができるようになって、悪いことや損することなんて、一つもないんです。
英語力をゲットして世界を手にする
ところで、このブログの訪問者の皆さんが本当に知りたいのは、(英語ができるようになったら)情報システム開発の実務において、どういう「英語活用の場」があるかという点じゃないでしょうか。
ご存知の通り、インターネット上には、ITエンジニアが必要とする「情シス英語」の情報そのものが圧倒的に不足しているため、こういった「英語活用の場」についても、まとめられたページがほとんど見当たらないのが実情です。
ないものは作ろうということで、まとめてみたのが本記事です。
情報システム開発の実務において、英語が活躍するシーン10選
情報システム部門の「システム開発者」に想定できる英語活躍シーンとしては、以下のようなものがあります。
こういった業務を英語でバリバリこなしている「我が勇姿」を鮮明にイメージすることで、モチベーションを奮い立たせるのに、お役立てていただければと思います。
海外のオンライン研修セミナーを受講
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
まず、一番手軽なのは、こちらでしょう。いつでも、一人ででも始められますから。
Oracleなどのベンダーが提供するセミナーは、数十万円という高額なケースが多いです。
最近、フリーランス講師がオンラインセミナーを開くUdemyというサイトが人気です。
オンラインで学べる良質セミナーが増えている
大半のセミナー動画は英語ですが、英語ができれば、ベンダーが提供してくれないような「かゆいところに手が届く」セミナー講座と出会える可能性もグーンと高まります。
実務に精通した世界一流レベルの技術者による説明を、字幕なしで理解できると、自分もIT業界の最先端にいるような気分を味わえるでしょう(実際に最先端かどうかは別問題ですが……)。しかも、今なら一つの講座が千円ちょっとで受けられるという、破格のコスパです。
これなら、「経費節約」が耳に痛いご時世でも、会社費用負担で、いろんな講義が受講できそうですね。
コーディング
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
日本人開発者のコードを見ると、ロジック自体は美しいのに、変数名がローマ字(例:kaisyaCodeなど)だったり、ひどいものは漢字を使っていたりすることもあります。
プログラミングは、構文そのものが英語(for, while, ifとか、たくさんありますよね)。どうせなら、コードも英語を使ってスマートに書き上げられるようになっちゃいましょう。
コーディング
正しく意味の伝わる英語でコーディングすることができれば、将来、海外のシステム会社へ保守業務を委託するようなことがあっても、安心です。また、日本国内にある外資系企業や、海外の企業への転職も視野に入れたキャリア構築ができるようにもなります。
あと、隠れたメリットなのですが、英語で正しくネーミングされたコードは、論理的な構造になっており、実装モレが少ないことが多いんです。意外と指摘されることはないメリットなんですが、「情シス英語」の無視できない恩恵の一つです。
海外の開発者と意見交換
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
自社内で、新しいフレームワークを導入したとしましょう。
ある日、技術的なトラブルに見舞われたとき、気づけば時刻は午後十時。同僚はみんな退社してしまっていますが、プログラミング工程は遅れ気味。明日には顧客へのプロトタイプ画面操作デモのプレゼンも待ちかまえています。
地球の裏側から助けてくれる人がいるかも
そんなときに英語ができると、助かる可能性がグーンとupするかも知れません。
これから朝がやってくる国のエンジニアへ、質問を送ることだって、できるようになるんです。運が良ければ、翌朝には、いろんな国のエンジニアからアドバイスのメッセージが届いているかも知れません。
日本人にしか質問できないのと、外国のエンジニアを頼ることができるのとでは、問題解決のスピードが格段に違ってきます。
ドキュメント解読
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
IT分野では、海外に遅れをとっている日本。
新しく誕生する技術のほとんどは、海外発祥ですから、そのマニュアルやヘルプだって英語でか書かれていることが多いんですよね。
翻訳されたドキュメントがあれば本当に助かる
こういうとき、気前の良い「誰か」が日本語訳をしてくれるまで、待たなくてもよくなるんですよ。もしも、自力で英語が解読できるようになれば。
あるいは、志の高い方であれば、「我こそは」と名乗りを上げ、ドキュメント翻訳のボランティアを買って出るなんてどうでしょうか。きっと、日本中のエンジニアから感謝・尊敬されると思いますよ。
遠隔会議(電話、テレビ)
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
ここからは、リスニングとスピーキングを活用するアクティビティになるので、少し難易度がアップします。
オフショア開発といった、海外エンジニアをプロジェクトに迎えるシチュエーションでは、きっと必要になるのが遠隔会議。電話会議であったり、テレビ会議であったり、最近ではSkypeを導入する企業もあって、形態は様々です。
テレビ会議
ところで、エンジニアの現場では、実用レベルのリスニングとスピーキングができる人材は、まだまだ少数派。
遠隔会議を円滑に進められる英語力がゲットできれば、部署における、あなたのプレゼンスを高めることに、間違いなく一役買うことでしょう。
複数国間プロジェクトにおけるブリッジSE
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
リスニングとスピーキングに加え、文化の差を熟知・適応するスキルが求められるので、難易度はさらに高くなりますが、プロジェクトが成功した暁には、大きな達成感が味わえるポジションです。
業務委託元、委託先の両国間での意見対立があれば調整し、コミュニケーションミスが起きないよう、タイムリーに情報共有を進めつつ、協力体制が得られるような根回しをするスキルが求められます。
複数国間におけるネゴシエーションも重要ミッション
なお、ブリッジSEは、業務委託先(外国側)で準備し、委託元(日本側)は【左うちわ】で、ひたすら口頭指示を伝えるだけいうプロジェクト体制もありますが、それでうまく仕事が進むのは、以下のような限られたケースのみだと思います。
- 業務委託先(外国側)から主要メンバーを委託元(日本側)の事務所に派遣する場合
- 業務委託元(日本側)から応援メンバーを委託先(外国側)の事務所に派遣する場合
- 業務委託先(外国側)も日本人スタッフを保有する等、「日流」ビジネス文化に明るい場合
- 業務委託内容が非常に平易で、誰でも実施できる機械的反復作業中心である場合
現実的には、業務委託元(日本側)の窓口担当者も「ブリッジSE」級の役割を担って、設計といった上流工程はもちろん、製造といった下流工程にいたるまで、かなり首を突っ込まないといけなくなるんです。
そういったシチュエーションでは、英語の運用能力の高さは、ダイレクトに仕事のアウトプットと直結します。
海外出張
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
外国へ飛び、限られた時間内で、与えられたミッションを達成し、成果を出すことが求められます。
英語力に加え、現地での協力をスムーズに得られるための、段取りスキル、人脈構築能力が特に重要です。
人脈構築能力は最重要スキル
あくせく馬車馬のように働いた(?)後の週末には、現地スタッフが地元の観光名所や、おすすめレストランへ連れていってくれることも少なくありません。ただし、何度も出張を繰り返していると、そのうち現地スタッフと「同化」してゲスト扱いされなくなり、どこへも連れていってもらえなくなるケースもあります。
物価の安い新興国であれば、運転手付きの車をあてがってもらえたり、四つ星、五つ星ホテルへ宿泊させてもらえることもあるでしょう。
一方、先進国であれば、自分で車を運転したり、公共交通機関を使って移動することが主流です。滞在ホテルも、そんなに上位ランクではないかも知れません。
海外駐在
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
数年単位で外国で生活しながら、現地の人材育成に当たったり、若手社員ながら、マネージャ級の業務をこなすことが求められる、チャレンジングなポジションです。
一般的に、駐在員の人件費は高額であることが多く、ポストの数も限られていることから、誰もが志願すれば叶うというわけでもなく、その一方では、志願しないのに叶ってしまうこともあって、そこは運にも大きく左右されるでしょう。海外駐在を前提とした求人も出ているので、どうしても海外駐在を経験したいという方は、そういった案件へ応募するのがショートカットになるかも知れないですね。
重責ポジションを担う
数年間にわたって、外国人の上司や部下と一緒に働くことは、日本社会では疑いもしなかった「常識」が根底から覆されるドッキリイベントも多々ありますが、あなたの視野を確実に広めてくれることでしょう。その経験は、人生の糧となり、会社員人生が終わってからも、かけがえのない思い出となることでしょう。地球の裏側とも瞬時に連絡の取れるSNSの普及した現代ですし、現地スタッフとの交流も、一生続いているかも知れません。
グローバル規模でのIT統制対応
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
海外での売上げが大きいグローバル企業であれば、海外現地法人(子会社)を巻き込んだグループ全体としてのIT統制対応に迫られることもあります。
世界中を飛び回って、各国の現地IT部門と協力しながらIT統制状況の点検や改善を重ねるプロセスが発生し、あなたはその主担当に抜擢されることになるかも知れません。
監査対応は大仕事
監査が行われるタイミングには、大量のドキュメントを英訳し、現地IT部門へ作業依頼をする場面が出ることもありますが、このとき正確な英語表現能力は、監査対応をスムーズに遂行する上でも必要不可欠です。
ちなみに、英語力に加えて、国家試験(経済産業省)の「システム監査技術者」を取得しておけば、より体系的な知識が得られるため、スムーズに業務着手できるでしょう。「システム監査技術者」の資格取得テクニックについても、今後、コンテンツを執筆する予定です。本来、監査をする側が取得を目指す資格ですが、筆者としては、監査される側が取得することにも、大変意義がある資格だと思っています。
現地採用
- 実現の容易さ
- 求められる英語レベル
- キャリア付加価値の大きさ
番外編とも言えるのが、こちら。
海外駐在員と違い、現地で骨を埋める覚悟をして、現地法人で一生、あるいはウン十年働くというキャリアです。
舞台は地球
国によっては、英語だけではなく、現地の言語を身につける必要が出てくることもあるでしょう。
筆者が、10選の中で唯一、自分で経験したことのないキャリアですので詳細を語ることはできませんが、「現地採用 メリット デメリット」などでググってみると情報が沢山得られるので、このブログでは深くは取り上げません。
現地採用で長期間働くと、日本へ戻って転職先を見つけることが難しいとの声もあります。
まとめ:「情シス英語」をキャリアアップの踏み台にしよう
いかがでしたか。
一人でも多くの方にITエンジニアが英語で活躍するシーンを、鮮明にイメージいただけるようになったとしたら、幸いです。
鮮明イメージ獲得の一助になったでしょうか……
同じITエンジニアといえど、所属する企業や部署によっても、どういう英語活用のチャンスが巡ってくるかは千差万別。
もしも、現在所属している企業が、そういったチャンスとは無縁そうであれば、IT技術と英語力をとっとと身につけて、海外プロジェクト推進に熱心な情報システム部門のある企業へ転職するというのも、一案です。
収入アップを目指しての転職も夢ではなくなる
一人でも多くの方に世界へ羽ばたいていただきたいと思います。