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はじめに:海外駐在員になる経緯は、様々
こんにちは。
海外駐在員になる経緯は様々。
本人が熱望してそうなったケースや、逆に、希望していないのに行かされたというケース。
海外駐在員になる経緯はいろいろ
筆者の場合、海外駐在員になりたいと意思表明したことはありませんでしたが、TOEICスコアが九百点オーバーだったことから「白羽の矢が立つ」ことになり、要因はこれだけではなかったのですが、海外駐在員として選抜されるに至りました。
本記事では、海外駐在員を志願する前に、ぜひとも知っておきたい「リアル話」をシェアしてみたいと思います。
元・海外駐在員がオープンに語る「リアル話」
海外駐在員を志願する前に、以下のようなポイントを知っておくだけでも、キャリア設計の満足度は大きく向上するでしょう。
良いこと、悪いこと、包み隠さず書きます。
どこの国へ赴任するかによって、ガラリと変わる海外駐在生活
「海外駐在生活」と一言で表現することって、実は、あまりにも大雑把な言い方なんです。
仕事内容は似たものであれ(本社と支社のパイプ役)、どこの国へ赴任するかによって、生活スタイルは、まったく異なるものになるからです。
「通勤」を例に、少し両極端ですが、これくらいの開きがあります。
■「通勤」に見る、赴任国によるギャップ
- 治安が悪く、物価も安いため、駐在員一人ずつに、専属の社用車と運転手が与えられる「王様のような」生活
- 先進国で物価が高く、日本と同じように電車や車で通勤する「庶民の」生活
他にも、生活する国によって、日本では考えられないような経験が待ち受けているでしょう。
- 三週間近くのロングバケーションがある国
- 交通渋滞が激しい日には、通勤に片道三時間かかる国
- 昼休憩が長く、公に昼寝の時間が設けられている国
- 日本食レストランが皆無で、日本食材を得ることすら困難な国
赴任先によって、生じる制約や、得られる体験は大きく異なります。
多くの場合、赴任先は自分で選べず、会社の事業者がある国に限定されますが、その国での生活を受け入れられるメンタルのタフさがあるかどうかは、重要ポイントになります。
たんまり貯金ができるとは限らない
高額の手当が支給されるイメージのある、海外駐在員。
それは半分正解で、残り半分は、勘違いかも知れません。
赴任する国の物価が高ければ、現地生活での支出がかさんで、思ったほど手元に残らないケースもあるでしょう。
逆に、物価が安い国であっても、勤務先の賃金規則によっては、さほど高額な手当を期待できないケースもあり得ます。
海外駐在員、どれくらい貯金できるかは、赴任国の物価や、勤務先の賃金規則によって左右されるため、一概には言えない問題です。
海外駐在員を志願する場合、金銭的メリットを期待するのではなく、「お金に変えられない人生経験をさせてもらう」くらいの心構えがちょうどです。
現地で生活すれば語学力が高まるというのは妄想
もし身近に、海外駐在経験者で、語学堪能な方がいれば、かなりの割合で、駐在前からもともと語学が得意だったと考えた方が良いです。
少なくとも、まったく喋れなかった人が、よどみなくペラペラになって帰任してくるのは、考えづらいケース。
語学習得の道のりは険しい
と言うのも、現地で生活するとしても、一日の大半は会社で過ごすため、ビジネス方面の会話では経験値を上げられても、ビジネス以外のトピック、たとえば病院で症状を伝えたり、現地スタッフと料理の作り方で雑談をするには、かなりの個人努力が必要になります。
多忙な海外駐在員、語学勉強しようと思っても、日々の業務や、現地社会でのつきあいに引っ張られ、ビジネス以外のトピックについては、海外赴任前の語学力からさほど改善されていないというのが現状でしょう。
もちろん、超人的な努力によって、数カ国語をマスターして帰任するような人もいるでしょうが、それは例外的というものです。
得られるもの、失うものがある
海外駐在生活、異文化の中に飛び込んで、考え方や価値観も異なるスタッフと働くことは、間違いなく、生涯でプラスになる経験でしょう。
一方、得られるものがあれば、失うものもあります。
たとえば五年間、日本から離れるとしたら、プライベートでやっていた趣味は、中断せざるを得なくなるかも知れません。
慣れ親しんだチームや仲間と別れる
スポーツチームに所属していたり、バンド活動をしていたり、プライベートの取り組みは様々。
帰国後に趣味を再開しようと思っても、友人の多くが家庭持ちになったり、チームやバンドに空席がなかったり、解散していたりするかも知れません。
そのポジション、本当に「なりたい自分」ですか?
海外駐在員として出向する場合、多くは、現地で指導的立場にアサインされることになります。
ITエンジニアとして、最前線で、バリバリ開発することが生きがいだったサラリーマン。
海外駐在員になった途端、技術者としての立場から一歩退いて、自分より年上のスタッフも含め、ある日突然、何十人というメンバーの上に立つ役割を求められたら、どう感じるでしょうか。
自分の開発業務に没頭すれば良かった環境から、プロジェクトまるごとを統制する環境への変化に対応できる人もいれば、モチベーションが下がる人もいるかも知れません。
自分にとって大切なのは、最新技術を極めることでしょうか、それとも人を束ねて成果を出していくことでしょうか。
自分の価値観と、(会社から)駐在員として期待される人材像がマッチしているか、考えてみることは大切です。
変わるのは、自分だけではない
海外駐在って、ある意味、「浦島太郎」状態になることなんです。
数年間、日本から離れることにより、キャッチアップできなくなることは沢山あります ——— その年の「流行語大賞」が理解しづらくなるのは一例です。
衛星放送やYouTubeなど、日本のメディアに触れる環境はありますが、四六時中チェックするわけにも行かないし、昨夜の番組について雑談する日本人の相手もいないため、自然と、情報についていけなくなります。
駐在期間中、変わっていくもの
日本を離れている間、本社での出来事は、親しかった同僚から伝え聞く程度なので、知らないことがどんどん増えていきます。
自分が知らない間に、知らないところで、色々なものが変わっていきます。
まとめ:良い選択をするためには、悪い面も知っておく必要がある
ネガティヴなことが多くなりましたが、「華やかなキャリア」として描かれやすい海外駐在員の、ダークな側面にもスポットライトを当ててみました。
海外駐在員を志願する方は、ポジティブ面、ネガティブ面の両方を理解しておくことが、キャリア設計の満足度を高めるためにも大切です。
本記事が、一人でも多くの方にとって、キャリア設計の一助となれば、大変嬉しく思います。