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はじめに:なぜか「言い出しっぺ」が幹事になる、理不尽さ
台湾、韓国、中国……
いわゆる安近短(あんきんたん)と称される、安い、近い、そして(旅行期間が)短くて済む国であれば、土日しか休めない社会人でも海外旅行は十分に可能。
最近では関空発着のLCC(格安航空界社)も充実してきたので、週末海外旅行のしやすさでは「西高東低」状態にあり、関西エリアの社会人は、今こそ旅に出るべきとも言える。

週末海外旅行が、ますます「手頃」な時代に
本記事で想定する「シチュエーション」は、こうである ------ 気の合う友人同士、「今度、台湾行こうよ」と語らったのはよいものの、フットワークの軽いメンバーがいないため、なかなか実現しない。
仕方なく、グループ内で一番「本気」の自分が幹事役を引き受けることになったが、何から着手して良いのか分からない ------ 本記事は、そんな状態で頭を抱えている方の一助となるよう、実用的ノウハウをシェアすることを狙いとして、作成されている。
随所にヒントとなるような情報が散りばめられていると思うので、一読いただければ嬉しい。
ツアー参加型か、個人手配型か
旅の形態は二つ。
- 旅行代理店の販売するツアーに申し込むという形態
- 個人手配型で、すべて自分たちで決めるオーダーメイド形態
安近短のアジア諸国であれば、ぶっちゃけ、旅行代理店に申し込んでも、旅のコストがグーンと下がるわけでもない(むしろ、個人手配型の方が安くつく場合も……)。
旅行代理店のツアーに申し込むメリットと言えば、幹事役を(ほとんど)丸投げできる点くらいであり、むしろ、「スポンサー費用」を出しているお土産屋へ連れていかれたり、性格や、行動ペースがバラバラの他者との団体行動を強いられるなど、デメリットのほうが大きいかも知れない。
友人同士で自由気ままに楽しむためにも、ここは是非、個人手配型で行こう(なお、旅行代理店のツアーへ申し込む場合、以下のコンテンツを読み進める必要がなくなる)。
行き先(国)と日程が決まったら、すぐに着手すべき段取り
以下の記事では【友達との海外旅行】を想定しているが、一緒に旅するパートナーが上司であれ、親戚であれ、そのまま応用できる内容となっている。
「友人」の部分は、適宜、ご自身のシチュエーションに合わせて、読み替えて(例:友人→親という風に)いただきたい。
気負わない。抱え込まない。「外出し」しながら、準備を進める
海外旅行って、一人で出かけるだけでも大変なのに、友人の面倒までみるとなると、もっと大変。
あまり気負わず、抱え込まず、以下のような着眼点で、「外出し」できる仕事がないか考えてみよう。
「餅は餅屋」。助っ人をつくろう
幹事だからと言って、すべてを一人でやる責任を負うわけではない。
特に、その友人が、ふだん仕事で「プロ」としてやっている領域であれば、驚くほど素早く片付けてもらえるかも知れない。
- デザイン事務所に勤める友人がいたら「しおり」を使ってもらう
- 経理部の友人がいたら、旅の予算管理を任せる(例:後述する「共有サイフ」の管理)
- SEの友人がいたら、パソコンを使う作業を手伝ってもらう
人間、誰でも得意分野・不得意分野があるので、それを補えるような協力体制が築ければ理想的だ。
航空券は、各自で買ってもらう
航空券は、航空界社のWEBサイトへアクセスし、各自で購入してもらおう。
幹事の仕事としては、便名と日時を間違えなく伝えて、全員が同じフライトに乗れるよう、注意することくらい。

航空券はセルフサービスで手配してもらおう
こうすることによって、不幸にもキャンセルが発生(急に参加できないメンバーが出た)した場合、参加者本人から直接、航空会社と交渉してもらえるため、幹事が手を煩わされることがなくなる。
幹事として、減らせる仕事は減らしていこう。
快適な「旅環境」をメンバーへ提供することが、幹事の腕の見せ所
航空券の手配を済ませることができれば、後は、やるべきことはシンプル。
ホテルの手配、現地ネット接続環境(ポケットWi-Fi)の確保など、参加者が現地で不便せずに過ごせるための段取りをするのみだ。
現地でのインターネット環境を確保する
グループ旅行の場合、参加者一人ひとりが個別にSIMカードを買うより、Wi-Fiルータを借りた方が割安なことが多い。
一台のWi-Fiルータにつき、3人ずつくらいの同時接続が可能なので、人数に応じてレンタルする台数を決定したい。
幹事としては、空港のホームページを参照するなどして、以下のような情報を調べておけば十分。
- レンタル代金
- 返却場所(空港の何階か?)
- 返却時間(入国時と出国時、窓口は開いてるか?)
なお、現地でWi-Fiルータをゲットした後は、複数台ある場合、すべてのルータ端末のパスワードを、全員で共有しておくと便利。
現地で別行動(例:買い物グループ、観光グループ)をする際に、メンバーの組合せが変わった場合にも、全員が全端末のWi-Fiルータのパスワードを共有していれば、臨機応変に対応できるだろう。
現地での移動手段を確保する
グループ旅行での交通手段になると、タクシーが割安で利用できるため、バスや電車より多少高くても、快適さを優先させよう。
また、最近では、タクシーを呼ぶのに「アプリ」を使うスタイルが主流になりつつあり、外国人観光客でも、安全かつ容易に、現地で移動できるようになっている。

タクシー手配も、「アプリ」で行う時代
なお、国によって、普及しているタクシー手配アプリの種類が異なっているため、たとえば、韓国へ行く場合「韓国 タクシー アプリ」といったキーワードでGoogle検索をかければ、具体的なアプリ名称を知ることができるので、調査しておこう。
出国するまでに、タクシー手配アプリを参加者全員のスマホへインストールしておくと、現地に入ってからの行動がスムーズ。
現地でのホテルを予約する
グループ旅行では、アパートタイプ(大部屋貸切)の宿泊施設を選ぶと、多少の調整(例:メンバー数の増減)が効くので便利。
ホテル予約サイトでも、「宿泊施設の種類」として、アパートを指定できるようになっているので、是非探してみよう。

広々とした客室
大部屋だと、男子に1部屋、女子に1部屋といった具合に、(面倒くさくなりがちな)部屋割りをザックリ済ませられて楽チンだ。
また、(騒ぎすぎないというエチケットも必要だが)大部屋のメリットとして、「部屋呑み」がしやすいという点も見逃せない。
(おまけ)ホテルの手配で、幹事として留意すべき点
以下のような点については、幹事として、抜かりなくチェックしておきたい。
- チェックイン時間前でも、大きな荷物を預かってもらうことは可能か?
- 部屋の料金は、人数単位か? それとも部屋単位か?
- (アパートタイプの場合)鍵の受け渡し方法は、どのように行うか?
- (アパートタイプの場合)タオルやシャンプーは完備しているか?
初日は、空港から市街地入りしたら、すぐにホテルへ荷物を置きたいと考えているメンバーが多いはず。
すぐに現地行動を開始できるよう、あらかじめ、ホテルに預ける荷物と、街で持ち歩くバッグを仕分けしておいてもらうと、時間が節約できる
「共有サイフ」を作って、現地での煩わしいワリカン作業をなくす
両替を済ませた段階で、参加者一人ずつから一律金額(外貨)を徴収し、「共有サイフ」を作ることも、忘れずやっておきたい。
ホテルの費用、食費の清算など、「全員が同じ金額を負担する」支払いシーンは結構多いので、旅行中、大活躍するだろう。

「共有サイフ」をうまく運用しよう
「共有サイフ」を運用することで、毎回毎回ワリカンしなおす面倒臭さから、全員が解放される。
なお、「共有サイフ」には残金が出ることも考えられるので、事前に、その扱いを決めておくと、もっと良い。
共通の知人あてにお土産を買うことや、最終日のランチのグレードを上げることなど、全員が納得する使用用途を考えておけば大丈夫。
まとめ:「旅が始まる前」も、「旅が終わった後」も、情報共有を大切に
ボランティアで引き受ける幹事業務と言えど、お金の管理をする以上、「旅が始まる前」と「旅が終わった後」の情報共有はキチンとやっておきたい。
以下のような内容について、参加者全員への理解を得ておくことがポイントになると思う。
「旅が始まる前」にシェアすべき情報
- (急用で参加できないメンバーが出た場合に備え)キャンセルの場合、いつから、どれくらいの料金が発生するか(例:ホテルの部屋代)
- 「共用サイフ」の運用ルールの説明(一人いくらずつ徴収して、残金が出た場合の対応。たとえば、お土産を買う、最終日のランチのグレードを上げるなど)
「旅が終わった後」にシェアすべき情報
- 会計報告は簡単でも良いので、ちゃんと行おう(「共有サイフ」から、いくら集めて、いくら何に使ったか)
- 旅行中の写真をシェアするためのオンライン共有スペースを作り、みんなで思い出をシェアしよう
幹事として海外旅行を運営することは、ハードルの高いチャレンジにも思えるが、やってみれば、案外、何てことなかったりする。
本記事が、一人でも多くの「幹事」さんを助けることができれば幸いである。